アルゼンチン85%で最上位、ポルトガル急上昇…(国債デフォルト確率動向:2013年7月)

2013/07/15 15:00

債権リスクを示す指針の一つとして「CDS」を基に算出された、国・地域の国公債のデフォルト確率「CPD」がある。当サイトでは世界主要国のうち財政・債務リスクが高い国々の動向、経済情勢を推し量るため、毎月定期的に「CPD」の上位国について確認を行っている。今回は2013年7月15日、つまり本日取得したデータをグラフ化し、現状の精査を行うことにする。

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CDSや、国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かな定義、今データの取得場所、さらには各種概念の説明は一連の記事まとめページ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行われている。そちらで確認のこと。

今件のグラフは日本時間で2013年7月15日、本日取得したばかりの一番新しいデータをベースにしたもの。前回月も掲載された国・地域は前回値を併記している。今回は全部の国・地域が前月からの継続のものとなったため、前回未登場の項目に掲示される「NO DATA」は無い。


↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年7月15日時点)

キプロスの銀行閉鎖問題をはじめ、複数国でくすぶりの動きは続き、混乱はあるものの、特に欧州地域を中心にした債務問題は、大きな山場を越えた雰囲気が広まっている。これは一つに各国や欧州委員会、ECB(欧州中央銀行)などの組織が経験を積み、ベターな対処法を学び取ったからに他ならない。またIMFなどによる「縮小財政政策一本槍」の方針が転換されたのも一因だが、各国が「単なる緊縮財政よりも、成長の望めるリストラクチャリング」にかじ取りを変えたことも大きな要因ではある。

しかし今月では、上位掲載10か国のうち、前月比で値が上昇した、つまりリスクが積み増しされた国・地域は9か国。減少したのはエジプトのみ。数ポイントずつの上乗せだが、リスクは再び上昇傾向にあるようだ。一部の国での政治的混乱に加え、中国の経済後退懸念や、アメリカの「出口政策」などが少なからぬ影響を与えているもよう。

今月もっとも気になる動きを示したのはポルトガル。直近のニュースで確認すると、同国では今月に入ってから重要なポストを占めた閣僚が相次ぎ辞任し、人事問題で連立与党内における混乱が発生。これを受けて国債利回りも大きく上昇し、格付け会社の一部も格付け見通しを下げる事態に陥った。さらに国際的な支援を受けるためのトロイカ審査(欧州委員会、ECB、IMFによる財政上の審査)について、政治的混乱を理由に延期を申し入れており、これがリスクの大きな上昇につながっているものと考えられる。



↑ 政治的混乱や財政緊縮が続く中、ポルトガル内部でも政治不信は高まりを見せつつある。これがさらなる混乱を招く一因とも(公式映像)。【直接リンクはこちら:Portugal social protest fury grows】

一方、かつては常に最上位に位置していたギリシャだが、今月は他国同様数字の上昇を示し50%を超えてしまったものの、以前の「8割・9割は当たり前」の状態には程遠い。これは先月からのもので、同国の失業率は相変わらず高いままなのをはじめ、経済状態が突然好転したわけではないが、ヨーロッパ諸国内におけるギリシャへの債務救済に対する反対の声が弱くなっているのが原因と考えられる。また先月取り上げた、国営放送ERTについても、7月11日までに放送を再開した。



↑ ギリシャの国営放送が放送を再開したことを伝えるニュース映像(公式)。【直接リンクはこちら:Greek Public TV Signal Back On Air】

少なくとも現時点では、ギリシャやポルトガルよりも、アルゼンチンやキプロスの方が、国家財務的な面でのリスクが高いと、CDS・CPD市場は見なしていることになる。そのアルゼンチンについては以前も言及したが、同国では国債に関してトラブルを抱えており(【アルゼンチン、米最高裁に審査要請-国債訴訟の高裁判断で(ブルームバーグ)】)、これが高リスク化の引き金となっている可能性は高い。



上記グラフにはその姿はないものの、やはり気になる日本の国債についてだが、4半期ペースで公開されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Reportの一覧ページ】)で確認できる。現時点では4月に発表された2013年Q1(第1四半期、1月-3月)分が最新のものとなっている。

それによると、日本のCPDは6.0%。順位は低い方から数えて20位。前四半期である2012年第4四半期の6.6%・23位と比較した場合、状況は改善、相対順位も改善ということになる。あくまでも「CPDの算出の上」という一側面でしかないが、日本の財務状況は回復の方向を見せ、その勢いも上位の他国と比べて大きな違いはないとの認識のようだ。

欧州の財務状況とも浅からぬ連動性を示すユーロ動向だが、先月に生じた円高ユーロ安の動きは沈静化の方向にあり、今月に入ってからは1ユーロ130円内外で安定している。


↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年7月14日)

ニュースによる各国の動向やユーロをはじめとした通貨の変動だけでなく、債券リスクを反映するCPDの値のような指標は、対象国の経済情勢を推し量る重要な要素となる。不特定多数の専門家によって(無論市場原理も多分に作用するが)決定づけられた値には違いないからだ。

今後も引き続き、概略的にではあるが、CPDを通して特に欧州方面の経済的動向を眺め見ることにしよう。

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