平均で10年強…電気洗濯機の買い替え年数(最新)

2023/06/16 02:44

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2023-0609家電商品、耐久消費財、シロモノ家電の代表として、電気冷蔵庫と並び名前が挙げられるのが電気洗濯機。快適な日常生活を過ごす上では欠かすことができない家電の一つだが、電気冷蔵庫と比べて常用している類のものではなく、やや影が薄いことは否めない。しかし利用の際には水の取り入れ口や排水などを考慮する必要があり、引越しをする時にはその置き場所と併せ大いに注目される家電でもある。今回は内閣府が2023年4月10日に発表した【消費動向調査】の2023年3月実施分の調査結果を基に、「電気洗濯機の買い替え年数」の現状と過去からの推移について、確認を行うことにする。

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洗濯機は10年強で買い替え


「消費動向調査」の詳細や実測値の3月分からの抽出事情、「買い替え」の定義については、先行記事の【携帯電話の買い替え年数】にて解説済み。詳しくはそちらを参考のこと。

今回は「電気洗濯機」の買い替え年数を検証する。電気洗濯機について詳しい説明は回答用の質問用紙にはない。単に「電気洗濯機」と記されている。脱水機はもちろん、乾燥機(機能)まで付随している洗濯機も多いが、それらもすべて電気洗濯機として包括する。つまり回答者が、それを「電気洗濯機」として見なすか否かの問題である。

世帯区分のうち長期の時期系列による値が保存されているのは二人以上世帯のみ。そこでまずは二人以上世帯における、電気洗濯機の買い替え年数推移をグラフ化し、状況の把握を試みる。

↑ 電気洗濯機買い替え年数(二人以上世帯、年)
↑ 電気洗濯機買い替え年数(二人以上世帯、年)

多少の上下はあるが、買い替え年数はほ8-9年で安定していた。いわゆる白物家電と呼ばれる商品に対する買い替えの一般論、定説として「一般家電の買い替えサイクルは10年ぐらい」があるが、洗濯機もまたそれに一致する(やや短めだが)ことになる。

他方2017年では大きく伸びて、初めて10年台に突入する形となった。これは先行する買い替え年数に関する記事でも生じている現象だが、質問設定の変更は確認できない。買い替えを行った世帯比率はやや減少した動きが生じていることから(例えば二人以上世帯では2016年は8.5%が買い替えをしたが、2017年では7.9%。単身世帯では8.3%が5.3%となっている)、対象商品の品質向上により壊れ難くなった結果による可能性はある。直近の2023年では10.2年に。

これを単身世帯の動向と重ねてグラフ化したのが次の図。傾向把握のため、2006年以降過去18年分まで延長している。

↑ 電気洗濯機買い替え年数(世帯種類別、年)
↑ 電気洗濯機買い替え年数(世帯種類別、年)

かつてはパソコンや携帯電話などのデジタル系アイテム同様に、全般的に単身世帯の方が買い替え年数が短かったが、2008年以降は立場が逆転。むしろ単身世帯が延びる傾向を見せている。単身世帯では2006年より前の買い替えに関するデータは存在しないため、2008年がターニングポイントなのか、2006年・2007年がイレギュラー値なのかまでは判断できない。今データから確認できるのは「2008年以降は単身世帯の方が電気洗濯機の買い替え年数は長い傾向がある」との事実だけである。

また2017年における大きな延びの動きは、二人以上世帯だけでなく単身世帯でも起きている。単身世帯は過去にも10年超えは確認できたが、11年を超えたのは2017年が初めてとなる。直近の2023年でも単身世帯・二人以上世帯ともに10年を超えていることに変わりはない。

電気洗濯機買い替えの属性別動向は?


次のグラフは二人以上世帯・単身世帯それぞれの属性における、過去10年間の買い替え年数推移をまとめたもの。

↑ 電気洗濯機買い替え年数(二人以上世帯、属性別、年)
↑ 電気洗濯機買い替え年数(二人以上世帯、属性別、年)

↑ 電気洗濯機買い替え年数(単身世帯、属性別、年)
↑ 電気洗濯機買い替え年数(単身世帯、属性別、年)

直近10年間では電気洗濯機の製品ラインアップ・機能には(例えばパソコンのOSの変更、家庭用ゲーム機における世代交代のような)劇的な進化は見られず、商品の差別化も難しいことから、二人以上世帯では男女間、年齢階層間の差異があまり見られない。「29歳以下」の買い替え年数が他の年齢階層と比べて短いのは、トレンド云々ではなく、引っ越しの機会が多く、その際に買い替えを行う場面が多いからと推測される(引っ越しは多分に世帯環境の変化が伴い、その場合に既存の電気洗濯機では容量不足になり、買い替えが求められるため)。

単身世帯では女性の方が買い替え年数が長い傾向がある。これも引っ越し理由による買い替えがあるか否かによると見てよい。一人暮らしとの居住条件を考えれば、女性の引っ越しが男性より平均頻度が低くならざるを得ないのも理解できる(防犯などの問題で適切な環境を見つけにくい)。当然引っ越しの際の買い替えも起きにくく、利用が長期化しうるわけである。

また2017年以降の大きな増加の動きに関しては、双方の世帯種類ともに男女の差を問わず生じている。特定属性で生じた特異なものではないようだ。

電気洗濯機を買い替える、その理由とは


最後に電気洗濯機の「買い替え理由」を二人以上世帯・単身世帯それぞれについて見たグラフを作成する。

↑ 電気洗濯機買い替え理由(二人以上世帯)
↑ 電気洗濯機買い替え理由(二人以上世帯)

↑ 電気洗濯機買い替え理由(単身世帯)
↑ 電気洗濯機買い替え理由(単身世帯)

小回りが利きやすい単身世帯の方が「住所変更」による買い替えの率は高くなる傾向がある。その分「故障」の値が低く、「上位品目」「その他」項目は世帯構成でさほど違いはない。いずれにしても電気洗濯機では「壊れてしまって、修理も難しい」「修理するのなら買い替えた方が安上がり」などが原因で買い替えが行われるケースが多数に及んでいる。

電気洗濯機では少々の品質向上をした製品の登場ぐらいでは、買い替えする必要は無いと考えられているのが多数意見。故障により八方ふさがりとなり、ようやく買い替えの決断をするパターンが多い。まさに言葉通りの「耐久財」である。



洗濯電気洗濯機は「水回りが整った場所が無いと設置できず使えない」「毎日使うものではない」「二人以上世帯と単身世帯で利用頻度が大きく異なる」など、電気冷蔵庫やテレビなどの他の家電と比べて、やや特異な性質・利用形態を有している。それらの要素を考えると、2008年以降に単身世帯の買い替え年数が伸びているのは、利用頻度が低いこともあり、家電内における買い替えの優先順位が下げられている可能性がある。つまり「現行機でも十分使えるし、使う回数も少ない。壊れない限りは買い替えせずにそのまま使い続けよう」とするものだ。

ちなみに家電の買い替え年数に大きな影響を与えたかもしれなかった「エコポイント制度」だが、電気洗濯機は適用外だった。そのため、対象だったら該当しうる買い替え理由項目「その他」には大きな変化は見られない。もし仮に対象品目に加えられていたら、電気洗濯機の買い替え動向にはどのような変化が起きていたのだろうか。想像してみるのも一興だ…が、電気洗濯機の特性を考えると、さほど大きな影響はなかったのだろう。


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