電通はテレビ12.8%・新聞4.5%のプラス、ネットは両社共強めの動き(電通・博報堂売上:2013年6月分)

2013/07/11 07:55

博報堂DYホールディングスは2013年7月9日、同社グループ主要3社(博報堂、大広、読売広告社)の2013年6月の売上高速報を発表した。また電通はそれに先行する同年7月7日付で単体売上高を発表しており、これで日本国内の二大広告代理店における2013年6月次の売上データが取得できる形となった。今回は両社の主要種目別売上高の前年同月比を計算してグラフを生成した上で、両社それぞれの広告売上動向や広告業界全体の動きの精査を行うこととする。

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4マス不調だが電通はテレビが強い


データ取得元の詳細や各項目に関する算出上の注意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で確認のこと。


↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2013年6月分種目別売上高前年同月比

2011年3月の東日本大地震・震災の広告業界への直接的影響はほぼ消え去り、消費者の消費性向や電力周りへの懸念に伴う間接的影響が残る程度となった。それ以外は震災前の業界動向が継続、あるいは拡大化する形で状況が推移している。

その動向とは「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が影響力を落とす」「インターネットが伸びる」「従来型広告の復権」というものだが、一方で昨今では「テレビはやや復調する」流れも見せている。これには人口構成上の高齢化が一因であるとされている。

今回の6月分を見ると、4マスは概して軟調だが、電通に限ると新聞とテレビが良い動きを示している。このうち新聞は比較対象となる1年前の状況を精査した記事で確認するとマイナス8.6%となっており、その反動が今月に出ている可能性は高い。一方テレビは同じ時期でプラス2.7%であり、そこからさらに今月12.8%のプラスを示したこととなる。2年比計算をするとプラス15.8%で、確かに躍進している。

インターネット広告は両社とも手堅い動き。また従来型広告はややぶれがあるが、下げ幅は最小限に留まっており、大きく上げている項目も複数ある。少なくとも4マスのような低迷感は無い。

電通の総額推移などいくつかの具体的金額をグラフ化


次のグラフは電通の各年6月における広告売上総額推移をグラフ化したもの。同じ月の推移を確認すれば、いわゆる季節属性(季節や月により広告出稿の大小が生じる)を考慮せずに、年ベースでのすう勢を知ることができる。


↑ 電通月次売上総額推移(各年6月、億円)(-2013年)

電通の総額動向を見る限り、リーマンショック(2008年秋)、さらには震災のダメージからは脱しており、直近の金融危機(2007年夏以降)の水準まであと一歩のところに近づいている。今世紀初めに体験した、前回の不景気とほぼ同じ水準にまでは戻っている。

一方で昨今の動向を見るに、同じ水準の金額とはいえ、それを構成する要素には大きな変化が生じている。そしてその変化は現在も進行中。上記にある「4マス軟調だがテレビは例外的に強め」「インターネットと従来型広告の伸び」がその代表的な動きである。

なお今記事最上位にあるグラフは、「個々の会社の前年同月比」。絶対額の差異にそのまま結びつく、例えば「電通のプラス5%分と博報堂のプラス5%分が同じ金額を示している」「電通のインターネット項目のプラス5%とテレビのプラス5%が同額を示している」わけではないことに注意してほしい。下記に具体例をいくつかグラフとしてまとめたが、個々の項目では電通の方が額面は大きく、項目別ではインターネット分野の市場規模はテレビにははるかに及ばず、まだ小さめである。


↑ 電通・博報堂DYHDの2013年6月における部門別売上高(億円、一部部門)

数字目標無しの夏期節電期間に入り、熱中症と共にエアコンをはじめとした冷房機器の電力消費が話題に登る昨今。数年前から注目を集め始めた「デジタルサイネージ(デジタル系、インターネット系技術を取り入れた従来型広告の発展版。液晶パネルの利用が多い)」は震災前こそ日本でも海外同様大規模に導入される機運があったものの、震災で「無駄に見える電力消費はバッシングの対象になりうる」とのリスクが生じ、その勢いは展開・開発共に大きく減退している。

ようやくデジタルサイネージそのものも最近少しずつ動きを見せるようになったが、それでもまだ震災前と比べれば、牛歩の歩み程度でしかない。他方、今月だけでなくここしばらくの間、従来型広告の業績が堅調なのも、この電力事情が多分に影響しているものと考えられる。

4マスの中でもテレビ以外の動きが鈍い、むしろ後退しているのは、それらの媒体の「メディア力」の低下が数字化したに過ぎない。そして唯一健闘しているテレビも若年層から中堅層における視聴率の低迷が叫ばれており、上記にあるように高齢者の娯楽として楽しまれている・その高齢者の人口比率の増加に支えられている面が強いことを考えると、短期はともかく中長期では安穏としていられない。

経産省発表の広告売上推移と共に、今件両社の売上を随時精査し続けることで、広告業界全体、さらには各メディアの影響力の現状と今後のすう勢も、推し量れるに違いない。

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