国内5000億円割れ・額面上で縮小続く市場…2012年の家庭用ゲーム総出荷額は1兆2334億円

2013/07/25 07:55

社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は2013年7月22日、「2013CESAゲーム白書(2013 CESA Games White Paper)」の発刊を公知すると共に、2012年における日本国内外の家庭用ゲーム市場の概要を発表した。それによると2012年の日本国内ゲームメーカーによる家庭用ゲーム総出荷金額は1兆2334億円であることが分かった。今回は発表された各種数字を基に、過去において何度か精査した、日本国内企業の家庭用ゲーム総出荷額に関する動向グラフの更新と、業界最新動向の分析を行うことにする(【発表リリース:「2013CESAゲーム白書(2013 CESA Games White Paper)」発刊】)。

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国内外出荷全体のハード・ソフト別金額動向


同白書内では各種詳細なデータが記述されているが、誰もが閲覧できるリリース上では日本国内外出荷金額やソフト・ハード別の出荷額数など、ごく一部のみの値が明らかにされている。そこで過去のデータも合わせ、さかのぼれる範囲となる2004年以降について、「ソフト・ハード別」「国内外別」の家庭用ゲーム機(※パソコン向けソフト、携帯電話向けアプリは含まず)の総出荷額をグラフとして描き起こす。

まずはソフト・ハード別の出荷額。全体に占める比率も算出できるので、合わせてグラフ化を行う。なおこれらのグラフ上の値は、すべてリリースからの数字を基に再計算をしているため、末尾1ケタの値がリリース上のと異なる場合があることに留意してほしい。


↑ 2004-2012年における家庭用ゲーム総出荷額(ソフト・ハード別、国内外合計)


↑ 2004-2012年における家庭用ゲーム総出荷額比率(ソフト・ハード別、国内外合計)

グラフ領域内では2007年から2008年にかけて大きな飛躍が確認できる。これは2006年末に任天堂のWiiやソニーのプレイステーション3など、当時の最新世代機種が次々と発売され、それらのハードの売れ行きが堅調に推移したのが原因。2008年は(実質的な)新発売の翌年であるため、ややハードの売上が落ちているが、その分そのハード向けのソフトが続々登場し、ソフトの売り上げが伸び、全体額はほぼ変わらない形となった。

ところが2009年はハードだけでなくソフトも売上が減退。以降今回発表された2012年まで同じ傾向が続いている。額面上のソフトとハードの比率はほぼ変わらず2/3対1/3程度を維持しているが、これは「ハード…販売台数の落ち着き」「ソフト…ヒットセラーの少数化、ソフトの廉価化」により、バランスが取れた形となっているようだ。

なお2012年には据え置き型ゲーム機でWii Uが、携帯ゲーム機ではニンテンドー3DS LLなどが新たに発売されたが、ハードそのものの売上、シェアに大きな動きは無い(ややハードのシェアが上昇しているが、これはこの二、三年継続している動き)。両機種の業界全体に与えたインパクトは、2007年における各社の新機種発売ほどではなかったようだ。

国内外別の市場動向


続いてソフト・ハードを合わせた国内外別の動向。こちらも全体に占める比率も当方で独自に算出し、合わせてグラフ化を行い精査対象とする。


↑ 2004-2012年における家庭用ゲーム総出荷額(国内外別、ソフト・ハード合計)


↑ 2004-2012年における家庭用ゲーム総出荷額比率(国内外別、ソフト・ハード合計)

日本国内・国外を問わず、上記にある通りWiiやプレイステーション3が登場した2007年が天井となり、2009年以降は急速に縮小傾向にある。直近2012年では国内市場が3958億円、国外市場は8376億円にまで落ち込んでいる。

特に海外市場の縮小ぶりは顕著で、最盛期の2007年と直近2012年を比較した場合、国内は33%の減少に留まっているのに対し、海外は64%もの減少を見せている。この動きに伴い、国内外シェアも少しずつ国内が増加しており、2012年では32.1%という値を示している。もっともこれは双方とも金額を落とした上での結果であり、喜ばしい話ではない。

海外の販売金額の加速度的な落ち込みの原因の一つには、昨年の記事でも指摘した、円高の進行が挙げられよう。



今回グラフ化した金額は「出荷額」。世間一般で使われる「家庭用ゲーム業界市場規模」を表す数字は、一般小売店での販売額を元に算出されたものであり、やや意を異にする。リリースの文言には「ソフトウェアおよびハードウェアの国内総出荷規模から推計した、国内における総市場規模は4857億円(2011年:5019億円)でした。内、ソフトウェアの国内市場規模は2932億円(2011年:3185億円)、ハードウェアの国内市場規模は1925億円(2011年:1834億円)となりました」とあり、こちらが「市場規模」を示すのには適切なようだ。そこで「家庭用ゲーム機市場の日本国内規模推移」をグラフ化したのが次の図となる。


↑ 2004-2012年における家庭用ゲーム国内市場規模(推測、億円)

本文中にある出荷額同様に、2004年以降では新ハードが続々登場した2007年をピークとし、以降2012年まで継続して減少状態が続いている。かつてゲーム業界は国内だけで周辺産業も合わせ「1兆円市場」とも呼ばれていたが、今や規模としてはその半分程度で落ち着いてしまっている。

また、昨年と同じように平均小売マージンを計算すると、「全体で22.7%」「ソフトは33.1%」「ハードは9.6%」という値が出てくる。昨年分と比べるとソフトのマージンが幾分下落しているが、小売価格を下げないと数をさばくのが難しい状態なのかもしれない。

国内外を問わず家庭用ゲーム機の市場は2007年をピークに縮小を続け、特に海外での減退ぶりが著しい。特に2012年は新型ハードがいくつか登場したにも関わらず、ハード・ソフト共に金額ベースでの市場が縮小しているのが特徴的。

上記では海外の市場縮小について「円高が一因」としたが、国内の動きは為替レートの動向で説明することはできない。今リリースでは言及は皆無であるものの、減少をはじめたタイミングや、家庭用ゲーム機以外も含めた、ゲーム業界全体の状況から推し量るに、スマートフォンをはじめとした携帯電話の普及が、家庭用ゲームの市場を浸食していると見て間違いない。

先日掲載した【ゲームをする時に一番良く使う端末はゲーム機? それとも……】の分析結果にもあるが、国内で若年層が「ゲーム」のためにもっとも良く使う手段として挙げたのは、小学生から中学生まではゲーム機だったが、高校生ではパソコン・携帯電話(スマートフォン含む)・ゲーム機がほぼ横並び、そして大学生以上では携帯電話が上回っている。


↑ 「ゲーム」に普段もっとも利用する手段や機器(携帯電話・パソコン・ゲーム機のみ抽出)(再録)

高性能を有するスマートフォンの普及が、社会人から大学生、高校生と子供達の間にも浸透しはじめ、それに伴いゲームアプリの利用機会も増えてくる。家庭用ゲーム機のソフトが1本あたり数千円であることを考えれば、(従量課金制、購入アイテムなどによる追加出費はあるものの)1アプリ数百円で済む、さらに無料で遊べるゲームも多数用意されているスマートフォンは、ゲーム市場の主力顧客である子供達にとって、家庭用ゲーム機以上の魅力とコストパフォーマンスを有する「携帯ゲーム機」に見えるのも当然といえる。

各家庭用ゲーム機企業、そしてゲーム業界全体が、現状をいかに分析し、どのような施策を打ち出していくのか。そして家庭用ゲーム市場は今後いかなる動きを示すのか。引き続き動向を確認していきたい。

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