聴いてる人でも1日平均約2時間…ラジオ視聴者の平均視聴時間などをグラフ化してみる(2016年10月度版)(最新)

2016/11/22 12:16

主要なメディアの中でも広告費の落ち込みが著しい、震災で大きくクローズアップされたなど、周辺環境が大きく揺れ動いているのがラジオ。メディアとしての躍進著しいインターネットとの相性も決して悪くはないはずなのだが、効果的な連動の仕組みが構築できず、状況の回復は思わしくないとの話も見聞きする。それではラジオの聴取動向はどのような推移を見せ、また聴取している人の聴取時間はいかなる変化を示しているのだろうか。ビデオリサーチが定期的にプレスリリースを公開しているラジオ聴取動向の最新データ(【発表リリース:ビデオリサーチ2016年10月度首都圏ラジオ調査結果まとまる】)をはじめ取得可能な値を基に、震災前後のラジオ聴取動向について、聴取時間などの観点から確認をしていくことにする。

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ラジオをまったく聴かない人は中期的には増加中


今調査の調査様式などは先行記事【首都圏のラジオ平均聴取率6.3%、高齢者は平日でも1割強(2016年10月度版)(最新)】を参照のこと。

まずは調査対象母集団で「ラジオを聴いているか否か」の割合。調査期間の一週間に一度でも5分以上継続して聴取していれば「ラジオを聴いている」と判断し、ラジオ到達者・接触者としてカウントする。この割合の推移を示したのが次のグラフ。

↑ 全局到達率・時系列比較(週次、5時-29時、1週間累積)(-2016年10月)
↑ 全局到達率・時系列比較(週次、5時-29時、1週間累積)(-2016年10月)

グラフにおける縦軸の下限が54%のため大きな変動をしているように見えるが、実際の動きは大したものではない。しかしそれでも2011年3月の震災後にやや上昇し、その1年後以降、具体的には2012年の半ば以降は緩やかながらも失速していたのが分かる。

また大きく下げた2014年8月からは2015年8月に至るまで、継続して戻しの上昇を見せていた。大幅な下げと比べて「半戻し」を超え、さらに緩やかではあるが上昇を継続する様子であり、単なるリバウンドでは無く再上昇の可能性が高くなっていた。2015年10月以降は横ばいへの動きにシフトし、中休み・踊り場的な状態が継続。しかし2016年4月を天井とし、ここ6か月ほどは下落を継続しており、再び下落トレンドに転じた雰囲気も見られる。中期的には震災以降、下落を示しており、2014年夏以降の上昇ぶりは急落からの調整の動きと見た方が良いだろう。

直近では60.3%の人が「週5分以上はラジオを聴いている」と回答したことになる。大体6割だが、見方を変えれば、4割近くの人はラジオとはほぼ無縁の生活を過ごしている。

これを年齢階層で区分して個々の動きを確認したのが次の図。若年層ほど到達率は低く、高齢層ほど高いのは想定の範囲内。しかし2011年3月の震災後に10代の到達率が上昇し、一時期ではあるが20-34歳層を超えた動きには注目したい。

↑ 全局到達率・時系列比較(週次、5時-29時、1週間累積)(年齢階層別)(-2016年10月)
↑ 全局到達率・時系列比較(週次、5時-29時、1週間累積)(年齢階層別)(-2016年10月)

2012年後半以降、中長期的には30代半ばより若い層では再び低下の動きを示していたが、震災を機会に多くの若年者が一時的にでもラジオに耳を傾けたのもまた事実。これにはインターネットラジオの普及も一役買ったのだろう。一方、以前【radikoが4月2日正午から全国視聴可能に・民放ラジオ11局も参入】で紹介したが、radikoが2012年4月から全国展開されたものの、それによる若年層の到達率の動きは無い。

また、中期的に見るとシニア層でも漸減する傾向にあるのが目に留まる。数回分の調査結果からの動きでは無く、数年分の中での流れなだけに、注視する必要がある。同世代はラジオにとって一番のお得意様に他ならないからだ。この世代の離反は、ラジオ業界にとっては大きな痛手に他ならない。2015年に入ると一時的な回復基調を示したものの、それも同年秋までには終焉、再び落ち込みを示すようになった。

他方、ここしばらくの間、具体的には2015年4月以降、震災後に生じた「10代到達率が20-34歳層を超える」現象が再び、断続的に発生している。どちらか一方の層の変動では無く、10代の増加と20-34歳層の減少が同時期に起きており、注目に値する。

特に今年に入ってからは両年齢階層の値は競り合うようになり、グラフの上ではほぼ重なる形に。直近の2016年10月でも12-19歳が42.4%、20-34歳が40.0%となり、未成年者が上回っている。今回調査は2016年10月17日から23日にかけて実施されているが、radikoが同年10月11日からタイムフリー聴取(要はタイムシフト聴取)とシェアラジオの実証実験を開始しており、これが影響した可能性は否定できない。ともあれ、両年齢階層の動きには、今後も大いに注目したい。

ラジオ聴取者の聴取時間は


「ラジオ聴取者における」平均的な聴取時間は次の通りとなる。ラジオを聴いている・聴いていない人双方を合わせた値から算出したものでなく、聴いた人のみの平均であることに注意(元々聴取率の低い若年層ほど「聴いていない人が多い」ことが原因で、平均聴取時間数が減ってしまうといった現象は起きない)。

↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(分/一人・日)(2016年10月、年齢階層別)
↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(分/一人・日)(2016年10月、年齢階層別)

↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(分/一人・日)(-2016年10月)
↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(分/一人・日)(-2016年10月)

直近の2016年10月時点では全体平均で124分/日。これが10代では37分、20-34歳では89分、35-49歳では115分。50歳以上の157分が、全体平均を底上げしているのが分かる。聴く・聴かないの比率だけでなく、聴取者の聴取時間でも、高齢者ほどラジオと親しい関係にあることになる。

時系列による聴取者聴取時間の変化では、震災をきっかけに10分単位で増加したが、2012年に入って失速。2012年半ばを底として、うねりを見せつつ多少ながらも戻しを見せていた。この流れは先の全局個人聴取率と変わらない。ただし2014年夏以降は聴取時間においても減少する傾向にあった。

2015年12月における大幅な伸びは、他の項目にも見られた数字上の躍進を想起させる。それ以降は高い水準を維持し、安定した値動きの中にある。

世代別動向を見ると、中期的には高齢層の漸減の気配があったのが分かる。

↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(一人・日)(年齢階層別)(-2016年10月)
↑ ラジオ接触者の全局聴取分数(一人・日)(年齢階層別)(-2016年10月)

それぞれの世代の聴取時間の立ち位置がクロス、さらには入れ替わることは想定しにくいが、各世代で興味深い動きを示していることに違いはない。中期的にはもみあいを続けながら大きな変化はないようだが、50歳以上の階層では2015年夏までは減退気味、2015年末に復調したようだ。また35-49歳層では2014年末を底値に、少しずつ上昇する動きをしているようにも見える。2016年8月につけた記録117分は、値を取得できる2011年2月以降に限れば2012年2月の116分を抜き、最大値を更新している。

今後各世代がどのような変化をとげるのか、是非とも継続して確認したいところだ。


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