今期販売目標は全世界で1800万台、現時点で8%…ニンテンドー3DS販売数動向(2013年度Q1)

2013/08/01 08:45

【任天堂(7974)】は2013年7月31日、2013年度(2014年3月期、2013年4月-2014年3月)第1四半期決算短信を発表した。売上はやや落ち込んで前年同期比でマイナス3.8%となったものの、当初の想定より円安が進んだことで為替差益が発生し、経常利益・純利益は黒字に転換した。今回はそれらの業績はさておき、前回の記事のスタイルを踏襲する形で、任天堂の主力携帯ゲーム機ニンテンドー3DS(3DS LL含む)の今回発表された分における四半期の実情を中心に販売動向をまとめ、グラフ化・内容の精査を行うことにする。

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海外勢は人気ソフトの発売でハードも伸びる


データの取得場所の解説や、今記事で対象としている機種(3DSシリーズ)の概要などは一連の記事まとめページ【定期更新記事:ニンテンドー3DS販売動向(任天堂)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

今回短信の添付資料で発表されたデータを元に、同機の販売動向をグラフ化したのが次の図。なお今短信掲載の元データは万台単位までの表記がなされており、その値を当方で独自に差し引きしている。そのため、項目により実数値と2-3万台程の差異が生じている場合があることに留意してほしい。


↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年6月)

現時点で発売開始からの累計販売台数は、全世界で3248万台。今期(連結累計)に限れば140万台(今回発表分は第1四半期なので、今四半期販売台数と同じになる)。なお今期では販売目標を全世界で1800万台と設定しているのが、資料から確認できる。また上記グラフでは最初の期「2010年4月-2011年3月」は一年分で区切っているが、ニンテンドー3DSの発売日が2011年2月26日以降(日本での発売が世界で最初)でそれ以前の販売実績は当然ゼロのため、実質的に他の期同様四半期と見なして良い。

直近の2013年度第1四半期(2013年4月-6月)においては、日本国内の販売は前四半期と比べてやや落ち込んだものの、米大陸・その他の地域では比較的堅調に推移。短信説明によると、6月に欧米で「とびだせ どうぶつの森」が発売され、今四半期だけで海外119万本・全世界では154万本の販売実績をあげている。また3月発売の「ルイージマンション2」なども堅調なセールスを見せていることから、それらの有力ソフトがハードの普及促進に一役買ったものと思われる。

なお「3DSシリーズ」の中身だが、日本では意外にもいまだに3DSが堅調。一方で北米その他地域では主力はすでに3DS LLに移行している。


↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2013年4月-6月期、3DSと3DS LL区分)

長期的流れと今期販売目標に対する実績を確認


これを四半期(最初の期は上記の説明の通り1年間)で区分し、各四半期における3地域での販売数を積み上げた形にしたのが次のグラフ。2011年度第1四半期の不調ぶり(全世界で72万台のみ)、そして値下げ効果と年末商戦効果が2011年度第3四半期の大きな上昇気流となったこと(836万台)、さらにはその反動で次の四半期が再び大きく落ち込んだことなど、販売動向がよく把握できる。


↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年6月)(四半期推移)

去年、一昨年の動向と比較すると、今四半期は元々セールスが落ち込む時期にあるが、それでも海外勢が伸びたことで前四半期よりは台数を積み上げている。上記にある通り、有力ソフトの展開が、ハード台数を底上げすることがあらためて認識できる。

他方、2011年はともかく2012年と比べると、前四半期と合わせ販売台数そのものは減退しており、スタートダッシュの勢いはすでになく、厳しい状態にあることに違いは無い。今後発売予定タイトル一覧を見ると、国内だけでも「ポケットモンスターX」「同Y」が10月12日発売予定なのをはじめ、「マリオパーティー」最新作、「マリオゴルフ ワールドツアー」、サードパーティーでも「モンスターハンター4」「ダンボール戦機ウォーズ」などがラインアップに上がっているが、これらのタイトルがハードの販売促進にどこまで貢献するか、現時点で判断は難しい。

最終的な2013年度期における販売目標台数(1800万台)に対する、現時点での実績をグラフ化したのが次の図。


↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2013年4月-2014年3月期における目標販売台数1800万台に対する達成状況)(2013年6月末時点での同期内販売累計)

達成率はおおよそ8%。上記グラフにある通り、3DS(に限らず家庭用ゲーム機の多く)は年末商戦で大きなセールスをあげるため、半ば閑散期である今四半期ではこの程度の達成率でも特に問題は無い。ただし前年度で単期販売目標を1850万台から1750万台、1500万台へと下方修正したにも関わらず、結局7%の未達に終わったことを考えると、現時点での目標1800万台は、やや達成するにはキツい数字と判断せざるを得ない。



今四半期決算短信では3DSのセールスに関し、上記で一部触れているが「トモダチコレクション 新生活」の日本国内ミリオンセラー化をはじめ、海外で「とびだぜ どうぶつの森」を展開しこちらも海外分のみでミリオンを果たすなど、複数のソフトがハードの勢いを後押しした形となっている。この「有力ソフトの後押しによるハードの押し上げ」をさらに広げるため、リリースでも「自社の有力タイトルを集中的かつ積極的に発売し、今年前半での販売の勢いをさらに加速させ、プラットフォームとして最高の状態で年末商戦を迎えることを目指していきます」とコメントしている。

同時に「パッケージソフトのダウンロード版の販売について積極的に取り組み、ダウンロード販売の割合を高め、新たな販売機会の拡大と収益性の向上を進めていきます」との言及もある。販売チャネルの多様化で、ソフト販売機会を増やし、ハードの魅力を積み増しする目論みも確認できる。

一方、先日の記事【ゲームをする時に一番良く使う端末はゲーム機? それとも……】などの調査結果にもある通り、スマートフォンの普及が進むに連れて、本来家庭用ゲーム機、特に携帯ゲーム機の「お得意様」だった未成年者の間にも、「ゲーム機といえばスマートフォン」の風潮が広まりつつある。ゲームプレイヤーのお財布の中身が一定額、ゲームで遊ぶ時間が一定時間である以上、スマートフォンにそれらのシェアを奪われれば、その分携帯ゲーム機が選択される機会が少なくなるのも自然の理ではある(テレビ視聴のように「ながら」プレイがしにくいのも、シェアの奪い合いが起きやすい一因)。

任天堂がソーシャルな仕組みを上手く活用することで、スマートフォンと携帯ゲーム機(今件では3DSシリーズ)の共存を図る工夫を凝らしているのは事実であるし、その取り組みも一部では効果を示しつつある。しかしながら基本的に携帯電話、特にスマートフォンと携帯ゲーム機は競合する運命にある。あれこれと多数のゲームをマルチタスクで、同じような熱中度でプレーする人は、さほどいないからだ。

スマートフォンが浸透し始める前においても、一般携帯電話(フィーチャーフォン)のゲームと携帯ゲーム機がシェアを奪い合うという時代はあった。しかしその当時はゲームの質や見た目、そしてソーシャル的な仕様の不十分さから、携帯ゲーム機がシェアを奪われる心配はさほど無かった。しかし現在でははるかに高機能のスマートフォンやタブレット機などが浸透し、さらに普及率を高めており、その当時と状況は大きく異なる。

ゲームを取り巻く環境が日々変化する中で、任天堂が3DSシリーズを通じてどのような「価値」をプレイヤーに提供し、引き続き支持を集めていくのか。ゲーム業界で代えがたい経験を有する同社の知恵の見せどころといえよう。


■関連記事:
【任天堂曰くの「ソーシャルゲーム」とは】

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