2050年には全世帯の4割突破…増える一人身世帯、高齢者単身世帯は約1000万世帯に

2013/08/20 08:45

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国土交通省では2010年9月27日付の第一回会合を皮切りに、国土審議会・政策部会を定期的に開催し、日本の中長期的な社会情勢・動向の推計やその結果に対する施策検討を、同省の政策視点を中心に行っている(現時点で第三回まで開催)。今回はその各会で提示された資料を基に、今後の日本における一人身世帯(単独世帯、単身世帯)の動向を確認していく(【国土交通省:長期展望委員会】)。


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漸増する一人身世帯


晩婚化や未婚化、少子化、核家族化、さらには高齢化の進行に伴い、世帯が一人のみで構成される「一人身世帯」(単独世帯)数は増加の傾向にある。これにより日本では人口減少率と比べ、世帯減少率はゆるやかとなる傾向が見受けられる。

それと同時に「世帯」の内訳も少しずつ、そして確実に変化を遂げていく。次に示すグラフは2005年までは実測、それ以降2050年までは推計による、日本の世帯種類別世帯数の推移を、数による積み上げグラフと、それぞれの年の世帯総数に占める比率で示したもの。かつて世帯を代表するスタイルだった「夫婦と子」の数・比率が減少し、2050年では少数派に転落。代わって「単独世帯」が世帯の代表的な存在となるのが分かる。


↑ 世帯類型別世帯数推移(万世帯)(2010年以降は推計)


↑ 世帯類型別世帯数推移(全体に占める比率)(2010年以降は推計)

「夫婦と子」という典型的な核家族は1995年以降すでに減少に転じ、2010年には世帯数第一位の座を「単独世帯」に明け渡している。以降も減少の動きは止まらず、2050年にはピーク時の半減以下の値となる。

元々結婚しても夫婦のみで子供を持たない、あるいは子供が成人して老夫婦のみが残される形となった「夫婦のみ」世帯も増加を示すが、2020年でピークを迎え、あとは漸減傾向に転じる。興味深いのは「夫婦のみ」の世帯数比率が2000年以降ほぼ一定数を維持していること。理由は不明だが、何らかの生物学的なバランスの結果によるものかもしれない。

唯一増加を続けるのは「単独世帯」。減少に転じるのは2040年に入ってからで、それでも減少率は低めであることから、全体に占める比率は逆に増加。2050年には全世帯数の42.5%に至る。「夫婦のみ世帯」「夫婦と子」を合わせても、「単独世帯」にははるかに届かない状況となる。

確実に増える高齢者単独世帯…単独世帯の内訳


「単独世帯」の増加の多分は、高齢者(65歳以上)による単独世帯の増加が担っている。次に示すのは「高齢者単独世帯」とそれ以外の単独世帯の数の推移、そして単独世帯全体に占める高齢者単独世帯の比率を算出したものだが、若年~中堅単独世帯数がほとんど横ばい、微増の領域にあるのに対し、高齢者単独世帯が大きな上昇を示しているのが分かる。


↑ 単独世帯内訳(万世帯)(2010年以降は推計)


↑ 単独世帯における高齢者単独世帯数比率推移(2010年以降は推計)

世帯構成内容の変化は、社会全体の構造変化でもある。インフラの整備・仕様はもちろんだが、各種行政サービスのスタイルも考慮の上、必要ならば変更、改善が必要になる。特に世帯数全体の減少と、高齢者単独世帯の増加は、社会にとって大きなインパクトとなる。例えば夏期における室内熱中症の問題も、高齢者単独世帯の増加と無関係ではない。

しかも各種対策には莫大なリソースと年単位、下手をすると十年単位での準備・作業が必要となる。戦略的な観点のもとで、ノイズを極力排し、可及的速やかな、官民合わせての抜本的な対応が求められよう。


■関連記事:
【国連予想による日本の2100年までの人口推移(2012年子供・子育て白書版、番外編)】


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