企業がソーシャルメディアにかける期待と厳しい現実(2013年)

2013/08/01 11:30

総務省は2013年7月16日付で、2013年版となる最新の【情報通信白書】を公開している(【発表リリース:平成25年「情報通信に関する現状報告」(平成25年版情報通信白書)の公表】)。今白書を構成する要素の一部は、当サイトでも春先に何度かに分けて紹介・分析した「通信利用動向調査」の結果をベースにしているが、他にも多様な資料、調査結果を取り入れており、情報通信の現状を知るのには欠かせない内容となっている。今回はその中から、日本企業におけるソーシャルメディアの活用状況の調査部分について見ていくことにする。

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顧客との接点が多い部局ほどソーシャルメディアを利用する


該当調査(企業264社を対象)に、自社で実際にソーシャルメディア(Facebookやmixi、ツイッターやLINE。さらにはYouTubeやブログなど、広義の意味でのものも含む)を利用しているか否かを尋ねたところ、そのうち46%・111社が利用している、あるいは利用予定・検討中であると回答した。その111社に対し、実際にソーシャルメディアを利用している・利用を検討している部署を聞いた結果が次のグラフ。


↑ ソーシャルメディアの業務利用(部門別)(企業内でソーシャルメディアを利用している、利用検討している部署)

ずば抜けて多いのが「マーケティング系部門」と「営業系部門」。顧客との接点が多く、また顧客周りの分析が必要となる部門であり、ソーシャルメディアの特性が活かせる・期待できるとの考えで利用している(予定である)ことがうかがえる。また、企業と外部との接点であり、企業からの情報発信を主な業務とする「広報系・IR部門」も高い値を示している。

さらに「人事部門」も高め。これは主に求人周りで自社をアピールし、求職者の目に触れてもらい、優秀な人材を確保するための利用(検討)といえる。

一方、研究開発部門やシステム系、生産系などは少なめ。個々の部局の実情を考えれば、対外接触の必要性は低く、ソーシャルメディア活用の意義を見出しにくい。「販売系(店舗管理)部門」が低めなのは、社内で情報を統括する必要があり、あえて不特定多数向けに利点を見いだせるソーシャルメディアを利用する必要性が無いからだろう。

企業のソーシャルメディア、期待と現実


企業がソーシャルメディアを利用する際、さまざまな効果への期待を持つことになる。しかしどのような場合でも、期待が常に100%満たされることなど滅多にない。

次のグラフは企業のソーシャルメディア活用における、見込み効果と実際の効果を示したものだが、得てして見込みよりも実効果の方が低い結果が出ている。


↑ 企業のソーシャルメディア利用による効果

世情トレンドの情報収集、トレンドを反映した生産調整、そして商品やサービスの情報発信が特に期待されているものの、実情としてはトレンドの把握とそれを用いた生産調整がもっとも有益で、次いでトレンドの情報収集、さらに顧客個人に合わせた応答情報の発信が続いている。

「ソーシャルメディアは口コミメディアだから、上手く事が運べば爆発的な情報発信と認知度の強化が望める」という期待が多分にあるようだが、概してそれ系の期待は裏切られている感が強い(口コミによる情報拡散、ブランド強化などが低めの値)。また、リスク周りの予防策についても、期待したほどの効果は得られていないようだ。

これら「期待と実態の差異の大きさ」について今件報告書には「情報の収集及び発信と双方向のコミュニケーションを取れること」を期待したものの「実際に得られた効果については、当初の見込みほど得られていないとの傾向が見られる」と解説されている。ただしこれには多分に「企業側の期待が過度」「企業側の方針があいまい」「利用ツールや担当者の能力・権限不足」などの理由も想定できる。

実際、企業がソーシャルメディアを用いた場合、素晴らしい効果を生み出す事例も数多くある一方、担当者の不用意な行動により、企業イメージを著しく損なってしまうことや、与えられた経営リソースが不足しているためかほとんど公知すらされず半ば放置されたまま運用されている事例も多分に見受けられる。

これはソーシャルメディアの利用に限らない話ではあるが、新しい事業を興す場合、適切な知識と技術を持つ人に倫理観を守るよう指示した上で、適切な方針のもと、必要な経営リソース・権限を持たせなければ、成功はおぼつかない。ソーシャルメディアを即効性のある「魔法の道具」と思い違いをしてはならないのは言うまでも無い。


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