高値を示した砂糖や油脂も安定化の流れ(2013年6月分世界食糧指数動向)

2013/07/10 11:30

2013年7月4日付で国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)では、毎月恒例の【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】のデータ更新を行い、2013年6月分を発表した。この値は1990年以降にFAOが世界の食料価格の変化を月単位で定期的に集計し、計算の上で発表しているもの。今回は、この発表値を元にいくつかのグラフを生成し、現在の世界規模での食料価格の動向を推し量ることにする。

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金融危機で上昇したあとは高値安定


今記事のデータ取得元や用語の解説については、一連の記事のまとめ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で行っている。そちらで確認をしてほしい。

最初に展開するのは、現時点での最新値(2013年6月分)までを取り入れた、公開全データを使った折れ線グラフ。1990年以降の中長期的な食料価格の変移概要が一目で把握できる、詳細はともかく概要を知れる、資料性の高いものである。


↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2013年6月)

砂糖は相場関係ではしばしば話題に登る通り、元々価格変動性の高い食料品である。その砂糖の動向を示す砂糖指数(オレンジ色の線)は、見た通り、他と比べると上下の値動きが激しい。それ以外の項目では2005年前後までは、下限50・上限150の領域(水準値を100とし、プラスマイナス5割内)で小刻みに変動する程度の値動きを示していた。

ところが2005年終盤あたりからじわじわと上昇の気配を見せ、金融危機のきっかけとなる、いわゆる「サブプライムローンショック」(2007年夏-)が始まると、ダイナミックな上昇の流れを示す。そしてその後は反動による急降下、さらには「リーマンショック」(2008年9月)を経て、高値安定の動きを示すようになった。また砂糖に関しては、天井知らずの上昇すら予見させるものがあった。

2011年後半期からは各食品により下げ率に違いはあるものの、少しずつ値を下げている。砂糖の上昇一本槍の動きもブレーキがかかるどころか反動の下落を示す。だが確実に下落を継続しているのは砂糖と油脂のみで、他は上下を繰り返しながらも全体的には高値を維持している。

続いて、グラフ生成開始期間を金融危機が始まった年の2007年として対象期間を短くし、金融危機以降の動向をもう少し詳しく見ていくことにする。


↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2013年6月)

砂糖指標のグラフの動きを見ると2010年初頭から、細い「U」の字を描くかのような急落、そして急上昇が目に留まる。これは元々過熱感のあった砂糖相場において、豊作の報をきっかけとした相場反動(反落)の結果。ここまで見事なチャートはあまり見られず、様相的にはまさに「ナイアガラの滝」。

だが中期的な価格上昇の原因「需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感」が解決したわけではない。すぐに再び砂糖価格は上昇をはじめている。そして2012年中ほどまでは高い領域(300を底値)での上げ下げを繰り返していた。

ところがこの数年においては、2011年中旬の約400を天井として、するすると値を落とす流れを続けている。これは豊作による供給増加、さらには景気後退による甘味需要の減退が原因。あるいは2010年中頃の水準にまで落ち込む可能性も出てきたが、需要バランスが均衡化し、景気回復感も出てきたため、値の落とし方は緩やかになってきたようにも見える。

前月比と前年同月比で動向を確認、さらには今月の状況


昨今、加えて直近の食料価格の上下動向を確認するため、各指標の「前年同月比」と「前月比」を併記し、数字の変移が分かりやすいようにしたのが次のグラフ。


↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2013年6月)

総合指数は前月比でマイナス0.9%とわずかながら下落しているものの、前年同月比ではプラス5.4%。もっともこれは昨年の5月-6月に少々大きめな下落を示したことによる反動の部分が大きく、全体的としては安定している。

個別項目を見ると、前年同月比で油脂や砂糖が1割以上の下げ幅で、これは先月から継続している。一つ上の棒グラフを見直せば分かる通り、年ベースでこれらの項目は減少しているのが分かる。もっとも先月比の下げ幅がかなり小さくなっていることから、上記でも触れたようにそろそろ底を打つ気配もある。

一方乳製品は前年同月比で大きな上昇(37.8%)。この1年における価格上昇の著しさが再確認できる。しかし前月比は前月に続きマイナス値で、こちらは天井感を覚える。

リリースでは今月の動きについて

「穀物指数の前月比のマイナスは、世界的な豊作予想に連動してのもの。特に北半球における小麦の豊作が指数全体を大きく下げる要因になった。しかしトウモロコシや大麦などは需要が堅調なため、収穫が始まる10月までは値の大きな動きはなさそう。米はほとんど変動なし」


「油脂指数はこの半年間で最低の基準に。南アメリカでの輸出量増加が大きなきっかけとなった。また需要が落ち込んでいるのも一因。一方パーム油は在庫調整が上手くいっているようで、堅調に推移」

「乳製品指数は大きく下落しているが、この数か月の急上昇による反動と見た方が無難(前年同月比を見れば、全体的には上昇傾向にあることが分かる)。前月5月と比べれば構成要素すべてで値が下がったが、特に粉ミルクとバターの減少が著しい。ニュージーランドからの出荷シーズンが終わり、欧米その他地域からの供給が始まるにつれて、値は安定を取り戻しつつある」

「食肉指数は安定。豚肉価格が下がり、指数の上昇を抑える形となった。国際的な輸入需要が落ちているため(例えば日本や韓国で国内生産が増加したため)、今後値が落ちる可能性が示唆されている」

「砂糖指数は下落。生産量が大幅に増加しているのが原因。主な生産地域の一つであるブラジルで豪雨が発生し、収穫が遅れる懸念があるが、それでも値の下落は継続中」
などと説明されている。

需給双方の立場から、食料品価格は安定していた方が良い。単に安値、高値をつけていただけでは、どちらかが疲弊し、結果として需給バランスが崩れてしまうからだ。この数か月は昨年の高値からは値を落とす形で安定化が継続しており、やや上昇を続けていた乳製品指数以外は良い状況にあるといえる。

農林水産省のレポートを確認


大規模な異常気象(昨今の干ばつが良い例)のような、需給関係のバランスを大きく動かす事態が発生しなければ、人口増加と諸国の生活水準の向上により、中期的には相場動向による上下を経ながら、値は上がり続ける。原油輸出国だった国が、自国の発展と共に石油の消費量が増え、輸入国に転じる仕組みと同じだ。

今記事では毎月確認している【農林水産省の海外食料需給レポート】の2013年6月分で最新の動向を見てみると、主要穀物品種のうち小麦・とうもろこし・大麦・米で生産量が前年同月比で増加、史上最高の量となる見込み。一方消費量は小麦・とうもろこし・大麦・米で増加し、こちらも史上最高の量となる見込みが出ている。結果として期末在庫量見込みは生産量が消費量を上回ることから、前年度より増加し、期末在庫率も19.8%と上昇する見込みとのこと。

昨今では欧米の景気動向もやや回復の兆しを見せてきたが、一方で中東・地中海方面の動静は再びきな臭さを示し始めている。社会や経済動向と複雑に、そして浅からぬ関係を持つ食料価格の動きを示す、今件各指数を、今後も精査していことにしよう。

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