「オール投資」もついに休刊へ…ビジネス・マネー系雑誌部数動向(2013年1月-3月)

2013/05/23 07:55

先日【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2013年1月-3月データ) 】でもお伝えした通り、【社団法人日本雑誌協会】は2013年5月15日付で、2013年1月から3月分の印刷部数について、公開中のデータベース上に値を反映させた。これは主要定期発刊誌の印刷数「印刷証明付き部数」を公開したもので、各雑誌社や企業が発表している「公称」部数より、雑誌のすう勢を推し量る指標として正確度が高い値として知られている。今回は当サイトのメインテーマと軸を同じくする「ビジネス・マネー系雑誌」に関してデータをグラフ化し、推移を眺めることにする。

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データの取得場所の解説、「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

ずいぶんと 寂しくなった ビジネス誌


それではまず最初に、2013年の1-3月期とその前期、2012年10-12月期における印刷実績を確認する。

2012年10-12月期と2013年1-3月期のビジネス・金融・マネー誌の印刷実績
↑ 2012年10-12月期と2013年1-3月期のビジネス・金融・マネー誌の印刷実績

今回は前四半期でデータが復活した「\en SPA!」が再び消えた。【「\en SPA!」の公式サイト】は現在も更新中だが、最新号は前回記事から変わらず『2012年12月6日のもの』。アマゾンでは「不定期版」との記述があるため、今回の該当期では1誌も出なかったことになる。

また、長年続いていた「オール投資」もデータは非掲載。こちらは2012年10月1日発売号で休刊してしまっている。最終号には「56年のご愛顧ありがとうございました!」とのコピーが表紙に踊っており、もの悲しさを覚える。

お馴染みのメンバーの中ではの週刊少年ジャンプやVジャンプのように、雑誌名に恥じない形で「PRESIDENT(プレジデント)」が印刷部数の多さを誇る。第2位にはやはり定番の「週刊ダイヤモンド」が続いているが、両者の順位はそう簡単には覆せないだろう。

勢い継続のCOURRiER Japon…前期比較


続いて各誌における四半期間の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化を行う。要は約3か月の経緯で印刷部数(≒販売部数)の変化が生じたのかの割合を示すもの。普段なら3か月程度では大きな変化は生じない。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2013年1-3月、前期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・金融・マネー誌)(2013年1-3月、前期比)

前回の記事とは大きな差異は無いが、5%超の下げ率を示した雑誌が今回は皆無。プラスを示したのが4誌と、それなりに健闘した結果が出ている。株価動向が後押ししたか……とも考えたが、「オール投資」が休刊しており、それを確かめる指標は無い。

他方大きな伸び率を「COURRiER Japon(クーリエ ジャポン)」が前回から続き見せている。概要説明には「世界1500のメディアから情報を厳選する『国際標準マガジン』 」とある。そして単純に情報を展開するのみならず、専門家や有識者の見解を盛り込んで記事にしており、また仕事周りの提言的・具体性を有する話が多く、特にビジネスマンには読み応えのある記事が豊富に展開されている。該当期間号では創刊100号となった3月号が特に人気のようだ。もっとも最近では、多分に類似他誌のような「自己啓発的」な色合いが強く、特色が薄れてきたとの感想も目に留まる。

COURRiER Japon印刷証明付き部数(2013年1-3月期まで)
↑ COURRiER Japon印刷証明付き部数(2013年1-3月期まで)

同誌には「初心忘れるべからず」の魂を持ち続けてほしいものだ。

前年同期比でも群を抜くあの雑誌


一連の定点観測を続け、データを蓄積したことで、今件の記事でも「前年同期比」を算出することができるようになった。今回も「季節属性」を考慮しなくても済む「前年同期比」を基にしたグラフを生成する。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、2013年1-3月、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、2013年1-3月、前年同期比)

どの雑誌もイレギュラー的な動きは無く、この一年は継続したセールスの動きを示している。そのため前年同期比と前期比との間で、グラフの動向に大きな違いはない。「COURRiER Japon」は直上の折れ線グラフにある通り、この2四半期でやや大きな上昇を見せているため、前年同期比でもプラスに働いている。手元のデータにおける最高値の7万4334部まで間もなくである。



2008年秋の「リーマンショック」で、その前年から始まった金融危機の中ではもっとも多くの人が経済情報・動向に注目し、情報誌の需要も高まった。しかしそれ以降はある程度の慣れが生じたのか、メジャーどころの金融・経済系ウェブサイトへのアクセスの増加はゆるやかなものとなり、あるいは減少に転じている。しかしそのような流れの中でも、スマートフォンやタブレット機の急速な普及ぶり、ソーシャルメディアの浸透などが進み、紙媒体からデジタルメディアへの読者移行は続いている。

株式新聞上を歩く人経済系のジャンル、特に株式や為替は、時間・分単位で情勢が変化する。記事の作成から読者の手に届くまでのプロセスで、デジタル系と比べて時間の上で大きな後れを取る紙媒体の不利さは、他のジャンル、例えば漫画や趣味系の雑誌とは比べ物にならないくらい大きい。昨今では即時対応ができる金融、ビジネス系のインターネット上の情報展開は、ますます重要度を増している。

このような市場の変化の中で、ビジネス・金融・マネー誌には何が求められているのか。今まで以上に正確なマーケティングリサーチが必要とされる。そして得られた情報を基に正しい海図を描き、早急に航海を行わねばならない。さもなくばデジタル情報化の荒波にもまれてしまう。

読者ターゲットとなる若年-中堅男性は、同時にデジタルアイテムをこよなく好む層でもある。当然スマートフォンの普及率も高い。紙媒体の雑誌がデジタルに客を取られる可能性も大きなものとなる。このような市場の中で、生き残りを見せるにはどうすれば良いのか。考えねばならない要素は多く、使える時間は少ない。

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