EUにクロアチア加盟、ギリシャの若年層失業率59.2%に改善…EU失業率動向(2013年5月分)

2013/07/02 11:30

EU(欧州連合)内外の統計情報を集約し、各国、あるいはEU全体の政策に役立てる各種情報を提供・公開するEU統計局(Eurostat)は2013年7月1日、諸国の失業率データについて2013年5月分の値を公開した。そこで今回は同最新値を元に、主にEU諸国における失業率、中でも若年層の値にスポットライトをあて、状況の把握を行うことにした。主にギリシャの若年層失業率が6割をかろうじて切る、クロアチアのEU加盟などの動きが見られる。

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クロアチア参入でEUは28か国体制に


グラフ中などに出てくるEA17・EU28については一覧ページ(【定期更新記事:ヨーロッパ諸国の失業率動向(EU統計局発表)】)上の解説部分で確認してほしい。

なお記事題名にもある通り、今年の7月からEUにクロアチアが加盟することになった。これは旧ユーゴ諸国の中ではスロベニアに続き2か国目となる。2003年に加盟申請をして、2011年末に承認。そして今回、ようやく加盟の運びとなった。



↑ クロアチアのEU加盟を祝うセレモニーなど。【直接リンクはこちら:Croatia Joins EU With An Official Ceremony】

さて、ILO基準における2013年5月時点の発表データによる失業率は次の通り。EU28か国(今回から過去データのさかのぼりも含め、クロアチアを合わせた28か国で計算している)では11.0%・EA17か国では12.1%を記録している。なおこのグラフもあわせ今記事では、直近2か月分のデータが未掲載(主に調査中)の場合、掲載時点で公開されている最新月分のデータを代用している。例えばエストニアは2013年4月分までの値が公開されているため、ここでは5月分として収録している。


↑ 2013年5月時点でのEU諸国等の失業率(季節調整済)

今回月ではトップはスペインとなり、ギリシャはそれに0.1%ポイントの僅差をつけての2位となった。ただしギリシャの値は2013年3月時点のもので、仮にスペインの同月の値(26.6%)と比較すると、やはりギリシャの方が上になる。

また、今回初参加となるクロアチアは4位、16.5%という高水準の値を示している。【外務省の関連情報(クロアチア共和国)】を見ても、EU加盟のための施策、例えば対外債務問題やグレー経済対策、財務の安定化を推し進めてはいるが、不況からの脱却には至っていないようだ。

スペインやギリシャ、クロアチア以外にも、ポルトガル、キプロス、アイルランド、イタリアといった、財政問題、債務問題でよく話題に登る国々が上位に名前を連ねている。単純に失業問題がそれ自身だけでなく、それぞれの国の経済問題と関係があることを示唆する結果となっている。

今回も該当月の前月(2013年4月)の値との差異を計算し、グラフ化を行う。今件では過去データも逐次修正されているため、前月分もその修正を反映した上でのものとなる(【Data Explorer】上の値を使用)。


↑ EU諸国等の失業率変化(プラス=悪化)(季節調整済・2013年4月→2013年5月)(またはデータ最新一か月前→最新)

国内人口の少ない国では統計値がぶれやすい。さらに国によって誤差が生じやすい事例が確認されていることもあり、今件ではプラスマイナス0.5%ポイント以内は「誤差」している。その観点で精査すると、リトアニアの状況改善が目に留まる。特にリトアニアに関する経済関連のニュースは無いが、同じバルト3国のラトビアでユーロの導入が決まったこともあり、同国でも2015年の導入を目指して再申請の方針を固めている話は伝わっている。今件に向けた各種施策の成果が出ているのかもしれない。

ギリシャは改善で6割を切る、新加盟のクロアチアが高い若年層失業率


昨今の失業問題で特に強い懸念を持たれているのが、雇用上の立場では弱い位置にある若年層の失業率。直近の2013年5月時点では25歳未満の失業率はEA17か国で23.8%・EU28か国でも23.2%を記録しており、5人に1人以上が失業状態にある。全体の失業率上位でもお馴染みのギリシャの59.2%(2013年3月)、スペインの56.5%を筆頭に、ポルトガル、イタリア、キプロスなど、経済的に不安定な状態にある国や、労働市場・構造上の問題を抱える国での高さが目立つ。


↑ 2013年5月時点でのEU諸国等の25歳未満の失業率(季節調整済)(5月データが無い国は直近分)


↑ 2013年5月時点でのEU諸国等の25歳未満の失業率・前月比(季節調整済)(5月データが無い国は直近分)

プラスマイナス0.5%ポイント以内を誤差基準としているので、今回月ではギリシャ、イタリア、ブルガリア、スウェーデン、チェコ共和国、エストニア、ノルウェーの改善、日本の悪化が確認できる。中には単なる統計上のぶれの可能性もあるが、数か国での状況改善は喜ばしい話には違いない。債務問題の山場が超えたことの表れ……と判断するのには、まだ早い気はする。いくら前月比から改善されても、数十%をはじき出していたのでは「良い状況」と評価することはできない。

また今回から加盟したクロアチアだが、若年層の失業率は2013年3月分までが公開されている。それを過去のデータも合わせ動向を見たのが次のグラフ。


↑ 2012年3月-2013年5月での25歳未満の失業率(季節調整済)(クロアチア)

ギリシャ、スペインには及ばないものの、それに続く値を示しているだけでなく、次第に悪化する状況にある。今後の動向次第では、スペインなどを追い抜く可能性もあるため、注視が必要となる。

一方、日本の大幅悪化だが、原因は不明。急激に悪化するような事態は起きていない。昨年も同月前後には大きく上振れする傾向を見せていたため、いわゆる季節変動的な部分があるのかもしれない。



欧州の債務問題は大規模な方針転換を果たしたものの、その実働はまだ歩みが遅いものとなっている。EU、さらにはユーロ圏そのものの存在意義が問われる一方で、今回のクロアチアのように周辺諸国からのアプローチは続き、加盟を果たす国がちらほらと出てきている。

経済状態の改善は、その国の社会問題の大部分を改善しうる。要は「豊かになれば、大抵の物事が上手くいく」というものだ。EU諸国がその仕組みを上手に使いこなし、連携する形で共に経済的な力を押し上げ、共に上昇を果たせれば、各国の、特に若年層の失業率も改善に向かう。もちろんそのためには各国の協力、そして個々の国のリーダーたちの力量が問われることは言うまでもない。

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