イレギュラーか、それとも…ギリシャが大幅減少で第4位に後退(国債デフォルト確率動向:2013年6月)

2013/06/15 14:00

債権リスクを示す指針の一つに、CDSを基に算出された、国・地域の国公債のデフォルト確率「CPD」というものがある。当サイトでは世界主要国のうちリスクが高い国々の動向、経済情勢を推し量るため、毎月定期的にその「CPD」の上位国について確認をしている。今回は2013年6月15日、つまり本日取得したデータをグラフ化し、現状に関する精査を行うことにする。

スポンサードリンク


国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かい定義、データの取得場所、さらには各種概念の説明は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行われている。そちらで確認してほしい。

今件のグラフは日本時間で2013年6月15日、本日取得したばかりの一番新しいデータをベースにしたもの。前回月も掲載された国・地域は前回値を併記している(「NO DATA」とは前回は登場しなかった項目)。


↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年6月15日時点)

先月記した通り、ヨーロッパ諸国の債務問題は山場を越えた感はある。一方、IMFも欧州委員会も、過去数年間に渡る強圧な縮小財政政策が必ずしも上手くいくものではないとの判断を下し、施策の再検証を始めている。その過程で幾分の混乱もあり、またアメリカの金融緩和政策の「出口戦略」にも影響を受けて、リスクがやや上積みされる動きを示している。

上位掲載10か国のうち、前月比で値が上昇した、つまりリスクが積み増しされた国・地域は8か国(先月は10位が23.69%だったので、先月時点でのイリノイ州はそれより下。つまり今月の27.86%は先月よりも上になる)。多くの国などがリスクを上乗せしている。

今月もっとも気になる動きを示したのはギリシャ。毎月最上位が常連で、前月も95.28%の高値をつけていたが、そこから50%ポイント近くも落ちている。ギリシャの財務が突然健全化(とはいえ世界で上位4位には違いないが)した、あるいは労働市場が改善されたなどの話は聞かない。直近のニュースとしては「失業率の上昇や緊縮財政で生活水準が減少して北欧に移住する人が増えている」「【来年早期に国債を発行して国際資本市場に復帰する考えが明らかにされた(ロイター)】」「IMFがギリシャに対するさらなる支援の前倒しを検討している」との話がある程度。また国営放送ERTが財務問題から6月12日に突然閉鎖され、放送が打ち切られる事態が発生している。



↑ ギリシャの国営放送が経費削減のために突然閉鎖されたことを伝えるニュース映像(公式)。【直接リンクはこちら:Greek public service TV taken off air to save money】

紆余曲折が続いていることは把握できるが、これがCPD値を下げる要因としては考えにくい(むしろ国営ガス会社DEPAの入札に失敗するなど、リスクを上昇させる話の方が多い)。ギリシャと関連性が深いキプロスは大きく値を上げていることも合わせ、ややおかしな話といえる。

以前も似たような現象があったが、ほどなく同国は最上位に復帰している。今回月もギリシャの情勢が改善に向かうと考えるよりも、イレギュラー的なものと見た方が賢明だろう。概してヨーロッパの債務リスクは、少なくとも先月よりは上昇しているというくくりで落ち着けるのが無難なところだ。



気になる日本の国債に関する値だが、4半期ごとに公開されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Reportの一覧ページ】)で確認できる。現時点では2013年Q1(第1四半期、1月-3月)分が最新のもの。

それによると、日本のCPDは6.0%。順位は低い方から数えて20位。前四半期である2012年第4四半期の6.6%・23位と比べると、状況は改善、相対順位も改善という動きを示したことになる。CPDの算出上での話だが、日本の財務状況は回復の方向を見せ、その勢いも上位の他国と比べてそん色ないと受け止められていることになる。

一方、ヨーロッパの財政状況を大いに反映し、その動向は日本の企業動向、株式市場にも大きな影響を与えているユーロ動向だが、昨今ではアメリカのFRB(米連邦準備理事会)による金融緩和政策の引き締め懸念を受け、やや混乱が生じている。具体的には強い円に対しややユーロが下げる動きを示している。


↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年6月14日)

今回のギリシャのように時折イレギュラーな動きを示すものの、債券リスクを反映するCPDの値は、とりわけEU諸国の経済情勢を知る指標の一つとなる。今後も引き続き、定期的な確認をしていくつもりだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー