2017年6月のたばこ販売本数はマイナス11.1%、減退継続中(最新)

2017/07/15 09:46

日本たばこ協会は2017年7月14日に同協会公式サイトにおいて、2017年6月の紙巻きたばこの販売実績を発表した。その発表データによれば2017年6月の紙巻きたばこの販売実績は130億本となり、前年同月比ではマイナス11.1%となった。販売代金はマイナス10.7%の2820億円を示している(【日本たばこ協会:公式ページ・トピックス一覧】)。

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↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(本数・億本)(-2017年6月)
↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(本数・億本)(-2017年6月)

↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(販売代金・億円)(-2017年6月)
↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(販売代金・億円)(-2017年6月)

たばこの税率引き上げに伴う大幅なたばこの販売価格の値上げは、2010年10月に開始されている。それに先立つ形で同年9月には安値で買えるうちにまとめ買いをする人たちによる「駆け込み特需」が発生した。そして同年10月以降は価格の上昇による喫煙者の減少(値上げに伴う喫煙者の禁煙者化)、喫煙継続者の利用本数の減少に加え、値上げ前の特需による大幅な需要のぶり返し(安値の時に購入したたばこを劣化する前に消費するために、新品は買いひかえられる)もあり、販売本数・金額共に大きく減る状態がしばらく続いた。

さらに翌年2011年の3月には東日本大地震・震災が発生。それ以降はその影響、具体的には生産・輸送ラインの機能停止・稼働率低下、原材料の調達困難による生産数・種類調整で、販売本数は大きく減少している。他方販売金額は先の値上げ分が販売本数の減退をカバーする形でプラスを維持。時間の経過と共に、震災の直接被害と影響による損失からはほぼ回復を果たしたものの、2010年の値上げ、そして中期的な健康志向の高まりに伴う禁煙・減煙促進によって、販売本数は漸減状態を続けている。

2014年4月に実施された消費税率引上げに伴う実売価格のアップの際にも、直前の特需とその後の反動は多少ながらも生じていたが、その影響は前年同月比における反動も合わせ、すでに過去のものとなっている。

そして【メビウスなどのたばこが4月1日から値上げへ】でも解説しているが、2016年4月からはメビウス35銘柄と旧3級品全6銘柄の値上げが成されたため(メビウスは430→440円。旧3級品はゴールデンバットがプラス50円、それ以外はプラス30円の値上げ)、それに向けて同年3月に発生した駆け込み需要の反動(買い置きしたたばこを先に消費するため、新たな購入機会が減少する)、さらには価格上昇に伴う消費性向の減退が生じた。他方【たばこの「わかば」「エコー」など一部銘柄が4月から値上げ】でも伝えているように、たばこ税の軽減措置の縮小・廃止に伴い、「わかば」「エコー」など一部銘柄が2017年4月1日から値上げされており、この値上げによる販売の減退が多少ながらも生じた。

ちなみに本数の2年前同月比はマイナス15.6%、代金はマイナス14.5%。下げ基調にあることに変わりは無い。

日取りの上で前年同月と比較すると、日曜日・祝祭日数(土曜日は含まれない)は2017年では4日、2016年は4日。休みの日数は去年と変わらず。よって配送日数は去年と今年で変化なし。日取りに関する影響はないものと考えられる。その上で2ケタ%のマイナスの結果であることを考えると、売上の減退ぶりは大きなものであると考えられる。

たばこは物価上昇や市場、その他各方面からの要請(例えば価格引き上げにより間接的なたばこ離れを誘うべきとの健康面での意見)に伴い、何度となく値上げされてきた。その値上げ後における販売数変移の傾向を、以前【値上げによる家計のたばこ支出金額推移への影響を過去二回分と合わせてグラフ化してみる】で検証している。

それによれば「(1)販売本数減の売り上げ面でのマイナス影響を打ち消すほど、値上げ分の売上増の影響が大きく、総売り上げは増加する」「(2)販売本数の減少幅は拡大し、値上げ分ではカバーしきれなくなる。売上も前年比プラスからマイナスに」とのパターンが確認できる。2010年10月の値上げは上げ幅が非常に大きく、必然的に販売本数の減少分を補う単価上昇分も大きいため、売上プラスの状態が長期化していた。

↑ たばこ税推移(円)(1本当たり)(従量税)(消費税含まず)(再録)
↑ たばこ税推移(円)(1本当たり)(従量税)(消費税含まず)(再録)

しかし2012年の6月以降は概して販売本数・販売代金共に前年同月比でマイナスを維持。時折プラスに転じる場面があっても長続きせず、再びマイナスに戻る動きを示している。

2014年4月の消費税率改定に伴う値上げ以降は、販売本数は前年同月でマイナスを維持し、さらに販売金額もマイナスのまま。「(1)」の行程を経ることなく「(2)」の状況が継続しており、価格改定直前の特需をのぞけば実質的に「(2)」の状態が維持されていたと判断できる。さらに2016年4月の値上げも同様に「(1)」無しに「(2)」の状態へ移行していることが分かる。

↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(販売本数、前年同月比)
↑ 紙巻きたばこ月次販売実績(販売本数、前年同月比)

【コンビニでは1日何箱たばこが売れているのかを計算してみる】でも記している通り、コンビニでは売上全体に占めるたばこの比率は高い(2割強)。さらに来店時の「ついで買い」による相乗効果も期待できる。ところがたばこ販売実績の減退状態は継続しており、各コンビニとも代替品の模索と普及を急ピッチで続けている。

近頃大手コンビニでは相次ぎ「淹れたてコーヒー」を導入し、それと相性の良いドーナツを定番化しているが、それも代替品の一つ。また昨今では消費者の決済性向の変化に伴い、プリペイドカードを積極的に展開しており、こちらも「流れ」の一つになりつつある。フライヤー商品を中心とした(そして利益率の高い)各種作りたての惣菜を多数取り揃えることで、一人身世帯・主婦層、さらには調理の手間を省きたい高齢層のハートもつかみつつある。

高性能の情報端末の導入により、その端末経由で取引されるさまざまなチケットの売買も、生活拠点のコンビニとしての立ち位置を確かにし、金銭の流れを大きなものとしている。その上、従来では考えにくかった健康志向の食品も多数開発し、独自色を持たせた上でシリーズ化し、健康に強い関心を持つ層をも魅了しつつある。

昨今では公的機関や飲食店を中心に、喫煙に関わる各種制限がさらに厳しくなる動きを示している。これに伴いたばこの販売実績もまた、減退傾向に拍車がかかることだろう。また、売上の減退が継続する中で、再びたばこの値上げへの論議の活発化も予想される。

今後も価格動向と共に、販売本数・販売代金の動きについて注意深く見守りたい。


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