前年比でわずかな上昇なれど4万円には届かず…2016年のサラリーマンこづかい事情(2016年)(最新)

2016/07/04 05:06

日本の就労者の就業職種のうち少なからぬ割合を占めるサラリーマンにおける生活様式は、それらの人々自身はもちろん、日本の社会全体の状況を推し量る一つのバロメーターになる。新生銀行では毎年1回、このサラリーマン(など)の日常生活に関する調査「サラリーマンのお小遣い調査」を行い、その結果を報告書として発表している。今回はその最新版にあたる、2016年6月29日に発表した「2016年サラリーマンのお小遣い調査」の結果などを元に、直近、そして近年におけるサラリーマンの小遣い事情を確認していくことにする(【発表リリース:男性会社員のお小遣いは過去3番目に低い金額-「2016年サラリーマンのお小遣い調査」結果について】)。

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若年層と高齢層が増え、中堅層が減ったサラリーマンのおこづかい


今調査は2016年4月8日から13日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2353人。男女正規就業者に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料で多分を占める会社員(正社員以外に契約・派遣社員も含む)は男性1047人・女性789人。世代構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が43.6対56.4、女性は62.7対37.3。なお今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。

年齢階層別のおこづかい推移は次の通り。

↑ サラリーマンの平均月額こづかい(単位・円)(-2016年)
↑ サラリーマンの平均月額こづかい(単位・円)(-2016年)

全体としては前年の減少傾向から転じて増額、プラス231円の3万7873円。後程中長期的なグラフを掲載するが、調査の限りでは2011年以降はほぼ横ばいを維持し、その中で前年となる2015年ではいくぶん大きな下げを示した。今年はそこから上昇を果たしたもののその幅はわずかで、1979年の調査開始以降では1982年の3万4100円、2015年の3万7642円に次ぐ低い値となった。

金額そのものは20代がもっとも大きく4万0879円、次いで50代の3万8113円、そこから少し下げて30代が3万6846円、そして40代の3万5670円と続いている。

↑ サラリーマンの平均月額こづかい(単位・円)(2016年、前年比)
↑ サラリーマンの平均月額こづかい(単位・円)(2016年、前年比)

去年からの増減額では20代のプラス2714円、50代のプラス117円がプラス圏、30代のマイナス850円と40代のマイナス1049円がマイナス圏。下げ幅では40代がもっとも大きいが、この世代は前年も年齢階層別では最大の下げ幅を示しており、ツラい状況がうかがえる。

今年だけでなく数年来続いている傾向だが、20代から50代のサラリーマンでは、給与が一番少ないはずの20代ではなく、30代から40代の中堅層が一番、おこづかいの額面では小さな値を示している。子供がいる世帯が多く、家計内でのやりくり事情が影響していると考えられる。

実際、既婚と未婚で区分すると未婚者の方が平均額は高い。未婚者全体では4万5097円、既婚で子供なし・共働きでも4万2116円、既婚で子供あり・専業主婦では3万2254円にまで額が減る。同時に付き合いも増え半ば強制的な出費もかさむこの世代には、氷河期時代が継続中といえる。

今年は昇給機会の公開は無し


今調査では毎年調査対象母集団となるサラリーマンの、過去1年における昇給の有無を尋ねた結果を公開していたのだが、今回年ではその項目は非公開となっている。そのため次に示すのは、昨年分までの公開値による参考データとなる。昇給絡みの項目は昨年も公開領域が狭まり簡略化されており、サラリーマンのこづかいと昇給との関係はあまり無い、ウェイトが低いと認識されているのかもしれない。

↑ 昇給の有無(2011-2015年)(「減少」は2014年から)
↑ 昇給の有無(2011-2015年)(「減少」は2014年から)

今項目では直近となる2015年は2014年から続き、昇給があった人の割合はいくぶん増加した。詳細グラフは省略するが、おこづかいがアップした人の約3/4は昇給があった人なのに対し、おこづかいがダウンした人では昇給があった人は2割に届いておらず、減給の人はそれぞれ3%未満・1/4近くとの結果が出ている。こづかいの上下に昇給・減給が多分に影響を与えている。

一方でおこづかいがアップした人は30代では7割近くなのに対し、ダウンした人では4割強に留まっている。このことからこづかいの全体像としては、若年層でいくぶんの昇給に伴うアップがなされ、中堅層以降で横ばい・減給に伴うダウンが発生し、合計では下落が生じたと見ることができる。

他方、公開されているデータを元に、毎年のサラリーマンの小遣い状況の推移と、日経平均株価(年末の値、2016年は7月1日終値)をかぶせると次のようなグラフが完成する。

↑ サラリーマン平均こづかい(月額)と日経平均株価(年末または直近)推移(-2016年)
↑ サラリーマン平均こづかい(月額)と日経平均株価(年末または直近)推移(-2016年)

グラフの形状、さらにはリリースでも指摘されているが、1991年以降のバブル崩壊後においては、こづかい額は日経平均株価に1年から2年遅行する形で連動する動きを示している。これはまさに景気対策・政策の実行と、その成果が民間ベースにまで浸透するタイミングと近いもので、興味深い傾向でもある。

2016年においては前年と比べて株価は下落した(時系列上では3300円ほどのマイナス)、つまり経済そのものが軟調さの気配を見せていることになる(この時期、イギリスのEU離脱に関する国民投票で為替レートが大きく動き、株価の足が引っ張られたのが大きい)。一方でこづかい額は逆にわずかだが上昇している。来年の調査までに株価が戻し、マインドが回復していないと、おこづかいの動向も厳しいものとなりそうだ。

他方公開はされていないものの、今回の各値の直接対象となった男性会社員における正社員と契約社員や派遣社員との間の比率に変化が生じ、それがここ数年続いている中堅層以降の金額を大きく下げさせた要因となっている可能性は否定できない。次年以降の値を注視したいところではある。


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