梅雨入りや株価・為替変動懸念で後ずさり…2013年6月景気ウォッチャー調査は現状下降・先行き下降

2013/07/09 07:55

内閣府は2013年7月8日、2013年6月時点における景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を公開した。その内容によれば現状判断DIは先月から続いてて3か月連続して減少し53.0となったが、水準値50は上回る状態を維持した。先行き判断DIは先月から続いて2か月連続して減少したが、やはり水準値の50以上を維持している。結果として、現状下降・先行き下降の傾向を示している。基調判断は先月からやや後退する形の「景気は、このところ持ち直しのテンポが緩やかになっている」となっている(【発表ページ:平成25年6月調査(平成25年7月8日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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コスト増に加えて株価と為替の急変がマイナス要因


調査要件や文中のDI値の意味に関しては、今調査の解説記事一覧【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で説明が行われている。そちらでチェックしてほしい。

2013年6月分の調査結果は概要的には次の通り。

・現状判断DIは前月比マイナス2.7ポイントの53.0。
 →3か月連続の減少。「やや良くなっている」が大幅に減り、「やや悪くなっている」が増加。「悪くなっている」も増加。
 →家計では高額品が引き続き好調だったが梅雨入りに伴い外食産業などで客足が鈍り低下。企業動向は円安に伴うコスト増懸念や、株価や為替の急激な変動で一部取引に慎重な姿勢が生じたために低下。雇用関連も為替や株価動向を受けて低下。

・先行き判断DIは先月比でマイナス2.6ポイントの53.6。
 →政策効果への期待は続くがコスト増や電気料金の上昇懸念、さらには株価や為替の急変で先行き不透明感が増し、低下。

円安に伴うコスト増、電気料金の負担増は先月からのものだが、それに加えて今月は天候事由、5月中旬から始まった外部要因に伴う株価の急落と為替の大きな変動が、景気判断に大きな足かせとなっているのが分かる。

外部要因による株価と為替が現況にも先行きにも重しとなる


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向を簡単にチェックしてみよう。まずは現状判断DI。


↑ 景気の現状判断DI(-2012年6月)

今回発表分では全項目がそろってマイナスに。もっともマイナス幅が大きいのは飲食関連で、梅雨による客足の遠のきが大きく作用している。先月は連休明けの失速との言及があったことから、ゴールデンウィーク以降は概して軟調に推移したことになる。

また企業動向関連は双方ともマイナス幅は大きい。これは円安によるコスト増に加え、株価の下落と為替の大きな変動(アメリカの「出口政策」周りの噂や中国の経済の失速、キプロス問題に代表されるEU圏での債務問題に絡んだ不安要因の高まりなどが材料)が原因となっている。

続いて景気の現状判断DIの動向を、資料に添付されている長期チャートにしたもので確認する。主要指数の動向のうち、一番落ち込みやすい雇用関連の指数の下がり度合いが把握しやすくなるように、前回の不景気時、つまり2001年当時における下げの最下層時点の部分に赤線を当方で追加し、今回の不景気との比較をしやすくしている。


↑ 2000年以降の現状判断DIの推移(赤線は当方で付加)(-2012年6月)

2007年夏以降の金融危機では、2008年後半のリーマンショックを経て、各指数はITバブル崩壊時(2001年当時)をはるかに超える勢いで下落する。その後リバウンドの形で上昇するも経済と市民の心理が受けた傷は大きく、基準値50を天井とする形での動きが続く。

そして2011年3月の東日本大地震・震災で再び大きな、加速度としてはリーマンショック以上の勢いで下落を示す。その後戻しは見せるが、さらに低迷感の強い流れが続いていた。

2012年11月以降は政情の変化に伴い、期待感とその期待に応える形で一部実態としての株価・為替の動きがあり、それらに後押しされるように各指数は上昇。今年に入っても指数は水準値50を上回る動きが続いている。

一方この二、三か月の動向は、株価と為替の不安定さに伴い後ずさりしている感は強い。「株価や為替の動きは自分には関係ない」との意見を良く耳にするが、世間全体としてはやはり多分に心理的影響が強いことを実感させられる。

景気の先行き判断DIは先月に続き、全項目でマイナスを記録している。


↑ 景気の先行き判断DI(-2013年5月)

もっともマイナス値が大きいのは雇用関連のマイナス3.5。上記概要にもあるように、そして現状指数同様、コスト上昇に加えて株価と為替の大きな変動に不安感・不透明感が増し、これが心境を悪化させたようだ。今回月では住宅も引き続き下げを見せ、60超の項目が無くなってしまった。また、飲食関連は基準値50を切る動きを見せ、やや不安が募る。

次の折れ線グラフ上の過去の動きで確認できるが、雇用関連値は他の指数に先行するパターンが多い。さらに「合計値」を下回ると、過去2回で大規模な全体値の下落、大きな景気の落ち込みが生じている(2001年前半と2008年前半)

今回月ではまだまだ他の値(とはいえ住宅関連には抜かれたが)より高いとはいえ、雇用関連はもっとも大きな下げ幅を示しており、こちらも気になるところではある。


↑ 2000年以降の先行き判断DIの推移(前回不景気時の雇用関連の最下層に位置する赤線は当方で付加)(-2013年6月)

変動傾向は現状指数とほぼ同じだが、金融危機ぼっ発、そしてリーマンショック後におけるリバウンドなどでの上昇面の戻りが鈍い。これは概して現状認識よりも、先行き不透明感の方が大きかったのが要因。要は「先の見通しが立たないので、希望も持てず、心理的な『景況感の回復』も見られにくい状態」が続いていたことになる。2011年3月の震災が、それをさらに決定的なものとした。

そして現状指数と同じく、2012年11月以降は今までの不透明感がウソであるかのように、大きな上昇を見せている。ここ数か月は現状同様に、株価・為替の急変を受け下落しているが、それでもまだここ数年来の低迷と比べれば、大人しい動きといえよう。

「最近の為替や株式市場の乱高下に困惑している」


発表資料には現状・先行きそれぞれの景気判断に関して、その判断を出した理由が詳細に語られたデータも収録されている。そこで世間一般では一番身近な家計(現状・全国)(先行き・全国)の事例を挙げてみると、次の通りとなる。

■現状
・天候や気温の安定が好影響となり、今まで苦戦が続いていた衣料品の購買客数がようやく上向いてきた(百貨店)。
・売り尽くしセールでは1千万円以上の高額品の動きが好調である。宝飾品などを中心に消費増税前の購入を含め、高額品の動きが良い(百貨店)。
・家電製品がエアコンや冷蔵庫を中心に動き出している。電気料金の値上げにより、単価の高い省エネ家電も売れてきている(家電量販店)。
・先月は全部門が好調に推移したが、今月は宿泊、宴会、食堂共に前年を割り込んでいる(都市型ホテル)。
・5月が過ぎ、梅雨空とともに来店客数が減少している。夏休みまでは回復できなさそうである(一般レストラン)。

■先行き
・都心に本社を置く一部の法人の間ではアベノミクス効果が表れ始めている。支社のリース車を燃費の良いハイブリッド車に代替する動きも出始めており、地方大都市にも景気上昇の気配が表れ始めている(乗用車販売店)。
・アベノミクスが軌道に乗れば、夏以降、給与が上昇する(百貨店)。
・今後、円安による輸入原料の値上がりや電気料金の昼の時間帯の値上げ、さらに8月は食用油やマヨネーズなど油脂類の値上げが予定されている。この様な状況のなか、消費がすぐに回復するとは考えにくい(スーパー)。
・株価や為替の乱高下が景気回復への期待感に水をさした格好になった。原材料価格の高騰や消費増税に対する警戒感が家計の直近の課題となっている(商店街)。
梅雨は毎年の話ではあるのだが、今年は5月の連休明け以降の天候不順で小売り関係を中心に痛手を受けていたことから、そこから連なる形で小さからぬ継続ダメージとなったようだ。

また上記家計動向でも確認できるが、ここ数か月の外部的要因による株価と為替の大きな変動が、深い影を落としている。特に企業動向における「最近の為替や株式市場の乱高下に困惑している。経済的な安定感がないと企業は動きにくく、設備投資も一時様子見が出ている」というコメントが印象的である。



国内政治環境の変化が
多分に景気高揚をもたらすが
外部要因による
為替と株価の変動が
足を引っ張る形に。
金融危機による不況は2007年夏にその初動が確認できるが、その後リーマンショック、さらには東日本大地震・震災を経て、人々の心理状況にも大きな変化を与えることとなった。特に震災は保守化・守りの姿勢の強化の流れを人々に深く刻み込んでいる。この動きはとりわけ小売業に大きな影響を与えている。

昨年末に日本国内では大きな政情変化があり、これが景況感の動きのきっかけとなった。過度の円高は是正されはじめ、期待感を先取りする形で株価は上昇。それに伴い実働化される政治や経済の流れで、少なくとも世情の雰囲気は持ち直しを見せつつある。

昨今では外部要因による足かせ、さらには景気向上のためのコストとなる問題(為替レートの適正化に伴う輸入材料のコスト高など)が問題視されるようになった。特に市民レベルではこれまでの負の遺産ともいえる、電気代の値上がりが大きな負担となっており、これが消費行動をはじめ、各方面にも影響を与えつつある。

これから夏にかけて電気関連はさらに注目を集めることになる。さらに7月21日に投票が行われる参議院選挙の結果次第では、さらに国内政治が動く可能性もある。景況感はこれらの流れにどのような影響を受けるのか、気になるところだ。

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