やりとりは携帯電話メインで…小中高校生のメール利用状況(2014年)(最新)

2014/04/10 11:30

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インターネットが使えるようになると、初めに手掛ける環境整備、手掛ける行動はウェブサイトの閲覧と電子メールの利用。この2つがインターネットというツールの可能性を無限大に広げていくと表現してもオーバーではない。今回はそのうちの後者、電子メールの利用状況について小中高校生の実態を、内閣府が2014年3月31日付で発表した【2013年度版 青少年のインターネット利用環境実態調査】の報告書を基に、確認していくことにする。


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メールのやり取りは携帯メイン


今調査に関する先行記事で解説したが、今調査対象母集団全体では、4割強が携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)経由で、1割足らずがパソコン経由でインターネットメールを使っている。インターネットそのものの利用項目としては、携帯電話ではトップだが、パソコンでは調べものや動画など視聴、ゲームなど他の利用項目に埋もれる形となっている。

↑ インターネットの利用内容(各媒体非保有・非使用者も含む全体比)(2013年、小学生-高校生)(再録)
↑ インターネットの利用内容(各媒体非保有・非使用者も含む全体比)(2013年、小学生-高校生)(再録)

それではメール利用状況は男女別ではどのような違いがあるのか、小学生と高校生ではやはり大きな差があるのだろうか……などを確認したのが次のグラフ。使える環境を所有・使用できる状態にあり、その上で使っているか否かを確認したものだが、パソコンでは小学生はほぼ無きに等しく、中学生になってようやく1割強の利用率となる。ただし高校生になっても利用率はさほど上がらず、2割足らずのまま。

↑ パソコン・携帯におけるメール利用状況(2013年、学校種類・男女別、各媒体利用・所有者限定)
↑ パソコン・携帯におけるメール利用状況(2013年、学校種類・男女別、各媒体利用・所有者限定)

↑ (参考)パソコン・携帯におけるメール利用状況(2012年、学校種類・男女別、各媒体利用・所有者限定)
↑ (参考)パソコン・携帯におけるメール利用状況(2012年、学校種類・男女別、各媒体利用・所有者限定)

一方、携帯電話では小学生の時点ですでに端末利用者の1/3を超えている。しかも女子の利用率に限れば4割強。これは多分に友達同士のやり取り以外に、保護者との安全確認による送受信が行われている結果と考えられる。

中学生になると男女間の差異もほぼ無くなり、携帯保有者の7割がメール利用者となる。高校生では8割強。パソコンによるメール利用者率に変化があまりないのとは大きな違いを見せるが、多分に「携帯電話なら子供のプライバシーが守られやすい」(パソコンは保護者との共有による「使用」事例が多いが、携帯電話は子供独自の保有機による「保有」がメインのため)からだと考えれば道理は通る。

なお詳しくは後述するが、前年分と比べると数字全体がやや減少している。これは子供達のインターネット経由によるコミュニケーションが、電子メールからSNSやチャットに移行している影響によるものである。

これを媒体保有・使用者比ではなく、調査対象母集団全体比で計算したのが次のグラフ。例えば小学生男子でパソコンによるメール利用率は1.0%とあるが、これは「小学生男子全体のうち、パソコンでメールを使っている人は1.0%(100人に1人)」を意味する。

↑ パソコン・携帯におけるメール利用状況(2013年、学校種類・男女別、各属性非保有者も含めた全体比)
↑ パソコン・携帯におけるメール利用状況(2013年、学校種類・男女別、各属性非保有者も含めた全体比)

高校生の携帯電話の値が「各媒体利用・所有者限定」のグラフとさほど変わりないのは、携帯保有率がほぼ100%に近いから。一方で小中学生は高校生ほど使用率・保有率が高くないので、非使用者・非保有者も合わせて換算されるため、値は随分と違ったものになる。とはいえ、例えば中学生の女子全体でも4割強が携帯電話でメールをしている実態は、傾注すべき状況ではある。

子供のデジコミはメールからソーシャルメディアへ


さて前年2012年分の値と比べると2013年分はメールの利用性向が減退している。子供のデジコミ(デジタルコミュニケーション)そのものが縮小傾向にあるのか、というとそうではない。上記で少々触れている通り、デジコミに使われるツールが、電子メールからSNS(ソーシャルメディア)やチャット(LINEやカカオトーク、スカイプなど)にシフトしているからに過ぎない。

↑ パソコン・携帯におけるコミュニケーションツール利用状況(2012-2013年、各媒体利用・所有者限定)
↑ パソコン・携帯におけるコミュニケーションツール利用状況(2012-2013年、各媒体利用・所有者限定)

電子メールはパソコン、携帯共に減退、SNSやチャットは携帯電話で大きく上昇、パソコンでもSNSは増加している。パソコンでチャットの利用率が減っているのは、LINEなどの事例にもある通り、利用スタイルの基本が携帯電話、特にスマートフォンの利用を前提としているからだろう。

電子メールからソーシャルメディアへ。これは何も子供だけの話では無く、大人においても同様のシフトが起きている。ソーシャルメディア側は少しでも長時間、高頻度でアクセスしてもらうように、多種多様な機能を実装していく。メールのような意思伝達ツールなどお茶の子さいさい。他機能との連動性もあわせ、ソーシャルメディア上の電子メール代替機能を使うことで、ますますソーシャルメディアは便利なものとなっていく。「連絡をソーシャルメディア経由で行うようになった」という人はどれだけいるだろうか、心当たりがある人は多いに違いない。

今後、パソコンから携帯電話(スマートフォン)へのシフトと共に、電子メールからソーシャルメディアやチャットへのシフトもより明確なものとなっていく。電子メールが使われなくなることはないだろうが、両者の利用性向はますます近い値を示すようになるに違いない。


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