電通ならプラス5.0%、テレビは4マスでは例外的に持ち直しの気配(電通・博報堂売上:2013年5月分)

2013/06/12 11:30

博報堂DYホールディングスは2013年6月11日に同社公式サイトにおいて、同社グループ主要3社(博報堂、大広、読売広告社)の2013年5月の売上高速報を発表した。また電通はそれに先行する形で同年6月7日に単体売上高を発表しており、これで日本国内の二大広告代理店における2013年5月次の売上データが揃うこととなった。今回は両社の主要種目別売上高前における年同月比を計算した上でグラフを生成し、両社それぞれの広告売上動向、そして広告業界全体の動きを確認していくことにする。

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4マス不調、ネットと一般広告が強い


グラフを作るために取得したデータに関する解説、各項目の留意事項は【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】で記述している。そちらで確認のこと。


↑ 二大広告代理店(電通・博報堂)の2013年5月分種目別売上高前年同月比

2011年3月に発生した東日本大地震・震災の直接的な広告費への影響は、すでにほとんど無いように見える。むしろ今は、震災以前の状況を継続する形で、広告業界、メディアが置かれている現状がグラフに反映されている。

具体的には、中期的な流れとして「4マス(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)が苦境の中にある。テレビは例外的に持ち直しの気配が見られる」「デジタル系や屋外広告のような非4マス系が概して堅調」という具合。2013年5月分の特徴もまたそれを踏襲する形で、「4マスはテレビの一部以外は軟調」「インターネットは強い」「従来型も強め」の3項目を挙げることができる。

比較対象となる1年前の状況を精査した記事を見ると、震災の影響を受けて大きく広告費が減少した時期との比較もあり、2桁%のプラスを示す項目がずらりと並んでいる。今回はこれらの値と比較して、インターネットや一般広告はさらに大きく伸びていることとなり、その躍動感を改めて確認できる。

電通の総額推移など具体的金額を見てみる


次のグラフは電通の各年5月における広告売上総額推移をグラフ化したもの。同じ月の推移を確認すれば、いわゆる季節属性を考慮しなくても良くなる。


↑ 電通月次売上総額推移(各年5月、億円)(-2013年)

このグラフを見る限りでは、すでに金融危機(2007年夏-)、そしてリーマンショック(2008年秋)、さらには震災のダメージからは脱しており、それ以前の水準まであと一歩のところまで手が届いた感はある。今世紀はじめの、前回の不景気の水準とほぼ同じ領域。

このような状況の中、前年同月比で大きなマイナスを示している部門は、時代の変化に追いついていない状況が数字に表れていると見ることもできる。特にこの数か月は「4マス軟調」「インターネットと一般広告がそこそこ」というパターンが続いており、なるほど感は強い。

なお今件記事中最上位にあるグラフに記された値は、「個々の会社の前年同月比」であり、取引の際の絶対額とは異なることに注意されたい。例えばインターネット分野は市場規模がまだ小さく、額面も小さい。また個々の分野の額面を電通・博報堂両社で比較した場合、博報堂より電通の方が額面は大きくなる。


↑ 電通・博報堂DYHDの2013年5月における部門別売上高(億円、一部部門)

新スタイルの広告手法として注目を集め、海外での活用事例の紹介もあり、数年前から目立つようになった「デジタルサイネージ(デジタル系、インターネット系技術を取り入れた従来型広告の発展版。液晶パネルの利用が多い)」。一般屋外広告の新たな道を切り開く手法として、期待を一身に受けていたものの、震災以降の電力需給の問題が大きな壁となり、以前ほどの表立った形・派手な展開は見受けられなくなった。昨今、従来型の一般広告に(広告費の面でも)活気が見られるのも、デジタルサイネージが足踏みさせられている最大の要因「電力事情」が間接的に影響していると見た方が道理は通る。

震災の影響が収束に向かい、各広告種類が再び本来の力量と時節の変化による動きを示す中、4マス中「テレビ」以外の3項目における軟調さが目立つようになった。この動きは各対象媒体の「メディア力」の低下を暗示している。それが「絶対的なもの」か、他の伸張メディアと比較した上での「相対的なもの」かは、広告費だけでは断言が難しい。もっとも「広告を出稿する側から厳しい評価がなされている」のは間違いない。

今後も広告費動向を見守り、そこからメディアのパワーバランスの変化を垣間見続けていくことにしよう。

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