全体9割強、男性単身シニア層は80%…エアコン普及率をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/05/18 10:27

住宅の密閉性の向上や都心部におけるヒートアイランド現象の実体化に伴い、エアコンはこれまで以上に人々の生活に欠かせない家電の一つとなり、注目を集める機会が増えている。特に震災以降においては、電力需給問題と合わせ、体調の維持と節電との絡みで物議が醸されることが多い。今回は内閣府が2016年4月8日に発表した【消費動向調査】の各種データを抽出し再構築する形で、2016年におけるエアコンの世帯別普及率について、さまざまな切り口から状況確認を行い、各種検証のための材料を構築していくことにする。

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2016年では二人以上世帯で92.5%の普及率


内閣府の「消費動向調査」とは主要な耐久消費財(テレビや自動車をはじめとした、長期に渡って使用される商品。原則的に1年以上に渡り利用される。また時代の流れと共に利用状況が変化するものは、逐次項目が差し換えられる)の普及率について定期的に行われている調査。

また「総世帯」とは「二人以上世帯(以前は一般世帯と呼称)」と「単身世帯(一人暮らし世帯)」を合わせたもの。つまり「総世帯」=「単身世帯」+「二人以上世帯」である。今調査結果のデータベース上、長期に渡るデータが取得できるのは「二人以上世帯」においてのみ(「総世帯」「単身世帯」は比較的最近になってから調査が始まっている)。

それではまず最初に長期データが取得できる「二人以上世帯」の普及率、そして「保有世帯における」平均保有台数推移をグラフ化する(回答世帯全体における平均台数ではないことに注意)。後者は公開されているデータを元に、当方で独自に算出、グラフに加えている。

↑ エアコン(クーラー)普及率と、保有世帯における平均保有台数(二人以上世帯)(3月末時点)(-2016年)
↑ エアコン(クーラー)普及率と、保有世帯における平均保有台数(二人以上世帯)(3月末時点)(-2016年)

↑ エアコン(クーラー)普及率と、保有世帯における平均保有台数(二人以上世帯)(3月末時点)(2001-年)
↑ エアコン(クーラー)普及率と、保有世帯における平均保有台数(二人以上世帯)(3月末時点)(2001年-)

1960年代はゼロに等しかった普及率も、1970年代から急上昇し、1990年代半ばには8割を超える。そして今世紀に入ると9割近くに達し、後はほぼ横ばいの動きを継続。この流れから、ほぼ天上・上昇限界点の状態であることが分かる。直近2016年における普及率は92.5%。前年と比べると1.3%ポイントの上昇。

一方保有台数も似たような形で上昇・横ばいの動き。2016年では保有1世帯あたり3.1台に。これはエアコンの「保有世帯」において、平均3.1台のエアコンが「有る」ことを意味する。それらをすべて同時に稼働させているのでは無く、3台+α設置していることになる。例えば居間と、夫婦の部屋、子供の部屋に一台ずつのような状況が想像できる。

複数の視点から普及率を確認する


最新の2016年分について属性別に見ていくことにする。まずは世帯主の年収別。

↑ 世帯年収別エアコン普及率(2016年3月末)
↑ 世帯年収別エアコン普及率(2016年3月末)

一部凸凹があるものの、「二人以上世帯」「単身世帯」共に概して高年収ほどエアコンの普及率は高い。また「二人以上世帯」の方が「単身世帯」よりも高い普及率を示している(年収950万円以上の単身世帯は回答世帯数が1ケタのため統計上のぶれが生じている可能性がある)。

前者はエアコンそのものが設置料も含めるとそれなりの導入コストが必要になるのに加え、ランニングコストも高いハードルとなるため。もっとも初期投資額に関しては、最近の賃貸住宅は初めからエアコンが設置されている物件も多く、あまり考慮は要らないのかもしれない(それが単身世帯の普及率を押し上げている一因でもある)。

後者は「単身世帯」の場合、「自分が我慢すれば無くても良い(他人への配慮が要らない)」「お財布事情」など、一人暮らしにおける普及率を押し下げる事情が想定される。なお、この「一人暮らし」には若年層だけでなく、(特に定年退職後に配偶者と死別・離別した)高齢者も含まれていることに注意しなければならない。

↑ 性別・世帯主世代別エアコン普及率(2016年3月末)
↑ 性別・世帯主世代別エアコン普及率(2016年3月末)

↑ 住宅所有関係別エアコン普及率(2016年3月末)
↑ 住宅所有関係別エアコン普及率(2016年3月末)

概して上記グラフの傾向と同じく、「二人以上世帯」よりも「単身世帯」の方が普及率が低く、中でも男性高齢者の「単身世帯」(つまり男性のお年寄り一人身世帯)では、2割近くはエアコン無しと回答しているのが気になる。

住宅種類別では賃貸住宅、中でも「単身世帯」での低さが目立つ。賃貸住宅における普及率の低さは、上にある「年収と普及率の正比例関係」と浅からぬ関係があり、「単身世帯」まで合わせて考えると、「賃貸住宅住まい」「一人身の高齢者(特に男性)」といった組み合わせにおける、エアコンなし世帯の比率の高さがイメージされる。

単身高齢者とエアコンなしのリスクと


【スゴイ資料だけど、独自分析は挫折した】などでも触れている通り、賃貸住宅、特に建設年数が長い公的賃貸マンションにおいて、同一世代・または一人暮らしの高齢者が多いことが確認されている。

老人体力の衰えや地域社会との接触の難しさから、特に定年退職後に生活環境が一変する男性高齢者は、室内に閉じこもることが多くなる。そのような環境下でエアコンが無いとなれば、室内での熱中症のリスクが懸念される。さらに万一そのような病症に陥っても、誰にも気が付かれないまま病状が悪化する可能性が高い。まずはエアコンの設置が欠かせない。単身世帯、特に高齢者世帯では、エアコンの普及率向上は健康リスクの観点では急務の課題に違いない。

またエアコンが設置されているとしても、震災起因の電力節約志向の高まりに伴う意図的な、あるいは温度の変化を感覚的に認識しにくい高齢層の増加に伴い無意識に、必要不可欠な状況でもエアコンの稼働が成されず、健康被害が発生してしまう可能性は多分にある。室内で熱中症が発生した際に、その現場にエアコンがあるにも関わらず稼働していなかったケースは確かに少なからず存在する。

夏に向けて自分自身はもちろんだが、身の回りで熱中症のリスクが高そうに見える人に対しても、十分な配慮が求められよう。


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