雑誌がもっとも大きな下げ幅、インターネットは2ケタの伸び(経産省広告売上推移:2013年5月発表分)

2013/05/16 11:30

経済産業省は2013年5月14日に「特定サービス産業動態統計調査」において、2013年3月分の速報データ(確定値に先立ち公開される値)を発表した。それによると、2013年3月の広告業全体における売上高は前年同月比でマイナス0.2%と幾分ながらも減少していることが明らかになった。今件記事で精査対象となる5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「雑誌」がマイナス11.8%と、もっとも低迷している(【発表ページ】)。

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今記事のデータ取得元、選択項目の詳細については記事の一覧【4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】で説明している。そちらで確認してほしい。今記事はその2013年3月分データ(公開は2013年5月)の速報値を反映させたもの。なお最新のデータ以前の値に関しては、速報値の後に発表される確定値で修正された値を入力し直している。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年2-2013年3月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2013年2-2013年3月)

前月分と比較しやすいよう、前回記事分(2013年2月分)データ(確定値に修正済み)と並列してグラフ化した。今回月は先月と同じように、取り上げた5項目において、ここ数か月継続している「中期的流れ」と似たような結果が表れている。すなわち4マスでは「テレビ」がやや弱含みの範囲で留まっているものの、それ以外は大きく下落、そして「インターネット広告」の増加という具合である。先月(2月分)記事では2013年2月分の「雑誌」において「かろうじてプラス」としたが、その後確定値による修正の際、マイナスに転落してしまっている。その「雑誌」は今回月では主要項目中最大の下げ幅、マイナス11.8%。前年同月の2012年3月における「雑誌」の前年同月比はプラス4.6%だったことから、その反動も多少はある。

該当月の電通・博報堂の売上動向に関する記事【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2013年3月分)】でも、「テレビ」も含め4マスは不調、「インターネット」は堅調と、似たような動きを示している。経産省のデータの傾向が特異的なもの、別の国のものでは無く、日本の広告市場全体の状況を表していることがあらためて確認できる。

今回もこれまで同様に、該当月(2013年3月分)における各区分の具体的売上高をグラフ化しておく。広告代理店業務を営む企業は当然大手の電通と博報堂のみだけではないため、さらには各広告種類の区分が異なるため、額面の一致・類似性は無い。今調査内のみにおける相対的な値、比較用の参考値として確認してほしい。

4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年3月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2013年3月、億円)

金額面で見ると昨今では「インターネット広告」は「新聞」の額を抜く月ばかりとなり、今記事で抽出している主要5項目では「テレビ」に次ぐポジションを確固たるものとしている(【新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(2012年7月まで対応版)】)。今月発表分はその定番的な立ち位置を維持したようだ。しかも額面で100億円ほどの差が開いており、今後の動きが注目される。また、この両項目(新聞・インターネット)に関する記事も、そろそろ最新のデータを盛り込んで更新すべき時かもしれない。

ただしインターネット広告費は中期的には増加する傾向にあるが、同時に他のメディアと比べて起伏が大きい。再び新聞に抜かれる可能性は十二分にある。

インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年3月)
↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2013年3月)

次に、公開されているデータの中期的推移をグラフ化し、俯瞰的に眺めてみる。今調査でインターネット広告のデータが掲載されたのは2007年1月からであり、それ以前のデータは無い。そこで2007年1月以降に限り作ったのが次の図。

月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年3月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2013年3月分まで)

大勢としては「インターネットは激しい起伏を繰り返し、2009年前半に一時的な落ち込みを見せる。その後に回復、プラス圏を維持。さらに他項目には見られない大きな上昇を示すこともしばしばある」「テレビは2010年から回復の雰囲気をのぞかせ、プラス圏に手が届く」「ラジオはマイナス圏で低迷継続のまま」「雑誌はリーマンショックで一番大きな痛手を受け、その後もかなり厳しい状態を続けていた。ここしばらくは幾分回復の流れ」というところか。今グラフ期間中には2007年の金融危機ぼっ発、2008年秋のリーマンショック、2011年の東日本大地震・震災と3つの大規模で広告業界にとってもマイナス圧力となる出来事が起きているが、個々の出来事の後の動きを見ると、各媒体の耐久性・柔軟性も透けて見える。

昨今ではそれらのマイナス要素となる突発性の高い出来事の影響も薄れ、個々の現況に沿った形での動きが出ている。

テレビカメラ作り手・送り手の立場だけでなく、広告主や利用者側の立場の需給とのせめぎ合いを繰り返しながら、そして新技術による後押しを受けつつ、メディア関連の電子化は逐次進行を続けている。日本では欧米諸国などと比べて強い形で4マス(=既存メディア)がいわゆる「既得権益」化した上で頑なに変化を拒むところが強く、世界の流れには立ち遅れている感は否めない。

また、2011年3月に発生した東日本大地震・震災、それをきっかけとする各種震災・人災は、消費者、つまり広告を受ける側の考え方にも大きな影響を与え、変化をもたらすことになった。そして広告出稿側のコスト意識の変動、地震報道などで露呈した各媒体の「本当の価値、姿」に対する、広告主による意識の移り変わりをもたらしている。

今件「特定サービス産業動態統計調査」は電通・博報堂の月次レポートの分析と共に、広告費の動向そのものとしてだけでなく、主要メディアのパワーバランスの変化をのぞき見れる資料となる。今後も継続して確認を続けることで、時代の息遣いを耳に留めることができるだろう。


■関連記事:
【定期更新記事:4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】(一連のまとめ記事)

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