総計56.9万台で前月比では大きな伸び、ただし前年と比べると小型が軟調(薄型テレビ出荷動向:2013年3月分)

2013/04/24 11:30

電子情報技術産業協会(JEITA)は2013年4月23日、【民生用電子機器国内出荷統計】の情報更新を行い、2013年3月分のデータ開示を行った。それによると2013年3月の薄型テレビの出荷台数は56.9万台となり、前月比でプラス42.6%、前年同月比でマイナス34.1%の動きを示している。今回は前月記事に続く形で、薄型テレビ、さらにはテレビと連動性の深いBD(ブルーレイディスクプレイヤー・レコーダー)の小売市場への出荷動向をグラフ化し、最新の状況把握を行うことにする。

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データ取得元の詳細やデータ内容に関する諸注意、さらには「出荷数」の定義などは一連の記事のまとめページ【定期更新記事:薄型テレビなどの出荷動向(電子情報技術産業協会(JEITA))】で確認してほしい。

まずは純粋な出荷台数。公開統計値に「薄型テレビ」の項目が登場した2009年以降は薄型テレビ全体とBD(それ以前は「プラズマ」「液晶」で分離掲載されている)、さらに薄型テレビは2010年以降の限定となるが、画面サイズ(29型以下、30-36型、37型以上)による区分が記されているため、そちらも合わせてグラフ化する。

最初に挙げるのは直近2013年3月分の出荷台数。合わせて前月比・前年同月比を算出し、グラフ化する。

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2013年3月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2013年3月分、JEITA発表)

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2013年3月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2013年3月分、JEITA発表)

冒頭の通り、2013年3月の薄型テレビ国内出荷台数は56.9万台。年度末で引越などに伴う新規購入需要があるため、2月と比べて大きく値を積み増ししている。一方で季節変動を無視できる前年同月比では、マイナス3割を超える値を継続中。これは以前の記事でも記したように、2011年7月に行われたアナログ波停波に伴う、停波以前、さらにはその直後までをも含めた、数年間の「買い替えラッシュ」の反動によるもの。つまり「需要の先取り」をしたツケに他ならない。停波からはすでに1年半が経過しているが、それでもなお反動による下落は続いており、業界にとっては悩みどころである。

【カラーテレビの買い替え年数をグラフ化してみる(2012年分対応版)】のデータにある通り、テレビは通常ならば8-10年単位で買い替えが行われる。1年や2年で(過去数年間続いた)「特需」の反動が収まるとは考えにくい。出荷台数そのもののグラフ、さらには前年同月比を算出してグラフを構成しても、「停波前特需、特に年末・年度末」「停波直前特需」「停波後の年の年末に購入」の3つの上昇に繋がる波があり、それ以降は停波後、押し並べて軟調な動きで推移しているのが分かる。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2013年3月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2013年3月)

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2013年3月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2013年3月)

薄型テレビの型別に動向を確認すると、グラフ中にも吹き出しで特記した「アナログ波停止」までは小型(青線)-中型(赤線)が売れていたが(特に停波まで一年を切ったあたりで、その傾向が強くなる)、2012年に入ってからは大型(緑線)の健闘(前年同月比でマイナスなことに変わりは無く、小型や中型と比べてマイナス幅が小さいだけの話だが)が確認できる。具体的には地デジ切り替えまでは大型と小型・中型の差が大きく開いていたものの、切り替え後はその差が縮まり、「前年同月比」ではむしろ緑色が位置的に上に達する動きが該当する。双方の立ち位置の逆転は2011年末-2012年初頭あたりだろうか。

購入者側の立場で状況を想定すると、地デジへの切り替えの際に「とりあえず一台だけでも」と小型・中型のテレビの買い替えが行われ、落ち着いてから大型への切り替えに入ったものと考えれば納得ができる。また昨今の大型テレビの価格下落(多分にだぶつきや他に比較する機能がさほどない)も、大型のテレビを購入を後押しするきっかけの一因。無論買い替えでは無く、引越しや一人暮らしの開始などによる、新規購入派の対象も37型以上の大型にスライドしていると考えられる。

2010年夏の「地デジ切り替え啓蒙運動」の成果、さらには地デジ切り替え直前の駆け込み需要が、テレビ市場において非常に大きなものだったことが、グラフにおける上昇幅の高さからうかがえる。そして切り替え後は「特需」が当然のごとく終結、そしてその反動として低迷状態が継続中であることが分かる。

特に注目すべきは、「前年同月比」のグラフにおいて、地デジへの切り替えによる需要の大幅な減退により、値のマイナス化が起きた2011年夏季から1年が経過した2012年秋季以降でも、前年同月比がマイナスのままな状況が続いていること。2012年夏までは「前年同月が地デジ特需でプラスだから、それとの比較になるのでマイナス値でも仕方がない」とする説明もできたが、それ以降はその説明は成り立たない。

むしろ「前年同月が大きくマイナスだったので、今年はプラスになるはずなのだが」という解説までできてしまう。しかし現実は前年同月比でマイナス値を示したまま。これは前述の通り、数年分まで需要を先取りしてしまったため、その反動が数年にわたって起きていることを意味する。

一方で前年同月比のマイナス値そのものは2012年7月の下落をピークに、以前よりも小さくなっていることから、少しずつだが改善の方向へ歩みを見せている(小型テレビは再び失速してしまったが)。無論「状況の相対的な改善」「下げ幅の縮小」に留まり、「販売台数の拡大」にまでは届いていない。「前年同月比」のグラフでプラスに転じるまでは(マイナス域にいる間は)、出荷の縮小が続いている。

最後に季節変動を考慮しなくても済む、もう一つの切り口によるグラフとして、個々月の毎月動向を経年で比較した形にしたのが次の図。毎年年度末・年末にテレビが売れること、その翌月である1月は反動もあり販売台数が大きく落ち込むこと、そして2010年の年末は「当時(2010年)の翌年(2011年)に放送の切り替えが行われる」ことから、新規購入・買換えの良い機会として、爆発的な売れ行きを示したのがグラフの長さからも分かる。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2013年3月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2013年3月)

今年2013年は3月分までそろったが、月単位で見ても2011年をピークとして減少が続いているのが見て取れる。毎月確認をしている「チェーンストア」「景気ウォッチャー」でここ数か月ほどはテレビ関係商品の不調が言及されていた。直近の2013年3月分の「チェーンストア」月次報告でも、2月には無くなっていたBDレコーダー・プレイヤーやテレビの売行き不振について再び言及がされており、かすかに感じられた「良い方向への風向きの変化」が押し戻された可能性がある。大型の横ばい継続、小型の低迷がそれを意味しているのかもしれない。

テレビそのものの寿命、さらにはテレビが映し出す(、そしてテレビ購入の最大要因であるはずの)コンテンツの質の問題まで合わせて考えると、今回の「地デジ後のテレビ市場の低迷」はさらに長期化する可能性が高い。それらの点も含め、今後もテレビ及びその関連の出荷動向には留意を払いたいところだ。

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