かつてデパートの売れ筋商品、今は…スーパー・デパートの衣料品の移り変わりをグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/06/12 05:14

先行展開の記事【スーパーやデパートの主要商品構成比の移り変わりをグラフ化してみる】において、経済産業省が定期的に発表している統括データを基に、スーパーやデパートにおける主要項目毎の商品の売れ行き具合の変遷を確認した。今回はその主要項目のうち、かつてはデパートの商品の中でも主役の座にあったものの、今では食料品にその座を奪われている「衣料品」にスポットライトをあて、詳しい区分別動向を確認していくことにする。

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データの取得元は先行記事と同じく【経済産業省の商業動態統計調査】【統計表一覧】。また「百貨店」と「デパート」の違いも先の記事にある通りで、実質的には同じ中味。呼称母体が異なるだけの話。

その先行記事で解説した通り、百貨店とスーパーの主要品目別売り上げを見ると、1990年代前半をピークに、衣料品の売り上げは減退。直近2015年では金額にしてピーク時の半額、店舗売上全体に占めるシェアは20%ポイント近く減っている。

↑ 百貨店+スーパーにおける主要品目別売上構成比(-2015年)(再録)
↑ 百貨店+スーパーにおける主要品目別売上構成比(-2015年)(再録)

ちなみに主要品目の区分構成は【利用上の注意】に記載されているが、今回精査を行う衣料品においては次の通りとなる。

●紳士服・洋品…紳士服、下着類、ワイシャツ、ネクタイ、靴下など

●婦人・子供服・洋品…婦人服、子供服、下着類、ブラウス、靴下など

●その他の衣料品…呉服、反物、寝装具類、和装小物、タオルなど

●身の回り品…靴、履物、和・洋傘類、かばん、トランク、ハンドバッグ、裁縫用品、装身具(宝石、貴金属製を除く)など

それでは早速「衣料品」項目における、各種細部項目の構成比をグラフ化し、その動向を確認していく。元々「婦人・子供服・洋品」の比率が高かったものの、近年においては1980年比で10%ポイント近くの増加が見られる。それと共に「身の回り品」もじわじわと上昇を見せている。

↑ 百貨店+スーパーにおける衣料品項目内主要品目別売上構成比(-2015年)
↑ 百貨店+スーパーにおける衣料品項目内主要品目別売上構成比(-2015年)

男性向けの衣料品の割合が継続して減っているのは、紳士服チェーン店などの進出が大きな要因と考えられる。この数年では「比率の上では」やや戻しを見せて、2004年がもっとも縮小した年(16.5%)となっているが、全体額が減っている以上、男性向けの売り上げが伸びているわけではない。むしろ他の項目の減少度合いがより大きく、相対的なシェアが伸びているに過ぎない。この5、6年に限ればシェアでもみ合い、額面では実質的に漸減といったところ。

他方注視すべき動きとして挙げられるのが、「身の回り品」。シェアだけでなく金額面でも増加傾向にある。該当する商品は他店舗では取得が難しく、あるいは専門店が身近にあるとは限らない。そしてネット通販では実物を精査できないが、直に手に取ってその内容を確認したいものが多く、必然的にデパートが選択されているものと考えられる。さらには景況感の回復も一因だろう。

↑ 百貨店+スーパーにおける衣料品項目内主要品目別売上構成(兆円)(-2015年)
↑ 百貨店+スーパーにおける衣料品項目内主要品目別売上構成(兆円)(-2015年)

↑ 百貨店+スーパーにおける衣料品項目内主要品目別売上構成(兆円)(2010-2015年)
↑ 百貨店+スーパーにおける衣料品項目内主要品目別売上構成(兆円)(2010-2015年)

デパート紳士服売り場リーマンショック(2008年秋)以降の急激な減少、特に「婦人・子供・洋品」の金額面での縮小ぶりが著しく、つい目が留まる。紳士服などはデパート以外では代替が利かない事例もあるが、婦人服や子供服は容易に廉価店への切り替えができる。可処分所得の減退から、(割引率に期待できない)百貨店において婦人向け・子供向けの購入者が足を遠のかせてしまった流れがうかがい知れる。

そしてまた、先の「デパート全体としての売上構成の変化」と同様、1990年代前半が一つのターニングポイントだったことが、このグラフからつかみ取れる。衣料品部門における売上総計はもちろんだが、「紳士服・洋服」の項目で特にその流れが強く出ている。上記にあるように紳士服チェーン店の展開など競合の登場・躍進はもちろん、そしていわゆる「バブル崩壊」が大きな構造変化の引き金となったことは容易に想像できる。無論金額面では「リーマンショック」が、さらなる構造変化における第二の引き金となった感は否めない。

衣料品における売買動向流れとしては、男性関係用品全般、そしてその他衣料品周りが先行して大きな客の減少があり、現在は女性や子供関係、「身の回り品」が続いているとまとめることができよう。もっとも上記解説の通り、「身の回り品」はトレンドを転じて金額面でも増加に転じており、一連の流れに変化が生じている点には注目しておきたい。



少々古い話になるが、【若者は専門ビル・中堅層はネット通販…秋冬ファッションアイテム、どこで買う?】の調査結果からも分かるように、比較的減少比率の低かった装飾品関連でも、デパートなどは購入先として後回しにされる傾向がある。そしてリーマンショック、さらには震災を経て、人々の消費性向は大きな変化を遂げている。百貨店やスーパーの衣料品部門が断続的な、そして厳しい環境変化を認識した上で、どのような手を打って状況に対応していかねばならないか。考える時間は少なく、正しい答えは簡単に見出せそうにない。それでもなお、早急な模索が求められよう。


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