年齢階層別の乗用車普及率をグラフ化してみる(最新)

2019/05/13 05:17

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2019-0429今や陳腐化した感の強い言い回しではあるが、若年層の行動傾向の変化や都心部の公共交通機関の整備、住宅問題などを受け、若年層の自動車(乗用車)離れが進んでいるとの話は自動車業界界隈からよく語られ、そして関連業界などの記事でしばしば見うけられる。それでは実際に、世帯ベースでどの程度の乗用車が保有されて、それはどのような推移を遂げてきたのだろうか。内閣府の【消費動向調査】を基に、いくつかの切り口から、乗用車の世帯普及率について検証していくことにする。

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「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義に関しては、一連のまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明を行っているので、そちらを参照のこと。2014年以降は消費動向調査全体で大規模な調査要目の変更が行われているが、今件乗用車の分野では特に変更は無く、継続したデータをそのまま精査可能である。

まずは総世帯(要は全部の世帯)における、世帯主年齢別の乗用車普及率。

↑ 乗用車普及率(総世帯、世帯主年齢階層別)
↑ 乗用車普及率(総世帯、世帯主年齢階層別)

若年層(29歳以下)の普及率が低いのは相変わらず。2005年と2011年には高齢層(60歳以上)を上回る状況が発生したが、それもつかの間の話。むしろ2011年をピークとし、それ以降は下げ基調を見せ、全般的には全年齢階層の中で一番低い普及率となる立ち位置に居続け、より強固なものとしている。この1、2年で再び再び値を上げているが、高齢層には追い付いていない。

現状では、乗用車の保有は若年層では大体5世帯に3世帯のみ。それに対して中年層(30-59歳)では5世帯のうちほぼ4世帯となる。未婚が多い若年層では、乗用車の必然性も低いと考えれば道理は通る。

これを新車で買ったのか、中古車で買ったのかで確認すると次の通り。

↑ 乗用車普及率(総世帯、新車で購入、世帯主年齢階層別)
↑ 乗用車普及率(総世帯、新車で購入、世帯主年齢階層別)

↑ 乗用車普及率(総世帯、中古車で購入、世帯主年齢階層別)
↑ 乗用車普及率(総世帯、中古車で購入、世帯主年齢階層別)

まず目に留まるのは、若年層の新車購入率の低さ。2007年に一度逆転し、その後は直近年でようやく二回目の逆転現象が生じているが、それ以外は「中古車購入>新車購入」の状態が継続している。新車へのこだわりのある無しでは無くむしろ、初期購入費用の高さによるものと考えてよい。

若年層の動向を見ると2013年から2014年にかけて中古車で大きな減少が生じたが、その後一時的な巻き返しがあり、その後で再び下落に転じており、中期的には減少の流れにあることが分かる。新車は元々値が低く大きな動きは無い。「若者の乗用車離れ」なるものは中古車において生じているのが確認できる。ただし直近年では前年比で9.1%ポイントの上昇をしているのが目に留まる(対象世帯数が169世帯に留まるため、統計上のぶれの可能性も否定できないが)。

中年層は新車・中古車ともに積極的に購入・利用している。一方高齢層は新車へのこだわりが強く、若年層とは逆に「新車購入>中古車購入」の傾向が継続中。大型車両を購入する必要もあまり無く、小型車で十分な場合も多いことから、わざわざ中古車で買うメリットも無い以上、新車に手が出せるのだろう。金銭的な余裕も大きな要因。

また、全体のグラフからも把握できるが、若年層では「新車購入」と「中古車購入」を足したものがほぼ「乗用車普及率」に近い値なのに対し、中年層では「乗用車普及率」<(「新車」+「中古車」)の図式が見られる。

これは「中古車も新車も数台所有していても、全体の普及率としては『あり』『無し』でしかカウントしない」ことに起因する。つまり「若年層が世帯主の世帯は乗用車を1台しか持っていない場合が多い(単身世帯も多い)」「中年層は複数台持っている世帯が多い」状況を意味する。

二世代家族、あるいはまだ親離れしていなくとも乗用車を持つ子供がいる事例は容易に想定でき、当然の結果といえる。さらに【新成人がもっとも欲しい自動車は「キューブ」、女性はコンパクトカーがお好き】でも解説しているように、買物や子供の送迎、パートの出勤に利用するため、妻が夫とは別に自分自身の乗用車を所有する事例も十分想定される。



よい機会なので総世帯を構成する単身世帯と二人以上世帯それぞれの、直近2018年分の年齢階層別普及率をグラフにしておく。

↑ 乗用車普及率(二人以上世帯、世帯主年齢階層別)(2019年)
↑ 乗用車普及率(二人以上世帯、世帯主年齢階層別)(2019年)

↑ 乗用車普及率(単身世帯、世帯主年齢階層別)(2019年)
↑ 乗用車普及率(単身世帯、世帯主年齢階層別)(2019年)

全般的に二人以上世帯の方が単身世帯よりも普及率は高い。所得の余裕度合い、自動車の必要性を考えれば当然の話。また、差異はあるが両種類世帯とも、「若年層は中古車」「中年層以降は新車」の傾向が見えてくる。ただし二人以上世帯の29歳以下は新車の値が中古車を上回っている。もっとも該当回答世帯数が2019年では41世帯のみであることから、統計上の誤差の可能性は否定できない。あるいは結婚できるような状況にある若年層は、金銭的にもそれなりに余裕があり、新車の調達にも躊躇しなくなってきているのだろうか。

世間一般的には世帯主の歳が若いほど年収・貯蓄額も少なく、収入に余裕が無い。「若年世帯主層の方がお金のかからない選択をする」のは、当然の話。無理に背伸びをしないライフスタイルで生活しているだけであり、若年層の新車普及率が低いのも、「金銭面で無理な、バランスの取れない背伸びをしない」との点で、常識的な判断の結果によるものに他ならない次第である。


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