「ちゃお」が新連載攻勢で部数にも貢献か…少女・女性向けコミック誌部数動向(2013年1月-3月)

2013/05/27 11:30

先日【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2013年1月-3月データ)】などでも紹介したが、【社団法人日本雑誌協会】は2013年5月15日に同協会公式サイトで公開している印刷部数のデータベースにおいて、最新の情報となる2013年1月-3月分の値を反映させた。今回はその値を基に、「少女・女性向けコミック系の雑誌」について、グラフ化と状況の把握を執り行う。もっとも記事執筆者(不破)本人は男性で、女性誌はほとんど購入していないことから、内容の分析ではいささかピントがズレたものとなる可能性もある。その点はあらかじめご了承願いたただければ幸いだ。

スポンサードリンク


データの取得場所の解説、「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

「ちゃお」が群抜く印刷実績


まずは少女向けコミック誌。少年向けコミック誌における「週刊少年ジャンプ」のように「ちゃお」が他誌を大きく引き離している。これは以前から変わりない、今分野での特徴の一つ。

2012年10-12月期と最新データ(2013年1-3月期)による少女向けコミック誌の印刷実績
↑ 2012年10-12月期と最新データ(2013年1-3月期)による少女向けコミック誌の印刷実績

「ジャンプ」のように100万部には届かないが、「ちゃお」が言葉通り「群を抜いている」様子が非常によくわかるグラフとなっている。直近のデータでは56.5万部。販売実数はこれよりも幾分少なくなるので(返本などがある)、50万部位だろう。第2位の「別冊マーガレット」が22.5万部なので、約2.5倍。ただしこの56.5万部も、当方でデータを取得済み・確認できる2008年4月-6月期以降における最盛期の値である92万部と比較すると、40万部近く数を減らしてしまっている。

なお今部門では「ASUKA」が今回データ非開示に転じてしまった。同誌そのものは現在も発売中なので、他部門同様角川グループでの公開方針に変更があったものと思われる。

続いて女性向けコミック誌。こちらは少女向けコミックと比べると横軸の区切りが小さめ(2万部単位)なのも一因だが、綺麗な序列でグラフが成形されている。

2012年10-12月期と最新データ(2013年1-3月期)による女性向けコミック誌の印刷実績
↑ 2012年10-12月期と最新データ(2013年1-3月期)による女性向けコミック誌の印刷実績

トップは前四半期から継続する形で「BE・LOVE」。元は「週刊ヤングレディ」の増刊漫画誌だったもので、1980年に創刊している。女性の大人(30-40代)をターゲットにした、いわゆる「レディースコミック誌」(20歳以上の女性を対象とした漫画ジャンル)。かつてはトップの座についていたがこの「BE・LOVE」に明け渡し、現在は次点の立ち位置から競り合っている「YOU」同様、レディースコミックがこの分野でいかに強いのかが分かる。

今分野では今回「Silky」「CIEL」「別フレ2013(2012)」がグラフ上から脱落(=部数の非公開化)した。「Silky」は以前【白泉社のSilkyが休刊、月刊のウェブマガジンに移行】で解説した通り、休刊・ウェブマガジンに移行したため。「別フレ2013(2012)」は不定期発刊で現時点でも2012年7月21日売り号が最新号として公開されており、今期での発売は無し。また「CIEL」は継続発売中だが、やはり角川グループの方針によるものか、データの非開示に至っている。

マイナス多し…直近の動向が分かる四半期変移


少女・女性向けコミックの定期更新記事も1年以上を継続しており、すでに一年前の同期におけるデータも確認できるようになった。そこで他の雑誌分野同様に、印刷数変移を「前四半期」と「前年同期」の双方からグラフ化し分析する。

まずは最新期と前四半期の部数を比較した上での変移率。約3か月間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったのかを示すもの。

雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2013年1-3月期、前期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2012年1-3月期、前期比)

赤対象、つまり誤差(マイナス5%まで)の範ちゅうを超えて下げた雑誌は4誌。前四半期期の5誌からは1誌減っているが、前四半期では該当していた「ASUKA」が今回データ非開示のため、実質的には状況に変化はない。

前四半期で部数そのものではトップの「ちゃお」の大きな落ち込みが気になるところだったが、今期ではプラス1.3%に転じている。新連載攻勢が部数押上げに貢献したようだ。

また「別冊花とゆめ」も前回から続き大きく下げている。これは前・前々四半期同様「ガラスの仮面」が休載を継続しているのが大きな原因だと考えられる。【別冊花とゆめの公式サイト】で確認すると現時点で大きな動きはなく、むしろ2013年5月27日に発売予定だったコミック50巻も発売延期が発表されているほど。付録やギャグアニメ化などの派生企画は続々進行しているのだが。

女性向けコミックの動向はどうだろうか。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2013年1-3月期、前期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック)(2013年1-3月期、前期比)

Kiss 2013年 05月号(『スティーブ・ジョブズ』掲載開始号) 幸いにも5%超えの下げ率を示したのは「ザ・デザート」のみだが、その他はいずれもプラスマイナスゼロかマイナス値。プラス値は一つもなく、同分野の厳しさを物語るグラフとなっている。前四半期で大きく伸びた「CIEL」の動向を知りたいところだが、上記の通り非公開したため、かなうはずもなく。

また先日【Kiss 2013年 05月号(『スティーブ・ジョブズ』掲載開始号) 読了】で紹介した、スティーブ・ジョブズ氏の伝記を漫画化した作品の掲載が始まった「Kiss」だが、誤差の範囲内ではあるもののマイナス4.9%の下落。現時点では雑誌部数のかさ上げに貢献するまでには至っていないようだ。

少女・女性向けコミック誌の厳しさが分かる前年同期比


続いて「前年同期比」の値も算出、グラフ化。季節による販売の上下、すなわち「季節属性」を考慮せずにすむ値。純粋な雑誌の販売数における、年ベースでの動向が確認できる。まずは少女向けコミック誌。

↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2013年1-3月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(少女向けコミック誌)(2013年1-3月期、前年同期比)

前四半期記事のグラフと概要的には変わらないが、下げ幅が大きいことが分かる。これは各雑誌の部数減少度合いが、少なくともこの一年は継続していることを意味している(例えば四半期毎に前四半期比で1%のマイナスなら、前年同期比は約マイナス4%となる)。特に上記でも解説した、「別冊花とゆめ」が3割近い減少という値を算出しており、いかに「ガラスの仮面」が同誌に大きな影響を(プラスマイナス両面で)与えているのかが改めて実感できる。

続いて女性向けコミック。

雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2013年1-3月期、前年同期比)
雑誌印刷実績変化率(女性向けコミック誌)(2013年1-3月期、前年同期比)

↑ Cocohanaの部数推移(2013年1-3月期まで)
↑ Cocohanaの部数推移(2013年1-3月期まで)

こちらも少女向けコミック同様、プラスの雑誌は無し。対象となる雑誌そのものが減っているので単純比較はできないが、状況的には前四半期と同じ程度だろうか。

「Cocohana」は前四半期から続き下げ幅は該当誌中では最大。これは2つ目のグラフにある通り、同誌は2012年1月号で旧「コーラス」からのリニューアルを実施し、その際に大きく部数を底上げしたのが原因。その当時との値との比較のため、マイナス値も大きくなってしまった。ただしこの3四半期ほどはほぼ横ばいに推移しているため、これが継続すれば次期には2ケタ台のマイナスを示すことは無くなるはず。



今期は前四半期同様に、赤系統色が映える、つまりマイナス値の多いグラフばかりとなった。リニューアルや有力タイトルの導入による部数の底上げも、その注力を継続しない限り、一時的なものでしかない。断続的な売上減少の圧力(多分に市場全体の環境によるもの)は、それほどまでに強い。

「大家」、「大きな底上げ効果が望める」ビックタイトルが複数展開されるとなれば、その雑誌は継続的な飛躍が期待できる。しかし少年・男性向けコミックをはじめ他分野の雑誌同様、昔はともかく今では困難となっている。単発では一連の「別冊花とゆめ」の事例のように、イレギュラーなハプニングで大きな反動を受けかねない。

趣味趣向の多様化、メディアの上での選択肢の増加、可処分所得の変化、「すきま時間」の消費性向の変わり様、雑誌自身の質の低迷など、複数の要因が、昨今の不調の原因として挙げられる。各雑誌には自らが置かれている市場を冷静に分析し、持てる資源・資産を最大限活かせるような施策が求められている。これもまた、他の分野と変わるところはない。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー