総計38.6万台、大型テレビがやや復調の兆しも(薄型テレビ出荷動向:2013年4月分)

2013/05/27 07:55

2013年5月24日に電子情報技術産業協会(JEITA)では同協会の公式サイトにおいて、【民生用電子機器国内出荷統計】での最新値、2013年4月分のデータを開示した。それによれば2013年4月の薄型テレビの出荷台数は38.6万台となり、前月比ではマイナス32.2%、前年同月比ではマイナス23.1%という結果になった。今回もいつも通り、薄型テレビ、そしてそれと連動性が高いBD(ブルーレイディスクプレイヤー・レコーダー)の小売市場への出荷動向をまとめ、最新の状況把握を行うことにする。

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純粋な出荷数と前月・前年同月比


データ取得元の詳細やデータ内容に関する諸注意、さらには「出荷数」の定義などは一連の記事のまとめページ【定期更新記事:薄型テレビなどの出荷動向(電子情報技術産業協会(JEITA))】で確認してほしい。

まずは純粋な出荷台数。今件で公開統計値に「薄型テレビ」の項目が登場した2009年以降は薄型テレビ全体とBD(それ以前は「プラズマ」「液晶」で分離掲載されているので集計しない)、さらに2010年以降の限定となるが、薄型テレビは画面サイズ(29型以下、30-36型、37型以上)による区分が記されているため、そちらも合わせてグラフに反映させる。

直近2013年4月分の出荷台数だが、それに加えて前月比・前年同月比を算出し、グラフ化する。テレビは季節変動が大きいため、前年同月比の方が正確な出荷すう勢を推し量りやすい。

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2013年4月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2013年4月分、JEITA発表)

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2013年4月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2013年4月分、JEITA発表)

冒頭でも触れているが、2013年4月の薄型テレビ・日本国内出荷台数は38.6万台。年度が改まり、引っ越しなどによる特需的増加があった3月の反動もあり、3月と比べれば数字は落ち込んでいる。そして季節変動を考慮しなくても済む前年同月比でも、マイナス2割を超える値でマイナス値を継続中。

これは以前の記事にも解説がある通り、2011年7月のアナログ波停波に伴う、停波以前やその直後における、数年間の「買い替え特需」の反動によるもの。「需要の先取り」をしたツケを支払わされている状態である。停波からはすでに2年近くが経過しているものの、それでもなお反動による下落は続いており、いかにツケが大きいかが分かる。

台数そのものと前年同月比の推移を確認


【カラーテレビの買い替え年数をグラフ化してみる(2012年分対応版)】で解説しているが、テレビは8-10年単位で買い替えが行われる。1年や2年で「特需」の反動が収まるとは考えにくい(実際その通りの状況が進んでいる)。

次のグラフは出荷台数そのもの、さらには前年同月比を算出したものだが、「停波前特需、特に年末・年度末」「停波直前特需」「停波後の年の年末に購入」の3つの上昇機運があり、それ以降は停波後、軟調な動きで推移しているのが分かる。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2013年4月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2013年4月)

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2013年4月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2013年4月)

薄型テレビの型別に動向を確認しよう。グラフ中にも吹き出しで記しているが「アナログ波停止」までは小型(青線)-中型(赤線)が売れていた(特に停波まで一年を切ったあたりで、その傾向が強くなる)。ところがデジタルに切り替わり2012年に入ってからは、大型(緑線)が小型-中型と比べて健闘をはじめる。とはいえ、前年同月比でマイナスなことに変わりは無く、マイナス幅が小さいだけの話だが。

具体的には地デジ切り替えまでは、大型と小型・中型の差が大きく開いていた。しかし切り替え後はその差が縮まり、二つ目のグラフ「前年同月比」ではむしろ緑色が位置的に上に達するようになった。双方の立ち位置の逆転は2011年末-2012年初頭位か。

購入者側の立場で状況を想定してみよう。地デジへの切り替えの際に「テレビがすべて観えなくなるのは困る。まずは一台だけでも早急に」と比較的安価の小型・中型のテレビの買い替えが行われる。そして状況が落ち着いてから、大型への切り替えに入った……と考えれば納得ができる。さらに昨今の大型テレビの価格下落も、大型のテレビを購入を後押しする。無論買い替えだけでは無く、新規購入の対象も「37型以上の大型」に移行していると考えられる。

2010年夏の「地デジ切り替え啓蒙運動」の成果、さらには地デジ切り替え直前の駆け込み需要が、テレビ市場において非常に大きなものだったことが、グラフにおける上昇幅の高さからうかがえる。そして切り替え後は「特需」が当然のごとく終結、そしてその反動として低迷状態が継続中であることが分かる。

大型テレビの売り場特に注目すべきは「前年同月比」のグラフ。地デジへの切り替えが果たされ、需要が大幅に減退したことで、値のマイナス化が起きた2011年夏から「1年が経過した」2012年秋以降でも、前年同月比がマイナスのままな状況が続いている。2012年夏までは「前年同月が地デジ特需でプラスだから、それとの比較になるので、前年同月比がマイナス値でも仕方がない」とする説明もできた。しかしそれ以降はその理屈では説明できない。

むしろ「前年同月が大きくマイナスだったので、今年はプラスになるはず」。しかし現実は前年同月比でマイナス値を示したまま。これは前述の通り、数年分まで需要を先取りしてしまったため、その反動が継続して発生していることを意味する。

一方、前年同月比のマイナス値は2012年7月の下落をピークとし、以前よりも小さくなっている。つまり下げ幅が縮まり、少しずつだが改善の方向にある。改善とはいえ「下げ幅の縮小」に留まり、「販売台数の拡大」にまでは届いていない。「前年同月比」のグラフでプラスに転じるまでは、出荷の縮小が続いている。要は「落下速度が遅くなった」ということ。これがゼロになって初めて、下落が止まり、上昇への期待ができるようになる。

月ごとの販売動向を経年で


最後に季節変動を考慮しないで動向を確かめられる、もう一つの切り口によるグラフとして(たばこの販売実績記事ではお馴染みの)、個々月の毎月動向を経年で比較した形にしてみる。毎年年度末・年末にテレビが売れる実態、その翌月の1月は反動や正月休みなどで販売台数が大きく落ち込むこと、そして2010年(赤い棒)の年末は「翌年(2011年)に地デジへ切り替えが行われる」ことから、新規購入・買換えの良い機会として、特需が発生したのがグラフの長さからも分かる。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2013年4月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2013年4月)

今年2013年は4月分までそろったが、月単位で確認しても2011年(緑の棒)をピークとして減少が続いている。直近の2013年4月分の【「チェーンストア」月次報告)】でも、「家電製品関連では先月同様テレビ、ブルーレイレコーダーの販売が不調」と、BDレコーダー・プレイヤーやテレビの売行き不振に関するコメントがあり、相変わらず不調なことが分かる。

テレビそのものの寿命、さらにはテレビが映し出す番組、つまりコンテンツの質の問題まで考慮に入れると、今回の「地デジ後のテレビ市場の低迷」は長期化する可能性が高い。希望的観測では早ければ今夏にも前年同月比でプラスマイナスゼロ付近まで手が届きそうだが、テレビそのものの需要が減っていてはそれもおぼつかない。

今後いかなる推移を見せるのか、気になるところではある。

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