災害廃棄物の処理は63.2%・まもなく2/3に…震災がれき処理動向(2013年4月30日時点)

2013/06/02 10:00

復興庁は2013年5月31日に同庁公式サイトにて、「沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況」とし、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)での「震災がれき」(災害廃棄物等。災害廃棄物と津波堆積物)の2013年4月30日時点での処理進捗状況を公開した。その資料によれば同時点で災害廃棄物の処理は63.2%、津波堆積物は37.0%まで進んでいることが明らかになった。今回は【震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(2013年3月31日時点)】を今回発表値を反映・更新する形で、複数の切り口から処理の現状を確認していくことにする。

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震災がれきは2616万トン、そのうち未処理は1230万トン


文中・グラフ中にある「産業廃棄物」「津波堆積物」など用語の定義は一覧ページ【震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】上ので解説済み。そちらを参照してほしい。

最初に算出するのは、対象物の仮置き場への搬入状況。災害廃棄物等は災害現場からまずは仮置き場に移され、その後各種処分が行われる。これは処理の工程での混乱を防ぎ、作業を円滑に行うため。そのためにもまずは仮置き場への移動が必要なのだが、全体では災害廃棄物が92.8%・津波堆積物は82.0%となっている。

↑ 災害廃棄物等の仮置場への搬入状況(2013年4月30日時点)
↑ 災害廃棄物などの仮置場への搬入状況(2013年4月30日時点)

作業の進行と共に仮置き場に運ばれる量は増えていく。またがれき推定量の再計測、新たな廃棄物の発生で、結果として数字が上下することはある。しかしそれら誤差レベルのものを考慮しても、現時点で7%強の災害廃棄物・約2割足らずの津波堆積物が現場に残されている計算になる。

発表資料ではこの件について「浸水している農地では重機作業が困難」「損壊家屋などの解体量が多く、大規模な建物が含まれていることから解体に時間を要する」のように、進捗状況の遅れの理由を説明している。2年が過ぎた現在でもこの文言を使わねばならないほど、処理すべき対象は大規模、そして困難を極めている。

続いて処分された災害廃棄物などの動向を記したグラフ。「処分」には対象の状況次第で多種多様な手法がある。単純な埋め立て処分の他、再生燃料として用いる、素材として売却処分・再利用が行われている場合などがある(例えば【海水利用のコンクリート、大林組が開発・被災地のがれき処理にも有益】が好例)。「未処理」には現場に残されたままの状態のもの以外に、「仮置場」に搬入されたのみで、まだ処分されていないものも含む。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年4月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年4月30日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年4月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の津波堆積物処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年4月30日時点)(万トン)

災害廃棄物は92.8%・津波堆積物は82.0%という仮置き場への集約率と比べると、処理・処分済み具合が低い(グラフ上でベタ塗されていない、ぼやけた塗り部分の面積が広い)。これは「震災がれき」の処理に時間がかかること、それぞれの被災県内の処理のみでは短時間の処理は能力的・物理的に不可能であること、それゆえ迅速な処理には県外での処理が必要不可なのだが、それには今なお多くの障害・妨害があり、期待がよせられない結果によるものといえる。がれきの処理無くしては物理的、そして心理的な復興への足掛かりを得ることは難しい。そのためにも一刻も早い処理が望まれている。

全体的な処理の推移


復興庁では公式サイト上で2011年12月時点以降、災害廃棄物等の搬送動向が記録公開されているが、処理・処分動向が掲載されたのは2012年2月14日分・津波堆積物は2012年7月31日分以降。そこで記録が残っている値について、処理状況の推移を折れ線グラフ化したのが次の図。一番右、2013年4月30日時点は、震災から2年以上が経過していることを前提に確認のこと。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年4月30日)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(-2013年4月30日)

この値を基に単純計算をすると(震災直後の混乱期における処理不可能状況を半年と試算し、2013年4月30日時点で約20か月の処理期間が得られたと仮定する)、このペースでは災害廃棄物の処理が終了するのはあと約11か月強、津波堆積物はあと約3年近くということになる。

国が直接処理を行う対策地域の設定なども一因だが、この数か月で処理スピードの多少の上昇もあり(折れ線グラフのカーブがやや急になっているのが分かるはず)、見積もり期間が少しずつだが短縮されているのは評価に値する。しかし一方、災害廃棄物は6割強、津波堆積物は3割強しか処理されていない現実も再認識させられる。なお「仮置き場」への搬入で「処理」が済んだわけではないことに注意しなければならない。

全体進捗率は53.0%…進行現状をまとめてみる


最後に現時点での処理状況を一目で把握できるように、各県ごとの災害廃棄物・津波堆積物の処理済み・未処理トン数と、双方を合わせた総重量に対する処理進捗状況を計算したグラフを作成する。

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年4月30日時点)(万トン)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年4月30日時点)(万トン)

↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年4月30日時点)(対全体進捗比率)
↑ 沿岸市町村の災害廃棄物等処理の進捗状況(被災三県・県ベース・2013年4月30日時点)(対全体進捗比率)

ベタ塗が処理済、ぼやけ効果があるのが未処理(仮置き場におかれたものも含む)。「震災がれき」の処理進捗・現状がよく把握できるグラフに仕上がっている。トン数のグラフを見るに、現場や後方各面で作業をする関係者の労苦がしのばれる。

それと共に、2年が経過した現在でもなお、未処理が多い実態に悲しみを覚え、ため息も出てくる。そして多種多様な、一部は善意かもしれないが、多分には悪しき障害・妨害により、このような遅延が生じている現状がここにある。それを見るにつけ、表現しがたい想いがこみあげてくる人はどれ程いるのだろうか。


■関連記事:
【震災がれき広域処理、賛成派88.3%・反対派8.9%】
【定期更新記事:震災がれき処理の現状をグラフ化してみる(復興庁発表)】

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