災害廃棄物処理68.1%に達する…震災がれき処理動向(2013年5月31日時点)

2013/06/22 15:00

復興庁は2013年6月21日に同庁公式サイトにおいて、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」として、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)における「震災がれき」(災害廃棄物等。災害廃棄物と津波堆積物)の2013年5月31日時点の処理進捗状況を公開した。その資料によれば災害廃棄物の処理は68.1%、津波堆積物は41.1%まで進行していることが分かった。今回は前回月分記事から今回発表の最新値を反映・更新する形で、複数の切り口から処理の現状を精査していく。

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震災がれきは2616万トン、未処理分は1109万トン


「災害廃棄物」「津波堆積物」「災害廃棄物等」(「震災がれき」)など、がれき関連の言葉の定義などは以前の記事一覧ページ(【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】)を参考のこと。

まず最初に算出するのは、対象物の「仮置き場」への搬入状況。災害廃棄物等は災害現場から最初に仮置き場に搬送されて、それから各種処分が行われる。これは処理の工程での混乱防止、作業円滑化、そして何よりも現場から一刻も早くがれきを取り除くのが目的。そのためにもまずは仮置き場への移動が必要なのだが、全体では災害廃棄物が93.8%・津波堆積物は82.8%との値が出ている。


↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年5月31日時点)

作業の進行に従い仮置き場に運ばれる量は増えていくが、一方でがれき推定量の再計測、解体作業などによる新たな廃棄物の発生で、結果として数字は一方的に上昇するのではなく、上下する形となる。現時点はで6%強の災害廃棄物・約2割足らずの津波堆積物が「未だに」現場に残されていることになる。

発表資料ではこの件について「浸水している農地では重機作業が困難」「解体量の多さ」を主な原因とし、一部地域では個別目標を設けて対応している。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を示すグラフ。「処分」には対象の状況次第で多種多様な手法(単純な埋め立て処分の他、再生燃料として用いる、素材として売却処分・再利用)がある。例えば以前紹介した、【海水利用のコンクリート、大林組が開発・被災地のがれき処理にも有益】も一つの事例である。

なお「未処理」には純粋に、現場に残されたままの状態のもの以外に、「仮置場」に搬入・処分工程に移されていないものも含む。


↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年5月31日時点)(万トン)


↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年5月31日時点)(万トン)

災害廃棄物は93.8%・津波堆積物は82.8%まで進んでいる仮置き場への集約率と比較して、処理・処分済み具合が低い(グラフ上でベタ塗されていない、ぼやけた塗り部分の面積=未処理部分が広い)実情が見えてくる。

これは「震災がれき」の処理には単純に時間がかかることに加え、それぞれの被災県内の処理のみでは短時間の処理は、能力的・物理的に不可能であるのが主要因。迅速な処理には県外処理の協力が必要なのだが、それには今なお多くの障害・妨害があり、期待がよせられないため、このような状況が続いている。

がれきの処理無くしては物理的な観点はもちろん、さらには心理的な復興への足掛かりを得ることは出来ない。一刻も早い処理が望まれている。

間もなく7割…全体的な処理の推移


復興庁では公式サイト上で2011年12月時点分以降、災害廃棄物等の搬送動向が記録公開されている。その公開資料で、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分・津波堆積物は2012年7月31日分以降となる。

そこで記録が確認できる値を用い、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、2013年5月31日時点は、震災から2年をはるかに超えていることを前提に確認してほしい。


↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年5月31日)

直近の2013年5月31日時点で災害廃棄物の処理はようやく2/3を超え、7割に届く動きだが、一方で津波堆積物はまだ4割程度でしかない。
この値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算。そして2013年5月31日時点ですでに約21か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するのはあと約10か月近く、津波堆積物はあと約2年半ということになる。

国が直接処理を行う対策地域の設定なども一因ではあるが、昨今では処理スピードの多少の上昇もあり(折れ線グラフのカーブがやや急になっている)、見積もり期間が少しずつだが短縮されており、この迅速化は評価に値する。しかし一方、災害廃棄物は3割強、津波堆積物は6割強近くが未処理状態にある現実も再認識させられる。

全体進捗率は57.6%…進行現状のまとめ


最後に現時点での処理状況を一目で把握できるように、各県ごとの災害廃棄物・津波堆積物の処理済み・未処理トン数、そして双方を合わせた総重量に対する処理進捗状況を計算したグラフを生成する。


↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年5月31日時点)(万トン)


↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年5月31日時点)(対全体進捗比率)

一色で塗りつぶされている部分が処理済、ぼやけ効果があるのが未処理(仮置き場におかれたものも含む)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できる。万トン数のグラフを見るに、現地においての現場、後方各面で作業をする関係者の労苦がしのばれるばかりである。


■関連記事:
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】(2012年8月)

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