パソコンの世帯主年齢階層別普及率をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/05/20 04:54

かつては仕事用として、あるいは裕福な家庭にのみその姿を見ることができた、個人向けのコンピューターことパーソナルコンピューター、略してパソコン。今や多くの人が手に取れるようになり、同時にインターネットへの窓口としての使い方が主目的となる機材として認知されている。またその様式もデスクトップ型だけでなくノート型も普及し、昨今ではむしろノート型の方が利用率は高い状態。一方でその「インターネットへの手軽な窓口」との観点では、より機動性の高いスマートフォンやタブレット型端末に(完全な代替機では無いものの)主役の座を奪われつつあるのが現状。そのパソコンの普及率について、世帯主の年齢階層別に詳しい動向を、内閣府が定期的に公開している調査結果【消費動向調査】を基に確認していくことにする。

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総世帯におけるパソコン普及率推移


「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。また今件では2013年までは明確な定義はないが、タブレット型端末は(回答者独自の判断により)いくぶん今件のパソコン扱い(ノートパソコン系)されているものと考えられる。一方2014年以降は回答項目に「タブレット型端末」が新設されており、その誤認はなくなった。なおその「タブレット型端末」自身の動向は機会を改めて精査する。

「内閣府の消費動向調査」で年齢階層別の調査が行われているのは2004年4月以降各年3月次。そこでそれらのデータを元に、「総世帯」(要は全部の世帯)における世帯主年齢階層別・パソコン普及率をグラフ化したのが次の図。

↑ 世帯主年齢階層別パソコン普及率(総世帯)(3月末時点)(-2016年)
↑ 世帯主年齢階層別パソコン普及率(総世帯)(3月末時点)(-2016年)

別先行記事【テレビやパソコンなどの普及率をグラフ化してみる(上)…テレビ・パソコン・ファックスなど】の通り、「二人以上世帯」のパソコン普及率は直近2016年で79.1%。それと比べると「総世帯」全体では10ポイント強ほど低い値。逆算すれば容易に分かるのだが、これは「単身世帯」においてパソコン普及率が低いことが原因(「総世帯」=「単身世帯」+「二人以上世帯」)。

また経年別で見ると、2009年-2010年にイレギュラー的な動きがあるが、総じてどの世代でも時間の経過と共に、普及率が少しずつ、しかし確実に上昇している。ところが2014年においては30-59歳世代でやや大きめな減少が発生し、これが原因で総世帯全体でも前年比でマイナスの値を示してしまった。【小中高校生のパソコン使用状況をグラフ化してみる】でも指摘している通り、インターネットのアクセスのためのツールとして割り切り、より機動性が高く価格が安いスマートフォンやタブレット型端末にシフトした結果、パソコン利用の必然性が下がった可能性が考えられる。

他方、2015年から2016年にかけては29歳未満で大きく上昇を示したあと、失速。2016年の値は78.7%でしかなく、3年前の水準に戻ってしまっている。この1、2年の動きが不安定なために今後の動向は見極めにくいものとなったが、他の年齢階層と異なり、29歳以下では今後、普及率は減少していく可能性すら考えねばならなくなった。

保有数量(世帯全体。保有世帯限定ではない)を見ると、数年前に上昇機運は止まり、29歳以下だけでなく30-59歳以下の中堅層でも減少に転じている動きが確認できる。

↑ 世帯主年齢階層別パソコン保有数量(総世帯)(1世帯当たり)(3月末時点)(-2016年)
↑ 世帯主年齢階層別パソコン保有数量(総世帯)(1世帯当たり)(3月末時点)(-2016年)

ややぶれはあるものの上昇を継続しているのは60歳以上のみ。29歳以下、30-59歳以下共に2014年を天井とし、それ以降は減少傾向。中堅層の普及率は上昇していることから「とりあえず持っている世帯」は増加しているが、「複数台維持維持している世帯」が減少している状況が考えられる。パソコンは1台あれば十分で、それを補完する形でスマートフォンやタブレット型端末を使いこなすスタイルが浸透しつつあるのだろうか。

直近の2016年分を世帯種類別で精査する


「総世帯」では無く、直近2016年における、単身・二人以上世帯それぞれのパソコン普及率・「保有世帯当たりの」(調査対象世帯全体ではない)保有台数を示したのが次のグラフ。要はパソコンを保有している世帯も持っていない世帯もあるが、どれ位の世帯が持っているか、そしてそのうち保有世帯に限定して「それでは何台自宅にあるのか」と聞いた結果の平均値。

↑ 世帯主年齢階層別パソコン普及率(2016年3月末)
↑ 世帯主年齢階層別パソコン普及率(2016年3月末)

↑ 世帯主年齢階層別・パソコン保有世帯当たり保有数(2016年3月末)
↑ 世帯主年齢階層別・パソコン保有世帯当たり保有数(2016年3月末)

「単身世帯」よりも「二人以上世帯」の方が、パソコンの保有率は高い。だが30歳未満に限れば、むしろ単身世帯の方が高い値を示している。いわゆるマニア的な層による値のかさ上げによるものだろう。

また60歳以上の単身世帯では保有率は著しい低さを見せる。「一人暮らしの高齢者が、改めて一から、あるいは初歩から教えてもらう人もおらず、パソコンに興味を持っても保有できない状態」なのが容易に想像できる。無論、経済的な面も理由の一つ。

他方、保有世帯別の保有台数を見ると、概して「二人以上世帯」の方が多い。これは回答者だけでなく配偶者、そして子供も保有している事例があるからに他ならない。特に子供が育ちざかりの30-59歳世代では高い値を示している。



昨今では「インターネットにアクセスするのはスマートフォンで十分」とする事例が増えている。俗にいうタッチパネル世代と表現できる層ともいえるのだが、仕事場での利用ならともかく、プライベートではパソコンは不必要で、スマートフォン、せいぜいタブレット型端末があればインターネット利用は事足りると割り切る人達である。利用目的次第ではまさに正論で、今後このスタイルは増加してくるのは間違いない。デジタル写真におけるデジカメからスマートフォン、固定電話から携帯電話へのシフトの流れに似ており、興味深い話には違いない。


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