ビデオソフトの購入動向をグラフ化してみる(2014年)(最新)

2014/04/27 20:00

趣味趣向の多様化や新しい受信メディアの登場(インターネット関連)に伴い、物理メディアとして提供されるDVD・BD(ブレーレイディスク)による映像ソフトの市場規模は年々減少を続けている。それではそれら物理メディアによるビデオソフトの購入・レンタル利用者達は、どのような購入性向を示しているのだろうか。今回は日本映像ソフト協会が2014年4月22日付で発表した、日本の映像ソフト業界そのものやソフト関連の実地調査結果を絡めた白書【映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査】の最新版をもとに、ビデオソフトの購入・レンタル動向を確認していくことにする。

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購入もレンタルも、利用者そのものと枚数共に減少中


先行する記事で解説している通り、今調査結果報告書に併記されているデータによれば、ビデオソフト(DVD&BD、特記無い場合は以下同)の市場規模は2006年-2007年にやや変わった動きが見られるものの、全般的にはセル(販売)・レンタル(貸出)共に縮小傾向にある。2013年からは白書上の総売り上げデータに有料動画配信市場を計上したため合計額は増加しているものの、物理メディアのみに限れば縮小を継続していることに変わりはない。

↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)(-2013年)(再録)
↑ ビデオソフト(DVD&BD)市場規模推移(億円)(-2013年)(再録)

今件ではあくまでも物理メディア、DVDとBDによるソフトの購入・レンタルにのみ焦点を当てていく。この状況下で、該当年1年間でビデオソフトの購入やレンタル経験が回答者自身にあったか否かを尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 1年間のビデオソフト(DVD&BD)購入・レンタル状況(-2013年)
↑ 1年間のビデオソフト(DVD&BD)購入・レンタル状況(-2013年)

一目で右端の「購入・レンタル共になし」の回答率が漸増し、ビデオソフトを購入したりレンタルする人が減っていることが分かる。特に2009年から2010年への減少度合いが著しい。

2013年においては「購入・レンタル共に無し」以外、つまり1枚でもビデオソフトを購入したかレンタルした人が4割強にまで落ち込み、各区分が前年2012年より減っているのが分かる(今件には上記の通り有料動画配信でコンテンツを購入した人は含まれていないことに注意)。コンテンツ購入者の減少云々は別として、物理メディアによる利用者は確実に減少している。

それでは購入者(レンタルをした者ではない)では、どのような購入性向の変化が生じているのだろうか。それぞれの年において、該当年だけでなくそれ以前年においてもビデオソフトを購入したことがある人に、該当年とその前年を比べた上で購入枚数の変化を聞いたのが次のグラフ。

↑ 調査年における1年間のビデオソフト(DVD&BD)の購入枚数増減(2009-2013年)(購入経験者対象)(該当年の前年と比べて)
↑ 調査年における1年間のビデオソフト(DVD&BD)の購入枚数増減(2009-2013年)(購入経験者対象)(該当年の前年と比べて)

2009年から2010年にかけては「去年買ったが今年は買わず」の割合が10ポイント以上増え、購入を控える人が激増した。2011年はやや減少したもののそれでも半数近くには違いなく、買い控えが続いている。そして2012年は再び増加し、過半数の人が「去年は買ったが今年は1枚も買っていない」と回答する結果となった。2013年ではついに購入者から非購入者に転じた人が、購入経験者の6割に達してしまった。

2013年では購入した人(要はオレンジ部分の49.8%以外の人)においても、2012年と比べて「購入枚数増加」「変化なし」「減った」すべての項目で回答者率が減っている。購入枚数減の「減った」回答率の減少幅が一番小さく、「減った」「増えた」の方が幅が大きい点からは、購入者においても購入枚数が減退していることが分かる(試算だが、購入者内における「減った」の割合は2012年で26%だったのに対し、2013年では30%にまで増加している)。ちなみに2013年のビデオソフト購入者における平均購入枚数はDVDが3.2枚(前年比プラスマイナスゼロ枚)、BDが3.4枚(前年比プラス0.6枚)となっている。購入対象者数が減少している一方で、購入者内の一部層(いわゆるコア層)の購入枚数が増加しており、結果として購入層内の平均枚数が増加する現象が起きている。

ビデオソフト離れの理由は?


ではなぜ購入枚数が減ったり、1枚も買わなくなったのか。その理由をかいま見れるのが次のグラフ。「増えた人」「減った人(ゼロ枚に減った、つまり「買わなくなった人」含む)」に、その理由を聞いた結果のうち上位5位ずつを抽出したのが次のグラフ。

↑ ビデオソフトの購入枚数が増えた理由・減った理由(上位5位ずつ、それぞれ枚数が増えた人・減った人対象)(2013年)
↑ ビデオソフトの購入枚数が増えた理由・減った理由(上位5位ずつ、それぞれ枚数が増えた人・減った人対象)(2013年)

増えた人の理由の上位は「特定のソフトが欲しい」「ネット経由で気軽に買えるようになった」「魅力的特典のついたソフトが増えた」など、特定コア層の事由によるもの、そして環境の変化によるところが大きい。一方、減った理由の上位には、購入対象ソフトの減少(対象そのものが減った以外に、対象を見出す意欲そのものが減った)や金銭的な余裕が無くなったことなど、「熱が醒めた」様子がうかがえる。また2013年では購入しなくても同様の楽しみを実感できる選択肢、例えばテレビ録画やインターネットの無料動画視聴が上位に入っており、ビデオソフト購入の相対的な意義・有益性が減っていることが示唆されている(ちなみに「有料映像配信利用のためにビデオソフト購入が減った」との回答率は2.5%に留まっている)。

要は、「好きな人」は一層買い増しをするようになり、一部は環境整備の恩恵で購入を決意する。「醒めた人」「コアで無い人」、あるいは画質などにこだわりを持たない人は他のテレビ録画やネットなどの選択肢で代替的に満足し、あるいは買わなくなった。上記項目の選択肢には無いが、市場規模を見れば有料動画配信にコンテンツ視聴のスタイルをシフトした人(つまり、これまではDVDなどの物理メディアを購入して映画やアニメを楽しんでいたが、今後は有料動画配信で視聴するというパターン)もいるのだろう。それらを含め、購入層の二極化が進んでいると見ると、道理が通る。



山積みのビデオソフト1枚目のグラフにもある通り、この数年の間は物理メディアによるビデオコンテンツの購入者・レンタル者は漸減している。さらに購入者においても購入枚数が減った人の割合が増えているのだから、市場が縮小するのは仕方がない。

さらに詳しくは後日改めて解説するが、「ヘビーユーザーによる市場けん引」というビデオソフト(物理メディア)市場における問題点が、顕著化する傾向を示している。市場がこの人たちに支えられているうちは良いが、構造上非常に危うい状態となるのは否定できない。

エンタメ性の強い業界・市場で、リアクションが大きい・短期的な効果があるなどの理由から、あまりにも濃い(ロイヤリティの高い)一部消費者に傾注し過ぎてしまい、中期的な視点では市場そのものが縮小する流れを見せる事例が多々ある。あるいはビデオソフト市場もそのような流れの中にある危険性を秘めている。

もっともその「広く浅く」の施策を行うための対象となる、いわゆる「ライトユーザー」の少なからずが、ソフト購入以上にハードルの低い、インターネット関連サービスやテレビ録画に多々流れている状況を見ると、よほどビデオソフト業界としては工夫をしないと状況の改善は難しいのかもしれない。あるいは「コンテンツを販売すれば良い」という広義の解釈を行い、有料動画配信市場を物理メディアからのシフト市場としてとらえ、積極的に推し進める施策も考えられる。

収益性の問題もあるが、試行錯誤をする価値は十分にある選択肢といえよう。何しろすでに2013年の時点で、有料動画配信市場は600億円近い市場規模を確保しているのだから。


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