聴いてる人でも1日平均2時間足らず…ラジオ視聴者の平均視聴時間など(2020年2月度版)(最新)

2020/03/21 05:17

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2020-0320主要なメディアの中でも広告費の落ち込みが著しい、震災で大きくクローズアップされたなど、周辺環境が大きく揺れ動いているのがラジオ。メディアとしての躍進著しいインターネットとの相性も決して悪くは無いはずなのだが、効果的な連動の仕組みが構築できず、状況の回復は思わしく無いとの話も見聞きする。それではラジオの聴取動向はどのような推移を見せ、また聴取している人の聴取時間はいかなる変化を示しているのだろうか。ビデオリサーチが定期的にプレスリリースを公開しているラジオ聴取動向の最新データ(【発表リリース:ビデオリサーチ2020年2月度首都圏ラジオ調査結果まとまる】)をはじめ取得可能な値を基に、震災前後のラジオ聴取動向について、聴取時間などの観点から確認をしていくことにする。

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ラジオをまったく聴かない人は中期的には増加中


今調査の調査様式などは先行記事【首都圏のラジオ平均聴取率4.9%、高齢者は平日で9.0%(2020年2月度版)(最新)】を参照のこと。

まずは調査対象母集団で「ラジオを聴いているか否か」の割合。調査期間の一週間に一度でも5分以上継続して聴取していれば「ラジオを聴いている」と判断し、ラジオ到達者・接触者としてカウントする。この割合の推移を示したのが次のグラフ。

↑ 首都圏ラジオ・全局到達率(週次、5-29時、1週間累積)
↑ 首都圏ラジオ・全局到達率(週次、5-29時、1週間累積)

グラフにおける縦軸の下限が50%のため大きな変動をしているように見えるが、実際の動きは大したものでは無い。しかしそれでも2011年3月の震災後にやや上昇し、その1年後以降、具体的には2012年の半ば以降は緩やかながらも失速していたのが分かる。

また大きく下げた2014年8月からは2015年8月に至るまで、継続して戻しの上昇を見せていた。大幅な下げと比べて「半戻し」を超え、さらに緩やかではあるが上昇を継続するようすであり、単なるリバウンドではなく再上昇の可能性が高くなっていた。2015年10月以降は横ばいへの動きにシフトし、中休み・踊り場的な状態が継続。しかし2016年4月を天井とし、10か月ほど下落を継続の後に4か月ほどの踊り場を経て、再び下落トレンドに転じている。その後の2017年12月を底とした、上昇への動きは単なるリバウンドの感が強い。実際ここしばらくはほぼ横ばいの流れ、むしろさらなる下落を試しているかのような動き。

2019年10月では大きく値が跳ね、トレンド転換の兆しの可能性もあったが、今回月は再び大きな下げ。単なるイレギュラー的な動きだったようだ。

直近では54.0%の人が「週5分以上はラジオを聴いている」と回答したことになる。見方を変えれば、5割近くの人はラジオとはほぼ無縁の生活を過ごしている。

これを年齢階層で区分して個々の動きを確認したのが次の図。若年層ほど到達率は低く、高齢層ほど高いのは想定の範囲内。しかし2011年3月の震災後に10代の到達率が上昇し、一時期ではあるが20-34歳層を超えた動きには注目したい。

↑ 首都圏ラジオ・全局到達率(週次、5-29時、1週間累積、年齢階層別)
↑ 首都圏ラジオ・全局到達率(週次、5-29時、1週間累積、年齢階層別)

2012年後半以降、中長期的には30代半ばより若い層では再び低下の動きを示していたが、震災を機会に多くの若年者が一時的にでもラジオに耳を傾けたのもまた事実。これにはインターネットラジオの普及も一役買ったのだろう。一方、以前【radikoが4月2日正午から全国視聴可能に・民放ラジオ11局も参入】で紹介したが、radikoが2012年4月から全国展開されたものの、それによる若年層の到達率の動きは無い。

また、中期的に見ると高齢層も漸減する傾向にあるのが目に留まる。数回分の調査結果からの動きではなく、数年分の中での流れなだけに、注視する必要がある。同年齢階層はラジオにとって一番のお得意様に他ならないからだ。この層の離反は、ラジオ業界にとっては大きな痛手に違いない。2015年に入ると一時的な回復基調を示したものの、それも同年秋までには終焉、再び落ち込みを示すようになった。ここ2年ばかりの横ばいの動きは単なる底打ちなのか、それとも踊り場なのか。

他方、12-19歳と20-34歳はもみ合いを続けながら双方とも下落を示している。長期的には12-19歳の下げ幅は小さめで、20-34歳の方が大きいようにも見えるが、2015年以降は両層のつばぜり合いが生じながらもつれ合う形で漸減している感はある。radikoが2016年10月11日からタイムフリー聴取(要はタイムシフト聴取)とシェアラジオの実証実験を開始しているが、期待の対象となる若年層にも影響は生じていないようだ。

2016年後半あたりから生じている35歳-49歳層の大きな下落ぶりも気になるところ。これらの層はラジオを支える大きな力であるのには違い無く、高齢層の軟調ぶりも併せ、その動きには関係方面は気が気でないことだろう。

ラジオ聴取者の聴取時間は


「ラジオ聴取者における」平均的な聴取時間は次の通りとなる。ラジオを聴いている・聴いていない人双方を合わせた値から算出したものでなく、聴いた人のみの平均であることに注意(元々聴取率の低い若年層ほど「聴いていない人が多い」ことが原因で、平均聴取時間数が減ってしまうといった現象は起きない)。

↑ 首都圏ラジオ・接触者の全局聴取分数(分/一人・日、年齢階層別)(2020年2月)
↑ 首都圏ラジオ・接触者の全局聴取分数(分/一人・日、年齢階層別)(2020年2月)

↑ 首都圏ラジオ・接触者の全局聴取分数(分/一人・日)
↑ 首都圏ラジオ・接触者の全局聴取分数(分/一人・日)

直近の2020年2月時点では全体平均で107分/日。これが10代では35分、20-34歳では68分、35-49歳では89分、50歳以上は144分。高齢層が全体平均を底上げしているのが分かる。聴く・聴かないの比率だけで無く、聴取者の聴取時間でも高齢者ほどラジオと親しい関係にあることになる。

時系列による聴取者聴取時間の変化では、震災をきっかけに10分単位で増加したが、2012年に入って失速。2012年半ばを底として、うねりを見せつつ多少ながらも戻しを見せていた。この流れは先の全局個人聴取率と変わらない。ただし2014年夏以降は聴取時間においても減少する傾向にあった。

2015年12月における大幅な伸びは、他の項目にも見られた数字上の躍進を想起させる。それ以降は高い水準を維持し、安定した値の動きの中にあった。それ故に2017年2月の大きな減少は、他の動向同様にマイナストレンドを思わせるものであり、その値から大きな動きを見せずに推移している現状は、あまり好ましいものとは言い難い。

年齢階層別動向を見ると、中期的には高齢層の漸減の気配があったのが分かる。

↑ 首都圏ラジオ・接触者の全局聴取分数(分/一人・日、年齢階層別)
↑ 首都圏ラジオ・接触者の全局聴取分数(分/一人・日、年齢階層別)

それぞれの年齢階層の聴取時間の立ち位置がクロス、さらには入れ替わることは想定しにくいが、各層で興味深い動きを示していることに違いはない。2017年以降において50-69歳層が大きく下げているが、ここ2年ばかりは横ばいから再上昇の動き。他方35-49歳層は同じタイミングで明らかに下落している。このままでは20-34歳層とのクロスも考えられる。

ともあれ、今後各年齢階層がどのような変化をとげるのか、是非とも継続して確認したいところだ。


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