7%目標未達、北米・その他地域では3DS LLに主力が移るも不振が続く…ニンテンドー3DS販売数動向(2012年度4Q)

2013/04/25 11:30

【任天堂(7974)】は2013年4月24日、2012年度(2013年3月期、2012年4月-2013年3月)決算短信を発表した。当初の想定より円安が進んだことで為替差益が発生し、経常利益・純利益は黒字となったものの、各種ゲーム機のセールスが思わしくなく、営業利益は赤字を計上している。今回はそれらの業績はさておき、以前の記事に続く形で、任天堂の主力携帯ゲーム機ニンテンドー3DS(3DS LL含む)の直近四半期分を中心に販売動向をまとめ、グラフ化してみることにする。

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データの取得場所の解説、対象としている機種(3DSシリーズ)の概要などは一連の記事まとめページ【定期更新記事:ニンテンドー3DS販売動向(任天堂)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

今回発表されたデータを元に、先の記事と同様に同機の販売動向をグラフ化したのが次の図。なお今短信掲載の元データは万台単位までの表記で、今回はその値を当方で独自に差し引きしているため、項目によっては実数値と2-3万台程の差異が生じている場合がある。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年3月)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年3月)

現時点で発売開始からの累計販売台数は、全世界で3109万台。今期(連結累計)に限れば1395万台。前四半期の記事で解説したように、今該当期の販売目標は全世界で1500万台だったものの、詳しくは後述するが7%ほど手が届かなかったことになる。なお最初の期「2010年4月-2011年3月」は一年分で区切っているが、発売日が2011年2月26日以降(日本での発売が世界で最初)でそれ以前の販売実績は無いため、実質的に他の期同様四半期と見て問題は無い。

そして直近の2012年度第4四半期(2013年1月-3月)においては、売上は前四半期の年末商戦の反動を大きく受け、すべての地域で前四半期比マイナスを示している。1年前の同四半期と比べても販売実績は半分前後でしかなく(「その他」地域がかろうじて2割程度の減少に留まっている)、相当な苦戦の状況が見受けられる。日本では意外にもいまだに3DSが堅調だが、北米その他地域では主力はすでに3DS LLに移行。にも関わらず大きくセールスが落ち込んでいる状況を見るに、相当な不振ぶりと評せざるを得ない。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2013年1月-3月期、3DSと3DS LL区分)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2013年1月-3月期、3DSと3DS LL区分)

これを四半期(最初の期は上記の説明の通り1年)で区分し、それぞれの時期における各地域での販売数を積み上げた形にしたのが次のグラフ。2011年度第1四半期の不調ぶり、そして値下げ効果と年末商戦効果が2011年度第3四半期の大きな上昇気流となったこと、さらにはその反動で次の四半期が再び大きく落ち込んだことなど、販売動向が手に取るように分かる。直近四半期では2011年の年末商戦後における2012年初頭の落ち込み(全世界で208万台)をはるかに超える、販売実績の落ち込み度合いが良くわかる。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年3月)(四半期推移)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(-2013年3月)(四半期推移)

今回発表分の2012年度第4四半期(決算短信も同時)ではリリースによると、ハードを牽引すべきソフトの不作がハード販売実績低迷の主要因と説明している。しかし一方で前年同四半期比の計算をすると、日本は45%マイナスなのに対し、米大陸は43%マイナス・その他地域は18%マイナス。リリースでも触れているように、日本では『とびだせ どうぶつの森』が大ヒットするなどソフト面での後押しがあったにも関わらず、これだけ大きな差が出ており、他の原因もあったことを示唆する結果となっている。

最終的な2012年度期における販売目標台数に対する実績をグラフ化したのが次の図。

↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2012年4月-2013年3月期における目標販売台数1500万台に対する達成状況)(2013年3月末時点での同期内販売累計)
↑ ニンテンドー3DS本体販売動向(万台)(2012年4月-2013年3月期における目標販売台数1500万台に対する達成状況)(2013年3月末時点での同期内販売累計)

達成率はおおよそ93%。前四半期は年末商戦で大きく伸びたことや、目標値を250万台下方修正したことで、該当期では目標を達成できる見通しもあったものの、結局100万台強・7%ほど手が届かず「目標未達」として期を終えることとなった。前回記事内の「ぎりぎりの線との見方」ですら、見通しが甘かったことになる。



今決算短信では3DSのセールスに関し、『とびだせ どうぶつの森』のヒット(パッケージ版・ダウンロード版あわせて300万本超の販売)をはじめ、定番タイトルのロングセールスもあり、堅調に推移したものの、海外では定番で確実なセールスを狙える安定作を多数展開したがハード販売の勢いを後押しするまでには至らないと説明し、とりわけ海外でのソフトラインアップの力不足がハードセールスを不調なものとしたと説明している。前回記事でも触れた任天堂の岩田聡社長の言「国内では順調に推移したが、海外では十分な勢いが出せていない」がさらに過酷な実態として表れている。

【ロイターが伝えるところ(任天堂<7974.OS>、14年3月期最終益予想は前年比7.7倍の550億円 「WiiU」販売計画は900万台)】によれば、3DSではやはり欧米のセールスがネックであることを認識した上で、「『3DS』のビジネスを海外で活性化するということを現在、私たちの最重要課題として、集中的に有力ソフトを市場に投入する計画をしている」とコメントし、今後さらにハード販売をけん引しうるソフトを逐次投入していくことを明らかにしている。

3DSにとって連動性による相乗効果が期待できた「Wii U」だが、「自社の有力ソフトの発売間隔が結果的に空いてしまった」とし、ソフト不足によるハード販売の失速を認識。これもまた、3DSの売り上げ不振の一要因とも考えられるだけに、今後の展開が気になるところ。Wii Uにおいては今夏以降のラインアップ充実を示すと共に「じっくり普及に取り組む」と説明している。

一般携帯電話からシフトを加速しつつあるスマートフォン、そしてタブレット機の普及で、携帯ゲーム専用機を含めた家庭用ゲーム機のシェアが「食われる」との説は根強い。もちろんゲームファンの多くは両者を区分して考えており、必ずしも競合せず、むしろ共存する手法を取ることで相乗効果を狙えるとの話もある。【任天堂曰くの「ソーシャルゲーム」とは】【3DSの画像投稿ツール『ニンテンドー3DS画像投稿ツール』登場】にもあるように、家庭用ゲーム機の立場からはライバル視しがちなスマートフォンやソーシャルメディアを、むしろ自社ゲームの販促ツール的な形で使ってもらうような「仕組み」を提供したのも、その考えの一つ。

他方、区分をしない、一つの「デジタルなゲーム」と考える層も少なからずいること、さらに時間や可処分所得は有限で「ながら」プレイが難しいことから、確実にモバイル端末と携帯ゲーム機は競合する運命にある。かつて携帯型のゲーム機が「デジタルモバイルゲーム機」の世界では独壇場だった時代と、スマートフォンやタブレット機などの類似ツールが多分に普及している現在とでは、状況は大きく異なる。変化する環境の中で、任天堂が3DSを通じてどのような「価値」を提供し、支持を集めていくのか。ゲーム業界で長い蓄積を持つ同社の知恵の見せどころといえよう。

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