吉野家の牛丼値下げが大きなプラス材料に…牛丼御三家売上:2013年4月分

2013/05/08 07:55

吉野家ホールディングス(9861)は2013年5月7日、同社子会社の牛丼チェーン店吉野家の2013年4月における売上高などの営業成績を発表した。それによると既存店ベースでの売上高は前年同月比でプラス11.1%となった。牛丼御三家と呼ばれる主力牛丼企業のうち松屋フーズ(9887)が運営する牛飯・カレー・定食店「松屋」の同年4月における売上前年同月比はマイナス7.8%、ゼンショー(7550)が展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はマイナス3.5%との値が発表されている(いずれも前年同月・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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↑ 牛丼御三家2013年4月営業成績(既存店)(前年同月比)
↑ 牛丼御三家2013年4月営業成績(既存店)(前年同月比)

吉野家に関して昨年同月と比較する、一年前における客単価前年比はマイナス0.9%。そこからさらに2.2%の下落をしており、客単価はわずかだが減少傾向を示している。この数年相次いで付加価値の高い新商品を展開し客単価の引き上げに成功していた同社だが、今回月では以前【吉野家が牛丼を280円に値下げ・牛丼御三家横並び状態に】で記したように主力商品の牛丼を、期間限定では無く継続する形で値下げを断行。これが客単価下落の引き金となった(見方を変えればわずか2.2%で済んだ、とも読める)。一方、この値下げは客の呼び込みには十分な効果があり、客数は前年同月比で13.6%ものプラス、前々年同月比でも5.2%のプラスとなり、これが売上高の押し上げに貢献する形となる。

↑ 牛丼御三家2013年4月営業成績(既存店)(前々年同月比)
↑ 牛丼御三家2013年4月営業成績(既存店)(前々年同月比)

生姜焼き丼松屋は今回月ではすき家とほぼ同時期に期間限定で牛めしを値下げ(【すき家と松屋、主力商品の牛丼・牛めしを期間限定で30円値下げへ】)し、店舗周辺における新年度に伴う新規客の呼び込みを図り、さらに「スタミナ豚カルビ 生姜焼き丼」などの新商品を投入。しかし客単価・客数共に振るわず、結果として売り上げは御三家の中でもっとも落ち込む結果となった。

すき家も松屋同様に牛丼の期間限定値下げを実施し、新年度の新規顧客獲得を模索。さらに先行試験販売の時点で大いに話題となった「やきそば牛丼」を期間限定で発売している(【すき家、やきそば牛丼を4月12日から期間限定で発売】)。客単価の下落は最小限に留まったものの、客の入りは思わしくなく、売上高はマイナスに。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年4月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2013年4月)

2011年3月以降は東日本大地震・震災による直接的影響、さらには消費性向の変化などで、牛丼業界に限定しても、客単価や客数、売上は大きく変化している。特に震災以前に毎月のように繰り広げられた安売りキャンペーンは新鮮味もすでに無く、ブランド力の低下すら生じ得るため、今では沈静化を見せている。そして昨今では客単価を上げるため、付加価値の高い、比較的高価格な商品展開が相次いでいる。

ただし「新規顧客の誘引」との視点では「値引きセール」に即効性があることには違いない。年度替わりで住居移転・行動領域の変化などにより新規顧客が狙いやすい4月では、上記にある通り御三家がいずれも値下げを行った。もっとも松屋・すき家はいつものように期間限定のセールだったが、吉野家ではメイン商品の期間の限りが無い値下げという、インパクトのあるものとなった(値下げの結果、主力商品の牛丼・牛めしの価格が3社横並びになった点も見逃せない)。

客数動向を再確認


昨今、具体的には2011年後半期以降、牛丼チェーン店においては来場客が減少しており、これが売り上げが落ちている主要因となっている。松屋は13か月、すき家は17か月、客数の前年同月比マイナスが継続中。もはや「前年同月の集客が良かったので、今月はその反動でマイナスとなった」という説明も出来ない状態。一方吉野家は16か月ぶりに来店者数を大幅にプラス化し、今回は久々に効果を発揮する「値下げ」であったことを裏付ける形となった。

↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2013年4月)
↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2013年4月)

客数の減少は震災も起因の一つと考えられるが(明らかな減少が起きているのは2011年夏から)、牛丼離れ的な動き、さらには消費全体の性向そのものに変化が生じ、その影響が客足の遠のきという形になって表れている。先月の記事や【コンビニエンスストアの商品構成別売上推移をグラフ化してみる(2012年12月分まで反映)】でも指摘した通り、コンビニの日配食品の充実が、牛丼購買層のシェアを奪っている可能性は高い。

今回月は吉野家の牛丼値下げによる効果が目立つ形となったが、これが利益(売上ではない)に結びつくかまでは公開情報だけでは判断できない。また、この堅調さが単月だけのものでは、単なるドーピングと変わりない。次月以降しばらくは、牛丼御三家の中でも特に吉野家の動向に注目していきたい。


■関連記事:
【牛丼御三家の店舗数推移などをグラフ化してみる(2012年8月分まで対応版)】

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