日本の石炭事情をグラフ化してみる(エネルギー白書)(2016年)(最新)

2016/06/16 11:29

資源エネルギー庁は2016年6月13日付で、エネルギー白書2016のHTML版を公開した(【エネルギー白書一覧ページ】)。今回はその白書で公開されている最新データなどを基に、日本の石炭事情を確認していくことにする。同じく石炭関連の情報を精査した記事【世界各国の石炭埋蔵・採掘・輸出入量などをグラフ化してみる】【原油高騰がもたらしたもの・北海道産の石炭が再注目を集める】などと合わせて読むと、さらに理解が深まるに違いない。

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「エネルギー白書」では2012年発行分以降、2011年の震災の影響を受け、これまでとは大きく構成を変化させている。震災に絡んだ情報・対策を章単位でまとめると共に、今後のエネルギー需給に関する施策・方針への情報開示の色合いが強くなっており、一般的なエネルギー関連の動向を分析した部分はその量を減らしている。それでも石炭周りは相応に各種情報が盛り込まれ、白書編集時点の最新情報を得ることができる。

まずは日本が「石炭の他国からの輸入」との観点で、どのような立ち位置に居るかの確認を行う。一時期は記載が省略されたため、アメリカ合衆国エネルギー情報局の公開データベースを元にした記事【世界各国の石炭埋蔵・採掘・輸出入量などをグラフ化してみる(EIA版)】から該当データを抽出したが、今年分では情報開示が復活していたので、それを用いる。

↑ 主要輸入国・地域における石炭輸入量(億トン、2014年見込み)
↑ 主要輸入国・地域における石炭輸入量(億トン、2014年見込み)

↑ 主要輸入国・地域における石炭輸入量によるシェア(2014年見込み)
↑ 主要輸入国・地域における石炭輸入量によるシェア(2014年見込み)

中国の輸入量が大きく、直近値の限りでは世界最大値。これは同国の工業化が急激に進んでおり、その一方で国内産出量の増加が追い付かないため(国内採掘量も増加している)。また日本の輸入量が多いのは、大量の石炭を燃料・原料として使う一方、ほとんど日本国内での生産がなされていないため。日本にも石炭は多分に埋蔵されているのだが、コストの点で割に合わず、輸入した方が安く取得できるのが国内の石炭が採掘・使用されない原因。記録の残っている限りでは国内炭は輸入炭と比べて2倍から3倍の価格がついている。1991年度からは国内原料炭の生産は無くなり、国内一般炭の量もごく少量に留まる形となっている(詳しくは後述)。

続いて日本の石炭供給量(要は採掘・精製量)の推移。工業化の進展と共に石炭の消費量も増え、総計は右肩上がりに上昇。一方で上記の通り採算性の問題などから国内炭田は次々に閉鎖され、生産量も減退。2014年度では消費量の99.3%までを輸入産に頼る結果となっている(「鉄鋼精錬用などの原料炭」「火力発電用の一般炭」の区分はされていない)。

↑ 日本国内の石炭・輸入石炭供給量の推移(万トン)(-2014年度)
↑ 日本国内の石炭・輸入石炭供給量の推移(万トン)(-2014年度)

データが公開されている期間でもっとも古い1965年度では、石炭の輸入比率は25.8%。1960年後半から急上昇を続け、1988年には9割を超えている(90.2%、初の9割超え)。これは石油へのエネルギー需要の転換、割安な輸入炭との価格競争に国内生産炭が打ち勝つことができなかったため。

2005年度には国内生産量は124万9320トン/年にまで減少してしまうが、その後の原油価格の高騰を受けて減少はストップ。詳しくは【原油高騰がもたらしたもの・北海道産の石炭が再注目を集める】に記述しているが、少しずつ増加の兆しを見せている。直近の2014年度では国内一般炭は約132万トンが生産され、そのほぼすべてが発電用として消費されている。

日本の石炭需要のほとんどをまかなう輸入炭だが、一般炭、原料炭共にオーストラリアからの輸入が一番多く、インドネシアが次いでいる。3位以降は順位が異なる部分もあるが、上位国は同じ。双方の石炭を合計した比率としては、オーストラリアからのものが64.4%とほぼ2/3、インドネシアからが2割近くとなり、この2か国だけで8割強を占める形となっている。

↑ 日本における一般炭・原料炭の輸入先(2014年度)(万トン)
↑ 日本における一般炭・原料炭の輸入先(2014年度)(万トン)

↑ 日本における一般炭・原料炭の輸入先(2014年度)(比率)
↑ 日本における一般炭・原料炭の輸入先(2014年度)(比率)

↑ 日本における一般炭・原料炭の輸入先(2014年度)(合計、比率)
↑ 日本における一般炭・原料炭の輸入先(2014年度)(合計、比率)

石油ほどではないものの石炭も埋蔵箇所には地域別かたよりがあることから、ある程度の輸入先が集中してしまうのは仕方がない面もある。とはいえ特定少数国からのみの多分の供給は、カントリーリスクの観点ではマイナスに違いなく、今後の状況改善模索が求められる。

最後に石炭の利用方法。

↑ 石炭の用途別消費量の推移(万トン)
↑ 石炭の用途別消費量の推移(万トン)

電力事業における石炭消費量は、開発電源の多様化に伴い一度減退するが、石油危機後には石油の代替品として注目を集め、増加に転じている。2009年度以降は普及による需要低下、法的措置の変更(「みなし措置」満了で卸電気事業にかかわる許可を受けていた共同火力が電気事業者から外れた)、震災による発電所の被災で減少など、減少事案が相次いだ。しかし2012年度以降は被災発電所の復旧と、発電様式のアンバランス状態の調整措置による石炭火力発電所の新規運転開始などにより大幅に増加、2014年度は8000万トンを超えている。



日本国内に限っても天然ガスと共に石炭は再び注目を集めつつある。さらに震災以降、アンバランス的な状態に陥った国内エネルギー情勢を受け、緊急代替措置として旧式の発電所も合わせた火力発電所の稼働数・率の上昇もあり、石炭の需要は伸びる一方。

石炭は採算効率と共に環境負荷対策が、生産・利用の際の要となる。日本の場合は国内での生産量が少ないことから、消費の際の対策に加え、海外からの安定的かつ安価な輸入ルートの確保・維持が欠かせない。各方面の状況改善化への投資増加を願いたいところだ。


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