日本の化石エネルギー資源輸入先の推移をグラフ化してみる(エネルギー白書)(2016年)(最新)

2016/06/17 05:03

資源エネルギー庁は2016年6月13日付で、エネルギー白書2016において詳細データを確認できるHTML版を公開した(【エネルギー白書一覧ページ】)。今回はこの白書の各種資料を基に、日本の化石エネルギー資源の輸入先(元)の推移を確認していくことにする。【主要国のエネルギー輸入依存度をグラフ化してみる】【日本の一次エネルギー供給推移をグラフ化してみる】などと合わせ読むと、さらに理解が深まるに違いない。

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中東依存度は8割強…石油


記事タイトルにも用いた「化石エネルギー」との用語だが、これは「化石燃料」とほぼ同意で、具体的には石油や石炭、天然ガスなどを意味する。昔の動植物が経年と圧力で化石に変化したことにより生成されたものであり、全般的に、利用できる形へのエネルギー変換が容易なのが特徴。その分「埋蔵地域の偏在」「利用時の環境汚染問題」「容易に再生できないことによる枯渇問題」などの弱点も存在する。

また「非化石エネルギー」は「化石エネルギー」以外のエネルギー全般を意味し、具体的には原子力、水力、地熱、新エネルギーなどを指す。さらに容易に再生が可能か否かとの観点から、それぞれを「非再生可能エネルギー」「再生可能エネルギー」と呼ぶこともある。

さて、化石エネルギーの「原油」「石炭」「天然ガス」のうち、まずは「原油」について輸入先の推移をグラフ化したのが次の図。

↑ 日本の原油輸入量(万バレル/日)(-2014年度)
↑ 日本の原油輸入量(万バレル/日)(-2014年度)

↑ 日本の原油輸入量(万バレル/日)(直近5年分)
↑ 日本の原油輸入量(万バレル/日)(直近5年分)

↑ 日本の原油輸入・中東依存度推移(-2014年度)
↑ 日本の原油輸入・中東依存度推移(-2014年度)

意外なのは「総量が1970年代前半に一度ピークを迎え、その後大きく減少」そして「再び増加した後に、1990年代半ばを第二のピークとして少しずつ減退を見せている」こと。これは化石エネルギー総量における原油への過度傾注によるリスク回避のため、使用種類の分散化(原油傾注度の減少)、使用先での効率化などが原因。そしてさらにいえば、1970年代以降の動きに関しては、直接的には第一次・第二次石油危機(オイルショック)に伴う産業構造の変化、リスク分散化の影響が大きい。

本来なら原油輸入先の分散化も望ましいのだが、最近では再び中東への傾注度が上昇している。同地域との友好関係強化の視点ではプラスだが、エネルギー戦略上のリスクを考えた上では「ひとつのカゴに卵をすべて盛る」形になり、望ましいとはいえない。かつての「石油ショック」のような事態に対応しにくくなるからである。

そして直近の2014年度(2014年4月から2015年3月)だが、2011年3月に発生した東日本大地震・震災により日本国内の製油所の少なからずが稼動を停止し、原発の停止に伴い石油による火力発電用の低硫黄原油の需要が増加したことで、中東圏外からの原油輸入が増加し、中東依存度は減少。しかしそれでも82.7%と8割超えの高水準に達している。

ぐんぐん増える輸入量…天然ガス


原油の輸入先分散が叶わない一方、石炭と天然ガスは分散化が積極的に推し進められている。まずは天然ガス(液化天然ガス、LNG(Liquefied Natural Gas))。

↑ LNGの供給国別輸入量の推移(100万トン)(-2014年度)
↑ LNGの供給国別輸入量の推移(100万トン)(-2014年度)

↑ LNGの供給国別輸入量(100万トン)(2014年度)
↑ LNGの供給国別輸入量(100万トン)(2014年度)

一番きれいな輸入先分散化、つまりリスク分散が進んでいるのが、この天然ガス。時代経過と共に増量しているのは後述する石炭と同じだが、ほとんどアジア(インドネシア、ブルネイがメイン)からの輸入に頼っていた時代から、中東・アジア・オセアニア・アフリカへと多地域化を果たしている。ある意味、一番進んだ活用法が展開されている化石燃料が天然ガスともいえる。

また2014年度だがこれまでの上昇傾向とは異なり、突出する形で増加を見せた2011年度以降の継続する流れとして、ややイレギュラー的な上昇を示している。これは言うまでも無く、東日本大地震・震災に伴う原発停止で、火力発電所の稼働率上昇があり、その燃料としてLNGが使われたため。特にオーストラリアやカタール、オマーン、ナイジェリアからの輸入量が増加している。地域バランスはともかく、輸入量の状況としては好ましいものとは言い難い。

漸増から横ばい、オーストラリアとインドネシアに傾注…石炭


最後に石炭。これは先行記事【日本の石炭事情をグラフ化してみる】の内容を一部拝借している。

↑ 日本国内の石炭・輸入石炭供給量の推移(万トン)(-2014年度)(再録)
↑ 日本国内の石炭・輸入石炭供給量の推移(万トン)(-2014年度)(再録)

↑ 日本の石炭輸入先(2010-2014年度)
↑ 日本の石炭輸入先(2010-2014年度)

この数年間の横ばい傾向を除けば、確実に総量が増加しており、先の原油とは状況が異なることが確認できる。また輸入先は元々アメリカ合衆国とオーストラリアでほとんどを占めていたが、昨今ではアメリカ合衆国からの輸入が減り、ロシアやインドネシア、オーストラリアなどと分散化が進んでいる。この数年ではややオーストラリアに傾注しがちな感があり(2014年度では2/3近く)、バランス感覚の点ではアジアやカナダ、ロシアからの輸入を促進したいところではある。



化石エネルギーの短所(枯渇可能性、「石油危機」に代表されるカントリーリスク、地球環境負荷など)を考えると、「非化石エネルギー」が多用できれば、それに越したことはない。しかし水力は量産が難しく、地熱は日本の地の利を活かせるものの開発はこれから(そして技術面、安定性や環境問題も大きい)、その他の新エネルギーなどもそれぞれ問題が山積し(例えば安定性やコストパフォーマンスの問題)、現行の化石エネルギーと代替できるものではない。そもそも容易に代替できる性質のものであれば、とうの昔に大規模な普及がなされていなければならない。

しばらくの間は「天然ガス」の事例に見られるような輸入先の分散を推し進めつつ、化石エネルギーに頼らざるを得ないのが現状。そのためには巧みな外交戦略と海運の安全性を維持拡大することも、連動する形で求められよう。


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