銀行混乱沈静化でキプロスは下げる、イラクの上位入りが気になる(国債デフォルト確率動向:2013年5月)

2013/05/15 14:45

今サイトでは世界各国の経済動向を推し量るために、債権リスクを示す指針の一つ「CPD」をチェックすることで、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を、2010年12月以降毎月確認している。今回は2013年5月15日本日取得したデータをグラフ化し、現状に関する検証を行うことにする。

スポンサードリンク


国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かい定義、データの取得場所、さらには各種概念の説明は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行われている。そちらで確認してほしい。

今件のグラフは日本時間で2013年5月15日、つまり日本時間で本日取得したばかりの一番新しいデータをベースに生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している(「NO DATA」とは前回は登場しなかった項目)。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年5月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年5月15日時点)

ヨーロッパ全体の債務問題は昨年春季以降に見られた事態の悪化懸念をも乗り越え、少なくとも表面上は山場を越えた感はある。また度重なる危機との直面で、経験と慣れと対応策が積み重ねられ、個別問題の解決を容易にしている状況を構築している(無論根本的な打開策ではないため、応急措置以上のものでは無く、完治かそれに近い状況までの道のりは遠い)。

先月「事態打開策の中で打ち出された銀行の一時封鎖がトリガーとなり、大いに混乱が広まった」とするキプロスだが、今回月では大きく下げている(=安定化の方向にある)。これは同国への財政支援そのものが【キプロス、緊急融資初回分受け取り-ギリシャは融資承認確保(ブルームバーグ)】などにもある通りハードルを越え、第一回目が無事に実施されたことによるもの。


↑ キプロスの銀行改革を称賛するEU閣僚たちのニュース。今回の支援の前提だっただけに、当然との話も。
↑ キプロスの銀行改革を称賛するEU閣僚たちのニュース。今回の支援の前提だっただけに、当然との話も。【直接リンクはこちら】

それ以外は今回月では大きな動きはない。顔を見せている国もその順位もほぼ変わらず、10位の「チュニジア中央銀行」がイラクに取って代わられた程度。ただ全般的に値が増加(リスクが拡大)する動きを示しているのが気になる。債務問題の情勢は改善されているはずなのだが、CPD市場関係者はそのようには見ていないのだろう(ギリシャは来年前半に国債発行を計画するなど、引き続き改革には意欲的な姿勢を見せているのだが……)。

日本の国債に対する値だが、4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版(【CMA Release Global Sovereign Credit Risk Report。一覧ページはこちら】)で確認できる。現時点では先日【国債・公債のデフォルト低リスク国をグラフ化してみる(2013年Q1分)】で解説した通り、2013年Q1分が最新。

それによると、日本のCPDは6.0%で順位は20位。前四半期・2012年第4四半期の6.6%・23位と比べると、状況そのものは改善、相対順位も改善していることになる。CPDの算出上では、日本の財務状況回復の歩みは前進しており、その勢いも上位他国と比べてそん色ないと受け止められているようだ。

日本の企業動向、株式市場にも大きな影響を与え、さらにはCPDの動きにも(間接的に)影響を及ぼしているユーロ動向だが、欧州中央銀行の動きや日本の情勢変化を受け、去年の秋口以降、特に冬からは勢い良くユーロが戻しを見せている。さらに先月【本日、日本銀行が発表した『「量的・質的金融緩和」の導入について』】でも示したように、日銀の大規模金融緩和の影響を受け、一層ユーロ高・円安が進んだ。その後一時的なもみあいを経て、再びユーロ高が進行している。

↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年5月14日)
↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年5月14日)

経済・政治動向が激しく変化する昨今の情勢では、失業率の動向同様、債券リスクが大きく反映されるCPDの値は、各国、特にEU諸国の経済情勢を推し量る有効な指標の一つとなる。今後もEUの失業率同様に、CPD値の変化に注意を向ける必要があろう。


■関連記事:
【若年層の失業率、スペイン55.9%・ギリシャ59.1%…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2013年3月分)】
【最近よく聞くキーワード「CDS」とは?】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー