前年より改善も不景気突入前よりは低水準…大学生の2013年3月末時点での就職率は93.9%・前年比0.3%ポイントのプラス

2013/05/18 10:00

厚生労働省は2013年5月17日に、2012年度(2012年4月1日-2013年3月31日)における大学や短期大学、高等専門学校、専修学校の新卒者就職状況に関する最新調査結果を発表した。発表内容によると2013年4月1日(3月末)時点での大学新卒者の就職率(就職希望者に対する就職取得者の割合)は93.9%だった。これは昨年同時期より0.3%ポイントの改善となる(【発表リリース(平成24年度「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」)】)。また、同日発表された【高校・中学新卒者の就職(内定)状況(平成24年度「高校・中学新卒者の求人・求職状況・内定状況取りまとめ」)】によれば、高校新卒者の就職(内定)率は97.6%となり、昨年同期から0.9ポイントの増加(改善)を示した。これは過去20年間(1994年以降)で最高の値である。

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今調査は全国の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校の中から、設置者・地域の別などに考慮をした上で抽出した112校に対して行われている(調査校の内訳は、国立大学21校、公立大学3校、私立大学38校、短期大学20校、高等専門学校10校、専修学校20校)で。調査対象人員は6250人(大学、短期大学、高等専門学校併せて5690人、専修学校560人)。各大学などにおいて、所定の調査対象学生を抽出し、電話や面接などの方法で、性別、就職希望の有無、就職(内定)状況などを調査している。一方高校・中学卒業予定者に対しての調査は、学校や公共職業安定所の紹介を希望する生徒の状況をとりまとめたもの。

公表された調査結果によると、2013年4月1日時点で大学の就職率は93.9%となり、前年同期の93.6%と比べて0.3ポイントのプラスになった。

↑ 中卒-大卒予定者の就職(内定)率(2013年3月末時点と2012年同時期)
↑ 中卒-大卒予定者の就職(内定)率(2013年3月末時点と2012年同時期)

元々短期大学の就職(内定)率は大学や高専と比較して低めになる。しかし今年は前年比で大きく上昇し、他の学歴にそん色ない就職率を示した。前年同期にでの伸び率は今回調査対象の諸学校の中では一番高く、5.2%ポイントもの増加となった。先日発表された景気ウォッチャー調査の最新版の結果【2013年4月分の景気ウォッチャー調査結果は現状下降・先行き上昇】でも雇用関連指数は高水準を維持しており、雇用状況の改善が再確認できる。

就職率が最も高いのは高等専門学校。前年同様調査対象母集団では全員が就職している。これは以前【日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化してみる(2012年版)】などでも解説しているが、高専の卒業生が求人側の需要に合致しやすい、いわゆるマッチングしやすいため。この「企業側は即戦力を優遇」という状況が、汎用性が高い、見方を変えれば即戦力になりにくい大学生を企業側が避ける「大学離れ」の一因とする説もある。

このうち大学(国公立・私立の合計、個別)に注目し、男女別にその動向を見ると次のようなグラフになる。

↑ 国公立・私立大の男女別就職(内定)率(2013年3月末時点と2012年同時期)
↑ 国公立・私立大の男女別就職(内定)率(2013年3月末時点と2012年同時期)

すべての学種で男性は低下、女性は上昇を示している。この動きにより大学国公立・私立ではすべて、女性の方が男性よりも就職率が高い結果となった。グラフは略するが高専では相変わらず男性の方が高就職率であることを合わせて考えると、上でも触れたが「汎用性に長けた男子大学生」を企業側が扱いにくい状況にあるのかもしれないあるいは別の仮説として、女子と比べて男子は昨年比で大きく就職希望率が上昇していることから、男性の雇用市場の拡大が、就職希望者の増加に追いついていない可能性もある。

なお「男性は大学院に行くから就職率が下がる」という仮説は成り立たない。就職率は上で説明している通り、就職希望者を対象にしているからである。

直近10年間における内定率推移をグラフ化すると、次の通りとなる。「昨年・一昨年よりは」改善しているものの、2007年以降の金融不況以前と比べると、まだ厳しい状況には違いない。

↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2013年4月1日)
↑ 就職(内定)率の推移(大学・全体)(-2013年4月1日)

今件グラフ範囲内だけで確認すると「2011年3月卒の底値から、順次回復傾向にある」ように見える。とはいえ金融危機やリーマンショックによる、内定率に影響が出始める前の同期値(95%超)にはまだ手が届かない。もう少しではあるのだが。



高卒者の内定率も上昇している。内容を確認すると高校新卒者では、

・求人数は22.7万人。前年同期で8.8%増
・求職者数は16.6万人。前年同期で3.5%増
・就職(内定)者は16.2万人。前年同期で4.4%増

という結果が出ている。求人数が大幅に増加、求職者も増加。結果として(高卒者側から見れば選択肢が増え)就職状況は改善の動きにある。求人倍率は1以上(1.37)と、「求人数>>求職者数」の傾向は続き、前回調査結果の1.29倍からさらに改善している。一方、企業側と求職者のマッチングを考えれば、未だに安穏とできる状況とはいえない。

また【大卒正社員率は82.7%…学歴や年齢別の若者労働者の正社員・非正社員割合をグラフ化してみる】などでも指摘しているように、中高生は正社員以外(非正規雇用)の雇用形態比率が大きい。さらに先日【「正規の仕事が無いから」非正規の職についた人は約2割(労働力調査・2013年第1四半期速報)】でも記したが、非正規社員の男子若年層のうち1/3強は「正規社員の職につきたいが、適切な仕事が無かったので非正規社員として働いている」と回答している。

その上【3年で中卒者は2/3、高卒者は4割が離職…学歴別・就職後の離職状況をグラフ化してみる(2011年版 子供・若者白書)】で指摘しているが、中高卒は大学卒と比べて短期間での離職率が高い(中学校卒業者の3年以内での離職率は2/3近く。大学卒業者の3割と比べ、2倍以上に及ぶ)。中高生の就職率が高い実態は喜ぶべきだが、就職した後の就労状況にも注視しなければならない。

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