「学校で教えてもらった」82.0%…小中高校生のネットリスクの学習状況(最新)

2023/07/24 02:51

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2023-0714パソコンや携帯電話、とりわけ最近ではスマートフォンを使ってインターネットのサービスを利用する際には、多様な決まりごと、トラブルの回避方法、暗黙の了解的な知識・情報を習得しておく必要がある。それらは知っている人、慣れている人には当たり前の内容ではあるが、知識の無い、経験の浅い人にはとても重要な事柄に他ならない。それらを知らずにインターネットを利用することは、海図を持たずに大海原へ出航するようなものだ。特に経験が浅い子供達には、それらの情報は必要不可欠に違いない。今回は「インターネットを利用する上での危険性に関する子供の学習経験」について、内閣府が2023年3月31日に報告書を発表した【令和4年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果】から確認していくことにする。

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今調査に関する調査要項は先行記事の【インターネット利用端末は小学生では家庭用ゲーム機、中高生ではスマートフォン(最新)】を参考のこと。

携帯電話、特に高性能のスマートフォンの普及に伴いインターネットへのアクセスが容易になるに連れ、インターネットを介した子供のリスクも高まりつつある。被害を少しでも減らすには、該当者となりうる子供達への教育・啓蒙が欠かせない。そこで子供達に、これまで有害サイトやネットいじめの問題など、インターネット上で発生しうる危険について、説明を受けたり学んだりしたことがあるかを聞いた結果が次のグラフ。「学校などで教えてもらった」との事例がもっとも多く、直近では82.0%を占めている。学校が教育機関としての面目を保った形である。

なお2018年以降は2017年までと質問の仕方が多少変更されており、厳密には連続性は無い。一部選択肢でイレギュラー的な変動が生じているのは、それが原因と思われる。

↑ 青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性についてこれまで説明を受けたり学んだりしたことがあるか(複数回答、全体比)(2022年)
↑ 青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性についてこれまで説明を受けたり学んだりしたことがあるか(複数回答、全体比)(2022年)

↑ 青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性についてこれまで説明を受けたり学んだりしたことがあるか(複数回答、全体比)
↑ 青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性についてこれまで説明を受けたり学んだりしたことがあるか(複数回答、全体比)

次いで多いのは親などの保護者から教えてもらった事例で、これが3割強。テレビや本などの媒体経由、インターネット、友人経由が続く。

経年推移を見ると、携帯電話契約時の説明(特にフィルタリング関連)の促進が行われていることもあり、「機器購入時に店員に教えてもらった」とする回答値が以前は少しずつ増えていた。しかし2014年以降は減少を示しており、残念な形となっている。

他方「学校などで教えてもらった」「保護者から教えてもらった」は増加を示しており、関係界隈における啓蒙活動の促進が成されていることが分かる(2018年で大きな減少を示しているのは上記の通り、質問方法の変更によるものだろう)。スマートフォンの普及にとどまらず、携帯ゲーム機など多様な機器でインターネットへのアクセスが容易になったことから、子供を見守る立場の大人たちが一体となって鋭意努力を重ねていることがうかがえる。

2020年で「学校などで教えてもらった」が大きく減っているのは、新型コロナウイルス流行により学校そのものが休校になった事例が多々あったからだと思われる。一方で「保護者から教えてもらった」「テレビや本、パンフレットで」「インターネットで」が増えているのもそれによるものだろう。2022年では再び「学校などで教えてもらった」が前年比で大きく減り、その分「保護者から教えてもらった」が増えているのは興味深いところではある。

「保護者から教えてもらった」は直近では34.2%。見方を変えれば約2/3の子供は保護者からネットマナー・リスクについて教えてもらっていないことになる。詳細データを確認すると、照れなどもあるのだろうが、子供の年齢が高くなるに連れて保護者から教わる率は低下する傾向がある。もう少し、保護者側の積極的な教育啓蒙姿勢をお願いしたいところだ。

もっとも小学生はともかく、中高生を子供に持つ保護者の場合、それも難しい。教えさとす場合には、まず保護者自身が十分な情報知識を得る必要があるからだ。

↑ 保護者自身は青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性についてこれまで説明を受けたり学んだことがあるか(複数回答、全体比)(2022年)
↑ 保護者自身は青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題など インターネットの危険性についてこれまで説明を受けたり学んだことがあるか(複数回答、全体比)(2022年)

↑ 保護者自身は青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題などインターネットの危険性についてこれまで説明を受けたり学んだことがあるか(複数回答、全体比)
↑ 保護者自身は青少年に不適切なサイトやネットいじめの問題など インターネットの危険性についてこれまで説明を受けたり学んだことがあるか(複数回答、全体比)

あくまでもこれは学んだ経験があるか否かであり、最初から不足なく知識を持ち合わせていれば問題はないが、すべての保護者がそのような知識を持っているとは考えにくい。その上で、この学習・説明経験率はいくつかの項目で明らかに上昇傾向にあり(2018年で不規則的に減少している理由は上記の通り)、状況は改善されていると判断はできるが、それでもまだ不足していることも否めない。「学校の保護者会・PTA会合で」「テレビや本、パンフレットで」「保護者同士の会話で」などが減少傾向にあるのは気になる動きだが。

保護者も子供とともに学ぶ姿勢こそ、求められているのかもしれない。



海外の事例だが、【米社会の子供達のネットとの付き合い方を箇条書きにしてみる】などで解説しているように、インターネットを介した子供のトラブルが社会問題化している。日本でも携帯電話へのフィルタリングを中心に、子供のネットリスクへの問題が「子育て」の観点でも重要課題の一つとなりつつある。またスマートフォンでより一層インターネットへのアクセスが可能になったことから、大人の悪しき策謀にとらわれる子供の事例も増えている。

保護者の立場にある人は、インターネット利用時の注意について放置したり学校に任せきりにすることなく、積極的に啓蒙していくべきだろう。もし自分の知識が足りないと自覚するのなら、自らもともに学ぶ姿勢で望むことをお勧めしたい。

さらに言えばこれらの啓蒙はされた・されないの二択で事が済むのではなく、どこまで実践的・有効的な内容か、そして教わった子供達がそれを知識として身に着け、行動に反映させるかが肝心。教育、教示情報の質的向上への模索や、反復性のある周知も求められよう。


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