日本の家計資産残高は増加、1746兆円に…日米家計資産推移(2016年Q2分)(最新)

2016/09/30 11:10

日本銀行は2016年9月29日付で、2016年第2四半期(4-6月、Q2)の「資金循環の日米比較」レポートを公開した。その内容によれば日本では前四半期比で「現金・預金」「保険・年金準備金」の額が増え、「債券」「投資信託」「株式・出資金」の額が減少し、金融資産総額は減少し1746兆円となった。高い貯蓄性向は継続されており、日本の「現金・預金」比率は相変わらず5割を超えている(【日本銀行:資金循環リリース掲載ページ】)。

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日米の金融資産への考え方が顕著に分かる資産分布


今リリースは日本銀行が年4回定期的に「資金循環の日米欧比較」の速報値として発表している。当サイトでは2009年6月掲載、2009年Q1分から定期更新の形で各データをグラフ化し、状況に関して精査を行っている。今回は2016年9月29日に発表された最新版公開値(2016年Q2分)に基づいたものとなる。

まずは直近となる2016年第2四半期(Q2)時点での、日米、そして参考値としてユーロエリアでの家計に関する資産構成比率。日本が「現金・預金」で半数超えと大きく傾倒している一方で、アメリカ合衆国が「株式・出資金」や「投資信託」さらには「債券」を大量に保有している図式はこれまで通り。リスクを許容し投資を重視し成果に期待するアメリカ合衆国、確実性に重点を置く日本と、両国の貯蓄性向、金融資産への考え方の違いがそのまま数字に表れている。また日本で「現金・預金」が多いのは、主に高齢者による貯蓄性向の表れでもある。

↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2016年Q2)
↑ 日米欧家計金融資産構成比率比較(2016年Q2)

3国・地域とも「保険・年金準備金」の比率はほぼ同じ(いくぶん日本が少ないが)。一方で”「現金・預金」”と”「債券」「投資信託」「株式・出資金」で構成される有価証券”の保有比率が、ユーロ圏は日米の中間にあるのが興味深い。バランスの観点では、日本は現預金過多、アメリカ合衆国はリスク商品が多め。ユーロエリアのバランスが一番リスク分散の上では優れている。

「現金第一」は以前から…日本の家計金融資産


これを定例のフォーマットに従い日米別に、その推移をグラフ化して状況を精査する。まずは日本について、構成比率と絶対額の推移を確認する。なお日本に関しては2009年Q1以降は四半期単位だが、それ以前は大よそ1年単位でしか値を取得できなかったため、両者をまたぐグラフの場合、期間の仕切り分けの幅が異なることに注意されたい。

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2016年Q2)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(1997年-2016年Q2)

↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(直近5年間)
↑ 日本の家計金融資産構成比率推移(直近5年間)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(1997年-2016年Q2)(兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(1997年-2016年Q2)(兆円)

↑ 日本の家計金融資産構成推移(直近5年間)(兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成推移(直近5年間)(兆円)

大きな変化として目に留まるのは、2008年前後で「現金・預金」の比率が伸びていること。約5%ポイントの増加が見られる。貯金額そのものが増えたのも多少の影響はあるが、それ以上に株価の低迷を起因としていると考えられる。つまり絶対額の増加は影響が小さく、他の要素が減って相対的に「現金・預金」比率が上がったと考えた方が道理は通る。その上損切り(有価証券などについてこれ以上の価格下落によるさらなる損失可能性を避けるため、売却損を覚悟して売り、現金化する)による「株式・出資金」から「現金・預金」へのシフトも多分にある。

「株式・出資金」の比率だけでなく、額そのものが同じタイミングで大きく減少していることからも、その動きは裏付けられる。2007年夏に始まる金融危機、株価下落は、家計の金融資産にも大きな影響をもたらしたことになる。

今2016年Q2期では前四半期と比較して、「現金・預金」と「保険・年金準備金」が増加し、「投資信託」「株式・出資金」「債券」が共に額面を減少している。株価の下落に伴い株そのものだけでなく、投資信託まで資産価値が落ち込んだことがうかがえる。他方、「現金・預金」は毎年Q2では値を上乗せするのが常で、特に変わった現象ではない。

なお2015年Q4から「保険・年金準備金」の額・比率が急増しているが、資料を確認するとこの時期から定義が「保険・年金・定型保証」と微妙に変化している。この点が関わっており、本質的な変化は無いものと見られる。

中期的には増加継続中の米家計金融資産


一方アメリカ合衆国。同国のデータは2008年Q4からは四半期単位で取得できているが、それ以前は大よそ年ベース。その期間をまたいだグラフでは、前後で期間の仕切りが異なることに注意してほしい。

↑ 米家計金融資産構成比率推移(2006年Q1-2016年Q2)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2006年Q1-2016年Q2)

↑ 米家計金融資産構成比率推移(直近5年間)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(直近5年間)

↑ 米家計金融資産構成額推移(2006年Q1-2016年Q2)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2006年Q1-2016年Q2)(兆ドル)

↑ 米家計金融資産構成額推移(直近5年間)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(直近5年間)(兆ドル)

アメリカの該当期における株価動向は、小幅な値動きを示し、大よそ横ばいと判断できる動向。前四半期比で「株式・出資金」は上昇、「投資信託」は減少し、「債券」も小幅に減少した。他方、「現金・預金」も増加しており、全体的な経済面での堅調さが見受けられる。

資産総額は72.3兆ドル。前四半期からは総額を上げ、確認できる記録の限りでは、これまでの記録である前四半期の71.1兆ドルを超え、最高額を更新したことになる。



家計金融資産の総額は2016年Q2時点で日本が1746兆円、アメリカが72.3兆ドル。これはそれぞれ直近前四半期から(日本)プラス2.34%・(アメリカ合衆国)プラス1.69%の変移。日本は増加を果たしたが、円高基調が続きそれに伴い株価も低迷しており、厳しい状態とも評価できる。

次回発表予定の2016年Q3分では、金融資産はどのような動きを示すのだろうか。引き続き精査を行いたい。


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