乗用車(新車)の買い替え年数をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/05/04 12:06

少子化や高性能化、ランニングコストの関係から軽自動車の需要が伸び、燃料事情を受けて電気自動車の浸透が少しずつ進むなど、多くの人にとって日常生活の上では欠かせない「足」となる乗用車事情も変化を見せている。そのような状況の移り変わりの中で、乗用車そのものは何年位で買い替えが行われているのだろうか。また、その買い替え年数は昔から今に至るまで同一で、変化は無いのだろうか。今回は内閣府が2016年4月8日に発表した【消費動向調査】の内容から、その乗用車に関する買い替え年数の動向を確認していくことにする。

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少しずつ、確実に伸びる乗用車の買い替え年数


「消費動向調査」そのものの詳細、実測値で3月分から抽出している理由、そして「買い替え」の詳しい定義に関しては、携帯電話に関する今件調査の先行記事となる【携帯電話の買い替え年数をグラフ化してみる】にて解説済み。詳細はそちらを参考のこと。まずは長期時系列データが唯一用意されている「二人以上世帯」(以前は「一般世帯」と表記。内容は変わらず)における、乗用車の買い替えについての推移をグラフ化し、その現状を確認する。

なお今件調査項目(買い替え)では乗用車に関しては「乗用車(新車)」とのみ表記されており、特に注釈は無い。軽自動車、電気自動車、燃料自動車なども買い替えの自家用として新車が調達されれば対象として仕切り分けされる。要は世間一般に「乗用車」と表現されて違和感を覚えない対象と考えれば良い。またこれまで世帯単位で乗用車を所有しておらず、新規に調達した場合は今件回答には該当しない(調査票にも「買替えをしたものがある場合」と記述されている。そもそも新規購入ならば以前の保有車両の使用年数は計上され得ない)。

↑ 乗用車(新車)買い替え年数推移(年、二人以上世帯)(-2016年)
↑ 乗用車(新車)買い替え年数推移(年、二人以上世帯)(-2016年)

やや上下にぶれはあるものの、全般的には赤い破線の補助線動向からも分かる通り、買い替え年数は伸びる傾向にある。もっとも古いデータの1992年から始まる3年では平均6.13年、最新の2016年に終わる3年では平均7.87年。1年半強伸びている。自動車の性能向上などが原因のようだが、できるだけ短い買い替え期間・高い回転率を望む自動車の売り手からすれば頭の痛い話。

これを「単身世帯」の結果と重ねてグラフ化したのが次の図。

↑ 乗用車(新車)年数推移(年、単身/二人以上世帯)(-2016年)
↑ 乗用車(新車)年数推移(年、単身/二人以上世帯)(-2016年)

データが用意されている期間では、すべての年で「単身世帯」の方が買い替え期間が短い。2009年から導入された、いわゆる「エコカー減税」は”買い替え年数の動向においては”、影響を及ぼしていないように見える。一方、2014年4月からの消費税率改定に伴う駆け込み需要の観点では、「単身世帯」でやや特異な動き、前年比マイナス0.5年との動きが確認できる。あるいはいくぶんながらも、特需の影響で買い替え年数が短縮された可能性がある。

2015年4月以降に購入した新車の軽自動車に対する軽自動車税が5割回し(同じ軽自動車でも業務用や自家用貨物車は1.25倍ほど)に増税されるのに伴い、軽自動車に対する特需が発生している2015年分では、その特需による短縮は見られないが、2016年の反動も無い。

属性別の乗用車買い替え年数推移


次のグラフは「二人以上世帯」「単身世帯」それぞれの属性における、過去9年間の買い替え年数推移をまとめたもの。

↑ 乗用車(新車)買い替え年数推移(年、二人以上世帯)(属性別)(-2016年)
↑ 乗用車(新車)買い替え年数推移(年、二人以上世帯)(属性別)(-2016年)

↑ 乗用車(新車)買い替え年数推移(年、単身世帯)(属性別)(-2016年)
↑ 乗用車(新車)買い替え年数推移(年、単身世帯)(属性別)(-2016年)

「二人以上世帯」ではやや大きなぶれがあるものの、総じて双方の世帯共に「30歳未満は新車買い替えサイクルが短い」「30代以降は長め」「以前より現在の方が長期化」などの動きを示している。それに加えて「二人以上世帯は男性の方が長め(2013年は逆転)」などの動きも確認できる。

また30歳未満における買い替え年数の短さにはどうしても目が留まってしまう。「新車トレンドを追い求めやすい」よりは、若年層特有の振り分けによるものと考えられる。つまり免許取得は18歳からでも可能だが、自動車購(しかも新車で)は20歳前半では(金銭的に)難しく、後半での取得が主になる。そしてその購入時期からさらに「30歳未満の時点で」買い替えが可能な人は、必然的に買い替え年数も短くなるとの事情があると考えられる。要は「20代で自動車の新車を買い替えできる人は、環境的に恵まれており、必然的に買い替え年数も短くなる」との理由によるものといえる。

これは「単身世帯」で直近3年間、「二人以上世帯」でも2年間では対象者が皆無あるいはごく少数で、該当買い替え年数が計上されていないことからも裏付けができる。つまりそのようなお財布事情の良い若年層で、しかも乗用車の買い替えに興味を有する人が、元々数は少なかったが、さらに少数化している次第である。

また消費税率改定に伴う駆け込み需要の影響だが、「二人以上世帯」にはその影響と思われる動きは確認できない。一方「単身世帯」では女性に特異な短縮が起きており、これが「従来ならもう少し使い倒すはずだったが、もう1、2年使いまわして税率改定分を上乗せして買うより、改定前に前倒しで買い替えてしまおう」との動きの結果に相当するものと考えられる。上記で言及している軽自動車の税率改定に伴う駆け込み需要もまた、2015年における短期化に影響を与えたと考えれば道理は通る(これは「二人以上世帯」の女性にも発生している)。2016年に複数の属性で発生している有意な長期化は、この反動によるものだろう。

エコカー減税と消費税率・軽自動車税改定と買い替え理由


最後に「買い替え理由」について、「二人以上世帯」「単身世帯」それぞれについて確認を行う。

↑ 乗用車(新車)買い替え理由(二人以上世帯)(-2016年)
↑ 乗用車(新車)買い替え理由(二人以上世帯)(-2016年)

↑ 乗用車(新車)買い替え理由(単身世帯)(-2016年)
↑ 乗用車(新車)買い替え理由(単身世帯)(-2016年)

いわゆる「エコカー減税」が新車乗用車の買い替えにおける直接・最上位要因ならば「その他」、あるいは回答者の錯誤(「減税効果もあるのだから、今の機種より高性能のハイブリッドカーにしよう」との考えでの回答)で「上位品目」を選択し、それらの項目が大きく伸びることになる。

その観点で両グラフを確認すると、2009年以降「二人以上世帯」では「2009年-2010年の『その他』が3.6ポイント増加」、「単身世帯」では同じく「2009年-2010年の『その他』が16.0ポイント増加」で大きな変化が確認できる。ところが上記のグラフなどにある通り、「買い替え年数の動向」にはさほど変移が見られない。つまり「まだ買い替えには早いが、減税が導入されたので該当車両に買い替えよう」とする人は少数にとどまり、むしろ「元々何らかの他の理由で買い替えを検討していた人が、エコカー減税の導入で制度適用車種への買い替え決断を後押しされた」事例が多数あったものと思われる。

2014年においては「二人以上世帯」で「その他」がやや減少しているものの、「単身世帯」では大きな伸びを示している。2012年水準に戻ったともいえるが、上記動向にある通り、女性陣の消費税率改定に伴う駆け込み需要による回答が後押ししたものと考えられる。

2015年は上記で言及の通り、軽自動車税の改定に伴う駆け込み需要から「その他」がさらにかさ上げされたようだ。もっとも「上位品目」「故障」を理由に挙げるような買い替え事例が少なくなったことによる相対的な上昇も十分考えられよう。

直近の2016年では両世帯種類共に「上位品目」の回答値が上昇している。新エコカー減税が取得税に関しては2015年4月1日から2017年3月31日分までに適用されるので、それが影響しているのかもしれない(【エコカー減税Q&A(国土交通省)】)。もっとも詳しくは別の機会で解説するが、全体に占める買い替え世帯数の比率は、いずれの理由においても減少している。「上位品目」はその減少度合いがゆるやかだったため、相対的に買い替え世帯全体に占める比率が上昇したまでの話ではある。



自動車そのものの耐久性の向上、利用周辺環境の整備などから、自動車の買い替えサイクルは少しずつ伸びる傾向を見せている。電気自動車やハイブリッドカーのような「劇的な変化(改善、メリットの上乗せ)」が得られない場合、買い替えのメリットがあまり無く、単価が高いため、現状の環境を維持することが多くなる。この事情は、他の高額耐久消費財と変わらない。

自動車の保有あるいは、二人以上世帯で子供が生まれ、育ち、送迎が必要になる場合、さらにはパート先までの行き来に必要な場合など、世帯環境の変化に伴い、乗用車の買い替えをうながされる場面がある。しかしながらそのような世帯内の環境変化ですら、少子化が進む中では、発生可能性も小さくなる。

今後自動車の新車販売はますます厳しさを増していく。これまでの方法を繰り返すのではなく、自動車に関連するあらゆる環境における変化を精査し直し、その上で新しい発想による切り口でのビジネスが求められている時代ではないだろうか。


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