全体ではプラス、新聞がやや大きなマイナス(経産省広告売上推移:2013年6月発表分)

2013/06/13 07:55

経済産業省は2013年6月13日付で同省公式サイトで公開している「特定サービス産業動態統計調査」にて、2013年4月分の速報データ(確定値に先立ち公開される値、後程確定値が公開される)を発表した。それによると、2013年4月の広告業全体における売上高は前年同月比でプラス1.1%と幾分ながらも増加していることが明らかになった。今件記事で精査対象となる5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「新聞」がマイナス8.2%と、もっとも低迷している(【発表ページ:特定サービス産業動態統計調査】)。

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4マス軟調、ネットは堅調の状況が続く


「特定サービス産業動態統計調査」に関する詳細は先行する記事(【定期更新記事:4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】参照のこと)で解説済みなので、そちらを参考のこと。


↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年3-2013年4月)

前月分からの変移が分かりやすいよう、前回記事分(2013年3月分)データ(確定値に修正済み)と並列してグラフ化している。今回月は先月同様、取り上げた5項目で数か月継続している「中期的流れ」に沿った結果が出ている。

具体的には4マスが軟調、「インターネット広告」の増加というものだ。「テレビ」は4マスの中でも比較的健闘していた方だが、今月に限れば大きく値を減らすこととなった。もっともテレビは比較対象となる2012年4月では前年同月比でプラス19.1%(確定値)を示しており、その反動と見ることもできる。

該当月における大手広告代理店電通・博報堂の売上動向に関する記事【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2013年4月分)】で確認すると、一部イレギュラーがあるものの「テレビ」も含め4マスは不調、「インターネット」は堅調と、似たような動き。経産省の「特定サービス産業動態統計調査」の傾向が特異的なものでは無く、日本の広告市場全体の状況を表していることがあらためて確認できる。

具体的な額と、長期的な流れの確認


今回も該当月(2013年4月分)における各区分の具体的売上高を呈示する。広告代理店業務を営む企業は、最大手の電通と博報堂のみだけではない。そして各広告種類の区分が統一されているわけではないため、「電通と博報堂の-」との額面の一致・類似性は無い。今調査内のみにおける相対的な値、比較用の参考値として見てほしい。


↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年4月、億円)

金額面で比較すると、「インターネット広告」は「新聞」の額を抜く月が継続中。今記事で抽出している主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを確固なものとしている(【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(2012年7月まで対応版)】)。しかも額面で50億円ほどの差が開いており、その位置関係はそろそろ固定化したのではないかとも考えられる。

もっともインターネット広告費は、中期的には増加の流れにあることに違いないものの、同時に他のメディアと比べて額面上の起伏が大きい。再び新聞に(一時的にでも)抜かれる可能性は皆無とはいえない。


↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年4月)

続いて、公開されているデータの中期的推移をグラフ化し、精査を行うことにする。今調査でインターネット広告の金額が掲載されたのは2007年1月以降。そこで2007年1月以降に限定したのが次の図。


↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年4月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏が特徴。2009年前半に一時的な落ち込み。その後に回復、プラス圏を維持」「テレビは2010年から回復の雰囲気」「ラジオはマイナス圏で低迷継続」「雑誌はリーマンショック(2008年秋)で一番大きな痛手。その後もかなり厳しい」と解説できる。今グラフ期間中には2007年の金融危機ぼっ発、2008年秋のリーマンショック、2011年の東日本大地震・震災と3つの大規模で広告業界にもマイナスの圧力となる出来事が起きており、それぞれの時点で値が抑えられているのが分かる。そして同時に、各媒体の耐久性・柔軟性も透けて見える。



需給のせめぎ合いや新技術の浸透普及による環境の変化の荒波にもまれながら、メディア関連の電子化は逐次進行を続けている。しかし日本では電子書籍に代表されるように、欧米諸国と比べると強い形で4マス(=既存メディア)が「(悪しき)既得権益」しており、世界の流れと比して立ち遅れている。

さらに2011年3月の東日本大地震・震災や、それをトリガーとして発した各種震災・人災は、消費者の考え方・行動様式にも大きな影響を与え、変化をもたらすことになった。これもまた、広告業界にとって小さからぬ変化要因となっている。震災前と同じ考え、方針、施策では、消費者、そして広告主が付いてこない、そのような事例も増えてくる。その風向きの変化に気が付かず、媒体レベルでのかじ取りに誤ると、今後もマイナス値を続出していくことになる。

今件「特定サービス産業動態統計調査」は電通・博報堂の月次レポートの分析記事同様、広告費の動向そのものはもちろんだが、主要メディアのパワーバランス動向を確認できる資料となる。毎月の流れを読み通すことで、時代の息遣いを耳に留めることができるに違いない。

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