二人以上世帯で9割強、単身男性中年層層は79.3%…エアコン普及率をグラフ化してみる(最新)

2021/05/08 04:44

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2021-0417住宅の密閉性の向上や都市地域におけるヒートアイランド現象の実体化に伴い、エアコンはこれまで以上に人々の生活に欠かせない家電の一つとなり、注目を集める機会が増えている。特に震災以降においては、電力需給問題と併せ、体調の維持と節電との絡みで物議が醸されることが多い。今回は内閣府が2021年4月8日に発表した【消費動向調査】の各種データを抽出し再構築する形で、2020年におけるエアコンの世帯普及率について、さまざまな切り口から状況確認を行い、各種検証のための材料を構築していくことにする。

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2021年では二人以上世帯におけるエアコンの普及率は92.2%


内閣府の「消費動向調査」とは主要な耐久消費財(テレビや自動車をはじめとした、長期にわたって使用される商品。原則的に1年以上にわたり利用される。また時代の流れとともに利用状況が変化するものは、逐次項目が差し換えられる)の普及率について定期的に行われている調査。

また「総世帯」とは「二人以上世帯(以前は一般世帯と呼称)」と「単身世帯(一人暮らし世帯)」を合わせたもの。つまり「総世帯」=「単身世帯」+「二人以上世帯」である。今調査結果のデータベース上、長期にわたるデータが取得できるのは二人以上世帯においてのみ(総世帯と単身世帯は比較的近年になってから調査が始まっている)。

それでは最初に長期データが取得できる二人以上世帯の普及率、そして「保有世帯における」平均保有台数推移をグラフ化する(回答世帯全体における平均台数ではないことに注意)。後者は公開されているデータを基に、当方で独自に算出、グラフに加えている。

↑ エアコン普及率/保有世帯における平均保有台数(二人以上世帯)
↑ エアコン普及率/保有世帯における平均保有台数(二人以上世帯)

↑ エアコン普及率/保有世帯における平均保有台数(二人以上世帯)(2001年以降)
↑ エアコン普及率/保有世帯における平均保有台数(二人以上世帯)(2001年以降)

1960年代はゼロに等しかった普及率も、1970年代から急上昇し、1990年代半ばには8割を超える。そして今世紀に入ると9割近くに達し、後はほぼ横ばいの動きを継続。この流れから、ほぼ天井・上昇限界点の状態であることが分かる。直近2021年における普及率は92.2%。前年から大きく上昇したのは、2016年の時のようなイレギュラーか、あるいは新型コロナウイルス流行による在宅時間の延びでエアコンの必要性が高まったからかもしれない。

一方保有台数も似たような形で上昇・横ばいの動き。2021年では保有1世帯あたり3.07台に。これはエアコンの保有世帯において、平均3.07台のエアコンが「存在している」ことを意味する。それらをすべて同時に稼働させているのではなく、3台+α設置していることになる。例えば居間と、夫婦の部屋、子供の部屋に一台ずつのような状況が想像できる。もちろん状況によってそれらをすべて同時に稼働させることもあるだろう。

複数の視点から普及率を確認する


最新の2021年分について属性別に見ていくことにする。まずは世帯年収別。

↑ エアコン普及率(世帯年収別)(2021年)
↑ エアコン普及率(世帯年収別)(2021年)

一部凸凹があるものの、二人以上世帯・単身世帯ともにおおよそ高世帯年収ほどエアコンの普及率は高い。また大体は二人以上世帯の方が単身世帯よりも高い普及率を示している(世帯年収1200万円以上の単身世帯は集計対象世帯数が19と少数のため、統計上のぶれが生じている可能性がある)。

前者はエアコンそのものが設置料も含めるとそれなりの導入コストが必要になるのに加え、ランニングコストも高いハードルとなるため。もっとも初期投資額に関しては、最近の賃貸住宅は初めからエアコンが設置されている物件も多く、あまり考慮は必要無いのかもしれない(それが単身世帯の普及率を押し上げている一因でもある)。

後者は単身世帯の場合、「自分が我慢すればエアコンは無くてもよい(他人への配慮が不要)」「お財布事情」など、一人暮らしにおける普及率を押し下げる事情が想定される。なお、今件の一人暮らしには若年層だけでなく、(特に定年退職後に配偶者と死別・離別した)高齢者も含まれていることに注意しなければならない。

続いて世帯主の男女別・年齢階層別と、住宅所有関連別。

↑ エアコン普及率(世帯主男女別・年齢階層別)(2021年)
↑ エアコン普及率(世帯主男女別・年齢階層別)(2021年)

↑ エアコン普及率(住宅所有関係別)(2020年)
↑ エアコン普及率(住宅所有関係別)(2020年)

おおよそ上記グラフの傾向と同じく、二人以上世帯よりも単身世帯の方が普及率が低く、中でも男性中年-高齢層の単身世帯(つまり男性の中年以上の一人身世帯)では、2割前後はエアコン無しと回答しているのが気になる。

住宅所有関係別では民営賃貸住宅での単身世帯での低さが目立つ。また単身世帯では公社公団・賃貸住宅の値も81.9%にとどまっており、決して高い値とはいえない。これらにおける普及率の低さは、上にある「世帯年収と普及率の正比例関係」と浅からぬ関係があり、単身世帯という状況と併せて考えると、「民営賃貸住宅や公社公団・賃貸住宅住まいの一人身の中年-高齢層(特に男性)」といった組み合わせにおける、エアコン無し世帯の比率の高さがイメージされる。

単身中年-高齢者とエアコン無しのリスクと


【スゴイ資料だけど、独自分析は挫折した】などでも触れている通り、賃貸住宅、特に建設年数が長い公的賃貸マンションにおいて、一人暮らしの高齢者が多いことが確認されている。

老人体力の衰えや地域社会との接触の難しさから、特に定年退職後に生活環境が一変する男性高齢者は、室内に閉じこもることが多くなる。そのような環境下でエアコンが無いとなれば、室内での熱中症のリスクが懸念される。さらに万一そのような病症に陥っても、誰にも気が付かれないまま病状が悪化する可能性が高い。まずはエアコンの設置が欠かせない。単身世帯、特に高齢者世帯では、エアコンの普及率向上は健康リスクの観点では急務の課題に違いない。

またエアコンが設置されているとしても、震災起因の電力節約志向の高まりに伴う意図的な、あるいは温度の変化を感覚的に認識しにくい高齢層の増加に伴い無意識に、必要不可欠な状況でもエアコンを稼動せず、健康被害が発生してしまう可能性は多分にある。室内で熱中症が発生した際に、その現場にエアコンがあるにもかかわらず稼働していなかったケースは確かに少なからず存在する。

夏に向けて自分自身はもちろんだが、身の回りで熱中症のリスクが高そうに見える人に対しても、十分な配慮が求められよう。


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