ラジオはどこで聴いているか…場所別・年齢階層別のラジオ聴取動向(2020年2月度版)(最新)

2020/03/21 05:13

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2020-0320インターネットや携帯電話など新メディアの普及で大きな影響を受け、大手従来型メディアの中でも紙媒体とともにメディア力(りょく)の減退が著しいラジオ。一方で先の震災によりその存在意義を見直され、復権の様相も呈しつつある。そのラジオが活躍の場を与えられるのは、何も自宅内だけではない。特に震災後の非日常的な状況下では屋外での活躍ぶりが注目された。今回はビデオリサーチが定期的にプレスリリースの形で公開を実施しているラジオ聴取動向の最新データ(【発表リリース:ビデオリサーチ2020年2月度首都圏ラジオ調査結果まとまる】)を基に、直近の状況における聴取場所別のラジオ視聴動向を確認していくことにする。

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自宅内は高齢層が圧倒的、若年層はほとんど聴かない


今調査の調査様式などは先行記事【首都圏のラジオ平均聴取率4.9%、高齢者は平日で9.0%(2020年2月度版)(最新)】を参照のこと。

今件項目における「週平均の聴取率」とは「週全体(平日、土日を合わせた)における、1日単位での平均聴取率」を意味する。例えば「1週間全体において、1度でもラジオを聴いた人の割合」では無い(こちらは54.0%)。

最初は男女を合わせた、場所別・年齢階層区分別の週平均。自宅では平均2.4%/日の人がラジオを聴いている。およそ42人に1人の割合となる。また、年齢階層区分が10歳区切りではないことに注意。

↑ 首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6-24時、週平均、年齢階層別、聴取場所別)(2020年2月)
↑ 首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6-24時、週平均、年齢階層別、聴取場所別)(2020年2月)

自宅内では34歳までは1%足らず、35-49歳でも1.5%。それが50歳以上になると4.8%に跳ね上がる。これは定年退職を迎えて、自宅で有り余る時間を費やしている人が多いからだと考えられる。また年齢階層的に「高齢者ほどデジタル系のような双方向メディアでは無く、一方向性の、自分で操作して反応する必要が無いメディアであるテレビやラジオを好む傾向が多分にある」(あくまでも傾向であり、全員がそれに当てはまるわけではないことに注意)との理由も一因。

ところが自宅外になると、成人若年層から中年層の割合がかなり伸びる。特に35-49歳と、その上の層50-69歳の差異は大きく縮まる。一方、それより下の層は自宅外でも聴取率はそれほど高くないが、これはラジオ離れ以外に、自ら自動車に乗らない人がいるからだと考えられる(10代は特に)。

またラジオは自宅外で聴取される比率がかなり高いことも把握できる(自宅外全体=自宅外・車内+自宅外「車内」以外である)。例えば50-69歳なら週平均聴取率8.6%のうち3.8%までが自宅外である(さらにそのうち2.3%分までがカーラジオによるもの)。カーラジオがラジオ聴取に与える影響は非常に大きいことがうかがえる。

自動車に乗る機会が少ない女性はラジオ聴取率も低い


これを男女別に見ると大きな差異が見受けられる。こちらは年齢階層区分は10歳区切り。

↑ 首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6-24時、週平均、男性、年齢階層別、聴取場所別)(2020年2月)
↑ 首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6-24時、週平均、男性、年齢階層別、聴取場所別)(2020年2月)

↑ 首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6-24時、週平均、女性、年齢階層別、聴取場所別)(2020年2月)
↑ 首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6-24時、週平均、女性、年齢階層別、聴取場所別)(2020年2月)

まずは男性について。就業をしている年齢階層は自宅での聴取率は低い(ゼロではないのは週平均のため土日が含まれること、平日でも朝や帰宅後に聴取をしたり、無職、自営・自由業者がいるから。主夫の人も想定される)。だが50代に入ると高くなる。そして50代までは自宅外の方が聴取率が高いものの(10代除く)、60代では自宅の方が再び高くなる。これは上記にある通り、50代までは自宅で聴く機会はさほど多くないが、60代になると定年退職で自宅にて悠々自適な生活を迎えるため。そしてラジオは一方向性を持つ、聴き入るだけの「楽なメディア」だからに他ならない。ながら作業もし易い。

一方自宅外でも高齢者ほどおおよそ利用率が高まる傾向には変わり無い。ただしここ数回の調査の結果では40代・50代の方が60代より高い値の動きが見受けられており、今回月も自宅外において40-50代は60代よりも高い結果が出ている。原因は不明だが、60代男性における自宅外におけるラジオの聴取スタイルに、何らかの変化が生じた可能性はある(内向化)。今調査の結果からだけでは、その理由までは分からないが。適性検査に伴う自動車免許の自主返納の動きも関係している可能性は否定できない。車に乗らなければ車内ラジオを聴く機会もない。高齢者のラジオ離れか。

カーラジオ女性は男性とはかなり動きが異なる。縦軸の区切りを男性と同じにして比較しやすくしたが、自宅外での聴取率が男性と比べると低い一方、自宅内聴取率は男性と大きな違いはない(今回月では50代以降がやや低め)。自宅外の聴取率が低いのは、ラジオを聴取する機会があるタイプの勤務による自宅外勤務者が(男性と比べて女性は)あまりいないからだと考えられる。専業主婦では自宅外でのラジオ聴取機会はさほど多くなく、兼業主婦でもパートやアルバイトではやはりラジオを聴けるタイミングは見出しにくい。出退勤や子供の送迎の時ぐらいか。

さらに男性と比較してみると、女性は自宅外でのラジオ聴取率が年齢を超えて低いままであるのも印象的。自宅外では必然的に「ながら聴取」となるが、女性はラジオの屋外での「ながら聴取」について、行儀の上で敬遠しているのだろう。自動車を運転する機会そのものも男性と比べれば少ないものと思われる。

ラジオ番組の構成を思い返すと、中年層以降を対象としたものが多い(これについてはテレビも変わらない)。局・番組側も視聴者性向を知った上で構成していると考えれば、道理は通るものではある。


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