スマホとタブレット型端末が大いに増加中…高齢者のネットアクセス機器動向(2016年)(最新)

2016/10/24 05:24

団塊世代が定年退職を迎え、人口構成比率上でもさらに高齢層の割合が増加し、高齢化社会が進む中で、高齢層のインターネット利用状況に注目が集まりつつある。就業時と比べて多分にプライベートの時間を取れるメリットがある一方、新しい技術には奥手、腰が引ける傾向がしばしば見受けられること、さらには身体的な老化に伴い操作に難儀する事例もあることなど、世代間ギャップの原因要素となる点も指摘されている。今回は総務省が2016年8月18日に詳細値を発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に、「高齢者のインターネットアクセス機器」を介して、インターネットの利用状況を確認していくことにする(【発表ページ:通信利用動向調査】)。

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パソコンがメインだが従来型携帯も大活躍のシニアアクセス


今調査の調査要項は先行する記事【自宅パソコンのネット接続回線の種類をグラフ化してみる】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

先行記事【インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率をグラフ化してみる】でも解説しているが、パソコンでインターネットを利用している人は56.7%、スマートフォンも含めた携帯電話でインターネットへのアクセスをしている人は66.2%に達している。

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2015年末)(パソコン)(再録)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2015年末)(パソコン)(再録)

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2015年末)(パソコン以外)(再録)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2015年末)(パソコン以外)(再録)

シニア層においては中堅層と比べて従来型携帯電話によるインターネットの利用が多く、インターネットの利用をけん引している状態にある。そこで60歳以上に限定して年齢区分を細分化し、「携帯電話」を「従来型携帯電話(フィーチャーフォン)」と「スマートフォン」に分割し、上記のグラフを再構築したのが次の図。

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(年齢階層別/2015年末)(全体と高齢者限定)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(年齢階層別/2015年末)(全体と高齢者限定)

全体では54.4%と昨年(47.0%)からさらに増加した「スマートフォンによるネットアクセス者」も、60歳以上では大人しいものとなっている。そしてパソコン経由の利用が掲載しているすべての年齢階層でトップではあるが、従来型携帯電話の利用率も非常に高い。60代後半以降はスマートフォンを抜いている。

これは「今まで使っていた従来型携帯をそのまま愛用し続けている」「スマートフォンへの買い替えに合わせ、多くの新しい操作を覚えるのは面倒」「メールや簡単なソーシャルメディアへのアクセスができればそれで十分」など、シニア側の利用実状が理由であると考えられる。

「それらの機能のみで十分ならば、どのみちすべての機能が使える、新型のスマートフォンでも特に弊害はないではないか」との意見もあるだろう。しかしスマートフォンは従来型携帯電話と比べて多機能=覚えねばならないことが多い。その上【タッチパネル製品保有の世帯は8割強、携帯ゲーム機5割・カーナビ1/3】でも指摘している「タッチパネル製品が使いにくい」といった、シニア層ならではの問題点が理由として挙げられる(無論スマートフォンの普及がこの数年の間の出来事なので、「昔から愛用」の事例はごく少数のものとなる)。さらにいえば機能を使わなくても料金体系の上で、スマートフォンは従来型携帯電話と比べて割高になるのも、シニア層でスマートフォンが敬遠される一因でもある。

もっとも昨今ではいわゆる「格安スマホ」の展開により、料金面でのスマートフォンのハードルは以前よりも低くなりつつある。ただしその分、利用時のハードルが高く、その点で高齢層にとっては難儀するかもしれない。

それでも昨年と比べれば…なシニアのインターネット事情


直近分の調査結果となる2015年末においても、パソコンと並び従来型携帯電話が、シニア層にとって重要なインターネットへの窓口であることに違いは無い。しかし少しずつ情勢は変化を迎えている。次に示すのは前年2014年末の状態との差を算出したものだが、高齢層におけるインターネット事情の変化がすけてみえる内容となっている。

なお2014年末分まではパソコンの利用は自宅内・自宅外に分割されていたが、2015年末分からは単にパソコンで統一されている(調査票の限りでは分割されているが)。そこでパソコンの項目は2014年末の分は値が高い自宅利用のものと比較する。そのため、2015年末分におけるパソコンの前年比は、参考値程度の精度と見てほしい。

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(年齢階層別/2014年末から2015年末への変移)(全体と高齢者限定)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(年齢階層別/2014年末から2015年末への変移)(全体と高齢者限定)

シニア層の中でも比較的若い世代、60代前半では従来型携帯電話の利用率がグンと下がり、その分スマートフォンとタブレット型端末の利用が上昇している。これらの世代でインターネット利用に関するシフトが若年層同様に起きていることが分かる。

他方70代以上ではスマートフォンやタブレット型端末同様に、従来型携帯電話の値も増加しており、インターネットの利用へ積極姿勢を示しつつも、スマートフォンへは踏み切れない人が少なからずいることがうかがえる。前述の通り「メールや簡単なソーシャルメディアへのアクセス」は従来型携帯電話でも可能に違いなく、その限りでは低コストで運用ができる。

インターネット接続型テレビの利用率は一様に下がっている。インターネット接続の端末に関して、ある程度絞り込みの動きが高齢層に生じている可能性がある。また家庭用ゲーム機は元々ほとんど使われていないので減りようが無い。

上記で触れたタッチパネル周りの問題に関して技術的な解決報道はまだ見聞きしていない。一方、料金体型とスマートフォンとの関係については、先行記事でも触れている通り、「使い勝手や外観は従来型」「OSなどはスマートフォン」「料金体系は従来型かそれに近い」様式を有する、ガラホなるカテゴリの端末が登場し、普及が始まっている。さらに上記で言及の通り、「格安スマホ」も大いに注目され、急速に利用者が増えている。今調査でどのような取り扱いがなされるかは現時点では不明だが(回答者の認識としては、ガラホは従来型、格安スマホはスマートフォンに属することになる)、高齢者におけるインターネット利用事情にも、少なからぬ影響を及ぼしそうではある。


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