年齢階層別の乗用車普及率をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/05/19 12:38

今や陳腐化した感の強い言い回しではあるが、若年層の行動性向の変化や都心部の公共交通機関の整備、住宅問題などを受け、若年層の自動車(乗用車)離れが進んでいるとの話は自動車業界界隈からよく語られ、そして関連業界などの記事でしばしば見うけられる。それでは実際に、世帯ベースでどの程度の乗用車が保有されて、それはどのような推移を遂げてきたのだろうか。内閣府の【消費動向調査】を基に、いくつかの切り口から、乗用車の世帯普及率について検証していくことにする。

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「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義に関しては、一連のまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明を行っているので、そちらを参照のこと。2014年以降は「消費動向調査」全体で大規模な調査要目の変更がなされているが、今件乗用車の分野では特に変更は無く、継続したデータをそのまま精査可能である。

まずは総世帯(要は全部の世帯)における、世帯主年齢別の乗用車普及率。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(-2016年)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(-2016年)

若年世帯主の普及率が低いのは相変わらず。2005年と2011年には60歳以上の世代を上回る状況が発生したが、それもつかの間の話。むしろ2011年をピークとし、それ以降は下げ基調を継続、全般的には全世代の中で一番低い普及率となる立ち位置に居続け、より強固なものとしている。2015年では5割切れを果たしてしまったが、直近の2016年では盛り返し、50%台を回復。しかし60歳以上との差異はまだ10%ポイント以上のまま。

現状では、乗用車の保有は30歳未満では大体2世帯に1世帯のみ。それに対して30-59歳の世帯では5世帯のうちほぼ4世帯となる。未婚が多い30歳未満では、乗用車の必然性も低いと考えれば道理は通る。

2016年に限ると、全世代で増加の動きを示している。これは過去2年継続した減少から転じる動きで、注目に値する動きではある。特に若年層世帯の上昇ぶりは、今後この傾向が続くのか、気になるところ。

これを新車で買ったのか、中古車で買ったのかで確認すると次の通り。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(新車購入)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(新車購入)

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(中古車購入)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(総世帯)(中古車購入)

まず目に留まるのは、若年層の新車購入率の低さ。2007年に一度だけ逆転しているが、それ以外は「中古車購入>>新車購入」の状態が継続している。新車へのこだわりの有る無しではなくむしろ、初期購入費用の高さによるものと考えてよい。

直近数年の動きを見直すと、新車では「中堅層以降が低減」「若年層は横ばいから低下へ」、中古車では「若年層が増加」「中堅層以降が漸減」の動きが見て取れる。全体的な乗用車離れの動きと、その中で若年層におけるさらなる新車から中古車へのシフトが見て取れる。

中堅層は新車・中古車共に積極的に購入・利用している。一方高齢層は新車へのこだわりが強く、若年層とは逆に「新車購入>>中古車購入」の傾向が継続中。大型車両を購入する必要もあまり無く、小型車で十分な場合も多いことから、わざわざ中古車で買うメリットも無い以上、新車に手が出せるのだろう。金銭的な余裕も大きな要因。

また、全体のグラフからも把握できるが、若年層では「新車購入」と「中古車購入」を足したものがほぼ「乗用車普及率」に近い値なのに対し、中堅層では「乗用車普及率」<<(「新車」+「中古車」)の図式が見られる。

これは「中古車も新車も数台所有していても、全体の普及率としては『ある』『なし』でしかカウントしない」ことに起因する。つまり「若年層が世帯主の世帯は乗用車を1台しか持っていない場合が多い(単身世帯も多い)」「中堅層は複数台持っている世帯が多い」状況を意味する。

二世代家族、あるいはまだ親離れしていなくとも乗用車を持つ子供がいる事例は容易に想定でき、当然の結果といえる。さらに【新成人がもっとも欲しい自動車は「キューブ」、女性はコンパクトカーがお好き】でも解説しているように、買物や子供の送迎、パートの出勤に利用するため、妻が夫とは別に自分自身の乗用車を所有する事例も十分想定される。

また直近となる2016年では、乗用車全体の普及率はすべての年齢階層で前年比プラスを計上しているが、その内情としては「若年層…新車増」「中堅層…新車・中古車増」「高齢層…新車・中古車増」の動きであることが確認できる。特に若年層では中古車普及率が減り、代わりに大きく新車が増加している。購入・利用性向に変化が生じる兆しかもしれない。



良い機会なので「総世帯」を構成する「単身世帯」「二人以上世帯(前年までは一般世帯と呼称)」それぞれの、直近2016年分の世代別普及率をグラフにしておく。

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(二人以上世帯)(2016年)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(二人以上世帯)(2016年)

↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(単身世帯)(2016年)
↑ 世帯主年齢階層別乗用車普及率(単身世帯)(2016年)

全般的に二人以上世帯の方が単身世帯よりも普及率が高い。所得の余裕度合い、自動車の必要性を考えれば当たり前の話。また、差異はあるが両種類世帯とも、「若年層は中古車」「中堅層以降は新車」の傾向が見えてくる。ただし二人以上世帯の29歳以下は新車の値が中古車を上回っている。前年比を確認すると新車はプラス6.4%ポイント、中古車はマイナス8.0%ポイントとなっており、新車へのシフトの動きが起きているようだ(ただし該当回答世帯数が2016年では32世帯のみであることから、統計上の誤差の可能性は否定できない)。

世間一般的には世帯主の歳が若いほど年収・貯蓄額も少なく、収入に余裕がない。「若年世帯主層の方がお金のかからない選択をする」のは、当然の話。無理に背伸びをしないライフスタイルで生活しているだけであり、若年層の新車普及率が低いのも、「金銭面で無理な、バランスの取れない背伸びをしない」との点で、常識的な判断の結果によるものに他ならない次第である。


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