声優系強し、アニメ誌は「アニメージュ」が手堅い…ゲーム・エンタメ系雑誌部数動向(2013年1月-3月)

2013/05/20 07:55

【社団法人日本雑誌協会】は2013年5月15日に、四半期ペースで更新している印刷部数について、2013年1月から3月分の値を公開しているデータベース上に反映させた。この値は主な定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」で公開したもので、雑誌の販売実態を推し量る指標としては各誌による「公称」部数よりはるかに精密な値といえる。今回はゲーム専門誌などをはじめとするゲーム誌や、声優・アニメを取り扱ったエンタメ誌などから成る「ゲーム・エンタメ系」のデータをグラフ化し、直近の動向を確認する。

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データの取得場所の解説、「印刷証明付部数」など用語の説明、諸般注意事項は一連の記事まとめ記事【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

それでは早速、まずは2013年の1-3月期とその直前期2012年10-12月期における印刷実績を見ることにする。

2012年の10-12月期と2013年1-3月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績
↑ 2012年の10-12月期と2013年1-3月期におけるゲーム・エンタメ系雑誌の印刷実績

前四半期と比べるとややラインアップが大人しくなった感がある。前回は「マック・ピープル」「アスキー・ドット・ピーシー」「電撃PlayStation」「週刊アスキー」の4誌が追加されたが、今回は「ニュータイプ THE LIVE」「コンプティーク」の2誌が抜けている。もちろん双方とも休刊・廃刊の気配は無い。先日の【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2013年1月-3月データ)】での脱落誌も多分に角川系、今回の2誌も双方とも角川系なだけに、印刷証明関連で同グループ内に大きな方針転換があったように思える。

印刷部数そのものの絶対値としては、Vジャンプが群を抜いている状況に変わりはない。またアニメ系雑誌(三大アニメ誌…ニュータイプ・アニメージュ・アニメディア)ではニュータイプが一番強い。

前四半期との相違…「PASH!」奮闘中


次に四半期、つまり直近3か月における印刷数の変移についてグラフ化を行う。

雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系雑誌)(2013年1-3月期、前期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系雑誌)(2013年1-3月期、前期比)

「ファミ通DS+Wii」の下げっぷりが目立つが、これは前四半期で『とびだせ どうぶつの森』効果により前期比3割強の伸びを示した反動。同ソフトそのものはいまだに高い稼働率を見せ新規販売本数も伸びてはいるが、発売当初の勢いは無い。

一方「PASH!」は数少ないプラス組の中でも、トップの座についている。該当期間に発売されたのは3号分だが、その中でも『2013年3月号』が売れているという。同号にはA1サイズの「K」のポスターをはじめ、同作品の特集、その他にも「女性向けのアニメファン雑誌」として恥じない内容の数々(声優インタビュー多し)が展開されている。去年6月売り号から、これまで隔月刊誌だったものが月刊化するほどの勢いを継続しており、頼もしい限りである。

三大アニメ誌では「アニメージュ」のみが誤差の範囲の下げ、残り2誌はほぼ横並びの下げ率を示している。この傾向は中期に渡り継続しているようで、後述する前年同期比や、部数そのものの変動にも影響を与えている。

なお前四半期の記事でも触れた、下げ方が気になった「コンプティーク」は、上記にある通りデータが非公開化されてしまった。健闘を祈りたい所だ。

やはりこの2誌ね…季節変動を考えなくて良い前年同月比


定点観測のおかげで一年以上のデータ蓄積がかない、前年同期比の算出が可能となった。これは季節ごとの特異的な動きを考慮しなくて良い、純粋な年ベースでの雑誌の動向を知ることができる値である。今四半期に抜けてしまった2誌、前四半期からデータの公開を再開した4誌は前年同期比の算出が出来ず、グラフからは除いてあるため、他のと比べてやや寂しいものとなった。

↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)(2013年1-3月期、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ゲーム・エンタメ系)(2013年1-3月期、前年同期比)

概況としては前四半期と大きく変わらない。このジャンルでは出世頭的な存在の「ファミ通DS+Wii」と「PASH!」のみがプラスとなっている。一方、「Vジャンプ」「声優グランプリ」は誤差の範囲だが、それ以外は1割を超える下げ幅を示しており、危機感を覚えさせられる。

上でも触れた三大アニメ誌だが、いずれもマイナス1割超のグループ。「アニメージュ」が一番下げ幅が小さく、相対的には奮闘している形になるが、部数を減らしていることに違いない。もっともこの状況がここしばらく続いており、3誌間のパワーバランスに変化が生じているのも事実だ。

↑ 三大アニメ誌の印刷実績(部)
↑ 三大アニメ誌の印刷実績(部)

「アニメージュ」と「アニメディア」の差はすでに1000部を切っている。このままの勢いで行けば、次期かその次の四半期で両誌の立ち位置は逆転することになる。無論、繰り返しになるが、部数減少の中での順位の入れ替わりであり、一喜一憂する優先順位は低めであることはいうまでもない。



今期における前年同期比でマイナス10%超が5誌も出ている状況は、今部門が他の雑誌業界部門同様、きわめて厳しい状態にあることを意味する。雑誌の売り上げ増加がそのまま利益や勢いに直結するわけではないが、多分に連動はする。年10%減が5年も続けば、概算でも4割減にまで部数を減らしてしまうことになる。

絶対部数こそ少ないものの(直近で3.1万部)「PASH!」のような堅実な動きを示す雑誌には、多分にそれを成すだけの要因・きっかけを持っている。オリジナリティ、記事の質の高さ、視点の面白さなど、いくつも数えることができる。

また「ファミ通DS+Wii」のように頑なに専門化を突き進み、「特需」を捕えたら離さないスタイルも一つの切り口。昨今ではこの「特需」を目の前にしながら逃してしまう雑誌も少なくない。

↑ ファミ通DS+Wiiの印刷実績(部)
↑ ファミ通DS+Wiiの印刷実績(部)

上のグラフでもっとも大きな値を示している時期は『ポケモン』の新作によるもの。他にも上昇基調にある時期は多分に『ポケモン』をはじめとする任天堂のビッグタイトルによるところが大きかった。今回は『とびだせ どうぶつの森』が支えとなり、しかも減少基調を押し戻した様相まで示しているのが分かる。

デジタル系の情報媒体がゲームユーザー層(学生層ですらも)に急速に浸透し、速報性では雑誌がかなわない状態にある昨今。これまで以上に対価を支払い雑誌を手に取りたいと思わせるには、「他には無い特別な一品」「手元に残しておきたい」と思わせるだけの価値を呈する必要がある。

その価値をどのように見出していくのか。デジタルでは提供できない付録をつけるか、専門誌ならではの深い切り口の記事・企画を創生するか、通好みの内容で迫るか、さらにはデジタルとの融合を図るか。方向性はいくらでもイメージできる(無論それがビジネス的に成り立つか否かは別の話)。

今件取り上げた中で、印刷部数上で前期比・前年同期比でプラスを示す、または安定的な売り上げを維持している雑誌には、デジタルが普及した今でもなお、買い続けられるだけの、読者の心をつかんで離さない魅力を有している。その魅力とは何なのかを分析できれば、今部門の雑誌達の未来も切り開かれるに違いない。

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