全体では64.0%、20代世帯では6.3%…固定電話の保有状況(最新)

2023/08/26 02:44

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2023-0813携帯電話の高性能化と普及が進むに連れ、少なくとも一般の世帯において電話の利用スタイルは世帯単位から個人単位へと変わり、固定電話の必要性はこれまでにないほど減少している。若年層では実家を離れ一人暮らし・独立世帯化する際に、固定電話の契約をしない事例も増えている。それでは現状として、固定電話はどの程度浸透を維持しているのか。総務省が2023年5月29日に詳細値を発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に、日本における世帯ベースでの固定電話の保有状況を確認していくことにする(【発表ページ:通信利用動向調査】)。

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全体で2/3近く、20代では1割にも届かず


今調査の調査要項は先行記事【光回線は60.7%、携帯電話回線は56.7%…自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(最新)】で行っている。必要な場合はそちらを参考のこと。

【電話加入者数の推移(最新)】などでも解説している通り、携帯電話の普及とともに、固定電話の加入者数や契約者数は漸次減少している。この傾向は変わるところがなく、むしろ加速化している感すらある。

↑ IP電話利用数・固定電話加入数・携帯電話加入数(万件、万契約)(積み上げ)(再録)
↑ IP電話利用数・固定電話加入数・携帯電話加入数(万件、万契約)(積み上げ)(再録)

今調査対象母集団では固定電話の世帯全体の普及率は64.0%。前年2021年時点の値66.5%からは2.5%ポイント減少している。全世帯のうち1/3強は「固定電話無し」。

↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、世帯主年齢階層別)(2022年)
↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、世帯主年齢階層別)(2022年)

特に20代から30代の若年層世帯主での世帯において、低い保有率なのが目にとまる。無論これらの層で「電話離れ」が進んでいるのではなく、「固定電話離れ」が進んでいるだけであることに注意が必要。携帯電話があれば、固定電話の必要性は低くなる。さらに個人主義・個別主義が浸透する昨今では、世帯ベースの電話連絡先の必然性が低くなっている。そして世帯人数の減少、単身世帯の増加もそれに拍車をかけている。

この流れはアメリカ合衆国でも同様。【アメリカ合衆国の電話普及率推移(最新)】によれば、2022年下半期時点で固定電話が無く携帯電話のみの世帯は、全体の72.6%にまで達しているとの結果が出ている。

↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境(アメリカ合衆国、大人(18歳以上)(再録)
↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境(アメリカ合衆国、大人(18歳以上))(再録)

そう遠くないうちに、日本も同じ状況に至るのは容易に想像ができる。もっともその時には、アメリカ合衆国ではさらに固定電話離れが進んでいることになっているはずだ。

属性別に固定電話の保有状況を確認


固定電話の保有状況を世帯構成と世帯年収別に見たのが次のグラフ。

↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、属性別)(2022年)
↑ 固定電話の保有状況(世帯単位、属性別)(2022年)

高齢者がいる世帯では高く、若年層のみで構成された世帯は低い値を示している(大人3人以上の場合は若夫婦+高齢層の構成であることは容易に想像ができる)。また、世帯年収別では400-600万円未満を底とし、それ以上の年収の世帯では、世帯年収が大きいほど固定電話の保有率も高いものとなる。多分に世帯年収そのものではなく、世帯年収と連動性の高い世帯主の年齢が影響しているのだろう。



スマートフォンを含めた携帯電話も、使わずにホルダーに固定するなり、充電している限りにおいては、固定電話とほぼ同じ利用スタイルとなる。その視点で考えると、携帯電話を多用しているのなら、固定電話は特に必要無しとする考えが、誰もが頭に浮かぶはず。

かつては各種契約時・登録時に固定電話番号を求め、携帯電話番号では不可とする事例もあった。しかし昨今では固定電話を所有しない世帯が増加している状況を考慮し、携帯電話の番号でも問題無しとするケースが増えている。

業務用としての必要性も考慮すると、固定電話が無くなることはないだろう。しかし一般向けとしての普及率の低下、携帯電話への置き換えの動きは、今後さらに進むことは間違いあるまい。


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