「サンデー毎日」は有名大学合格者高校別ランキングで堅調…諸種雑誌部数動向(2013年1-3月)

2013/05/24 07:55

先日の記事【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2013年1月-3月データ) 】などで解説している通り、【社団法人日本雑誌協会】は2013年5月15日付で、公開されている「印刷証明付き部数」のデータベース上の値に関して、2013年1月から3月分を反映させた。今回はその最新値を基に、過去の記事の各種値を更新する。多種多様な雑誌の「前年同期比」での部数推移のグラフ化を行うことになるが、雑誌不況の現状をある程度推し量れるはずだ。

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写真誌の弱さは続く…一般週刊誌


まずは一般週刊誌。成長派、やや軟調派、急落派の3派に大別できる。

一般週刊誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)
↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)

一般週刊誌印刷証明付き部数(2013年1-3月)(万部)
↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2013年1-3月)(万部)

今回計測分では前期比(前年同期比にあらず・グラフは略)でプラスなのは3誌。前回記事と変わらず。5%超のプラスは1誌(「サンデー毎日」)と前回の皆無からはやや状況は改善している。

前年同期比でマイナス誌は10誌で、誤差の範囲を超えたのは3誌。前回は5誌だったので、それと比べればやや持ち直した感はある。

上記でも記したが、今回「サンデー毎日」は前期比、そして前年同期比でも群を抜いた伸び率を示している。元々同誌はこの時期(年度替わり前後)で、有名大学、特に東大・京大や早慶の合格者高校別ランキングを発表しており、他の時期と比べて大いに部数を伸ばしている。今年は特に需要が大きく、前年同期比でも躍進を果たしたようだ。

なお、前回などの記事で掲載した『めしばな刑事タチバナ』掲載の「週刊アサヒ芸能」は前年同期比でマイナス2.0%。前期比でもマイナス0.5%と、ほんのわずかながらも後退を示している。

苦戦が続く育児やレシピ系雑誌


続いて育児系雑誌。

育児系雑誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)
↑ 育児系雑誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)

育児系雑誌は毎年一定数の新規市場加入者が登場することから、比較的手堅いジャンルだったはずだが、今期も状況は良いとは言えない。その中で大きなプラスを示した雑誌は「ベビモ(Baby-mo)」。今誌は季刊誌で、該当時期に発売されたのは1誌、2013年3月15日売り号のみ。「赤ちゃんのいる生活を家族みんなでもっと楽しむための情報が満載」とのキャッチコピーと共に、多様な方面から乳幼児を持つ世帯の夫婦に役立つ情報を提供している。特に今回は付録の、子供向けブランド「X-girl Stages」のおむつポーチが好評を博したようだ。

食・料理・レシピ系雑誌は、昨今の食事情、すなわち内食・中食をする人の増加と共に、需要は増えているように思える。しかし実態としては軟調な状況が継続している。インターネット、中でも持ち運びに便利なモバイル系端末経由の情報提供サイトに「中食・内食増加」に伴う読者までも奪われてしまい、雑誌向け市場は逆に縮小している可能性が高い。

食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)
↑ 食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)

(参考)レタスクラブ/栗原はるみ haru mi 印刷実績。2013年1-3月期まで
↑ (参考)レタスクラブ/栗原はるみ haru mi 印刷実績。2013年1-3月期まで

今四半期では前年同月比でマイナス5%を超えたのが、前四半期と同様に2誌。超えた雑誌そのものも同じ。「オレンジページ」のマイナス11.9%が特に大きい。部数はまだ30万部台前半だが、速やかな対処が必要。ただ、前期比ではプラス0.9%となり、この数四半期続いていた減少傾向に歯止めがかかっていることから、最悪の事態は脱したようにも見える。

他方、「栗原はるみ haru mi」は今回も堅調な動きで唯一のプラス。「栗原はるみ」という存在自身が雑誌の最大のセールスポイントとなり、読書をしっかりとつかんで離していないのだろう。「レタスクラブ」は今回、前年同期比でこそマイナスなものの、昨今の動向を見るに定型的なパターンの中での下げのようで、あまり心配は要らないのかもしれない。

エリア情報誌は一部奮戦、犬猫雑誌は…


エリア情報誌。こちらも相変わらず苦境は続く……

エリア情報雑誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)
↑ エリア情報雑誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)

……が、今回期では「北海道ウォーカー」が大健闘。前期比でもプラス52.6%と大きな伸びを示している(部数そのものは5.8万部)。該当時期に発売されたのは『北海道ウォーカー 25年春号』のみだが、特別付録の「家族でも楽しい工場見学etc. 無料・格安スポットガイド 全道99店」が大いに受けたようだ。

なお前回、四季報の言及を基に記した「全国6地区の雑誌『ウォーカー』は3地区に縮小」だが、現時点でも上記グラフ上の6誌はすべて定期的な発刊を続けている。四季報側の誤報だった模様。

ペットとしては常に対で紹介される「犬猫」双方の専門誌、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。

犬猫雑誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)
↑ 犬猫雑誌印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)

「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数(万部)(2013年1-3月期まで)
↑ 「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数推移(万部)(2013年1-3月期まで)

いぬのきもちとねこのきもち今回は前年同期比では「ねこのきもち」の勝利……ではあるが、両誌ともマイナスには違いなく、嬉しさも中くらい。もっとも前期比では「ねこのきもち」はほんのわずかながらプラスを示しており(3四半期ぶりに10万台を回復)、同誌の下落基調は底を打った感はある。

ちなみに直近期の発行部数は「いぬのきもち」13.0万部・「ねこのきもち」10.0万部で、こちらは「いぬ」の勝ち。とはいえ、差異がまだかなり開いているのも事実ではある。

残された「小学一年生」「二年生」の動向は?


最後に小学館の小学生向け雑誌。「小学●年生」シリーズそのものはすでに2誌しか残っておらず、「小学3年生」以上はすべて休刊している。そこで幼稚園関連の雑誌3誌を追加し、グラフ化している。また今グラフに限り、雑誌の並びは変化率で再構築するのではなく、雑誌特性に沿う形で初期の配置をそのまま維持している。

「小学●年生」シリーズ+α印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)
↑ 「小学●年生」シリーズ+α印刷実績変化率(2013年1-3月、前年同期比)

今回も前回同様、「小学一年生」「小学二年生」共に大きくマイナス。今件グラフは「前年同期比」によるもので、季節属性による変動は無く、純粋な「勢いの減退」を示している。今系列雑誌では毎年この時期、新入生向けに大きく部数を伸ばす傾向があり、前期比ではそれぞれプラス141%・53%と大きく飛躍している。もっとも次期以降の下落も常のもので、次四半期の動きが気になる。

一方幼稚園系3誌のうち「たのしい幼稚園」は、今回唯一プラスを示している。該当期間に発売されたのは2誌のみだが、そのうち3月号の付録(ドキドキ! プリキュアおしゃれバインダー)が大いに受けたようだ。



以上かいつまんだかたちではあるが、定例にならい各方面の雑誌に関して、前年同期比の印刷実績の推移のグラフ化を行った。一部健闘している雑誌が確認できるのは幸いだが、大勢はマイナス、しかも5%超えの赤着色のバーが目立つグラフがほとんどを占めている。

今回取り上げた業界専門誌の領域、具体的には料理や育児などといった、比較的ハードルが低く、世間一般向けの業界は、インターネットやデジタル系ツールとの組合せで、紙媒体としての魅力を活かしながら、今まで以上の人から注目を集められる可能性を十分に秘めている。

AR(Augmented Reality(拡張現実・強化現実))も良い切り口ではあるし、ソーシャルメディアとの積極的な連動性を行うための手法を考えるのも一つの手。また観光案内ということで臨場感あふれる動画を使うのも、手法としては有効。昨今では動画視聴が容易になったタブレット・スマートフォンの普及率拡大で、可能性はさらに大きくなっている。


↑ 北海道ウォーカーの公式動画。グルメ系を中心に映像での紹介を行っている。最近更新が無いのが残念。
↑ 北海道ウォーカーの公式動画。グルメ系を中心に映像での紹介を行っている。最近更新が無いのが残念。【直接リンクはこちら】

市場を取り巻く環境は複数の要因で大きく変化している。当然これまで通りの切り口は通用しない。その事実を認識した上で、各誌とも正しい道のりを歩んでほしいものである。

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