自転車交通「死亡」事故の相手の推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/04/08 05:05

自転車運転中に発生する交通事故で不幸にも本人が死亡してしまった場合、大多数は自動車が相手方との統計結果が出ている。バイクや歩行者が相手、あるいは自転車同士による衝突で自転車側が死亡に至る事例はさほどない。実際に自転車、あるいは自動車を運転していても、自転車が自動車と接触、衝突しそうになる状況を体験した人は多いはずだ。それでは具体的にどの程度の割合で自動車との事故で死亡事例が発生し、死亡数はどの程度なのだろうか。2016年3月3日付で警察庁が公開した、日本国内における2015年中の交通事故の状況をまとめた報告書「平成27年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について」の掲載データから、自転車による死亡事故の、相手方の動向を確認していくことにする(【警察庁リリース発表ページ。ただし該当リリースはe-stat上のみでの掲載】)。

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まずはグラフなどで用いる用語の解説をしておく。「自転車(第1・2当事者)の相手当事者別」だが、これらの意味は次の通り。

・第1当事者…最初に交通事故に関与した車両の該当者のうち、過失の重い側。同程度の時には負傷程度が軽い側

・第2当事者…最初に交通事故に関与した車両該当者のうち、第1当事者以外の人

例えば自転車の故障によるトラブルで転んだり、不注意で電信柱にぶつかった場合は自転車の運転手がそのまま第1当事者となり、第2当事者は居ない。一方、正しい場所を走行していた自転車に自動車が不注意で接触して事故が発生した場合、自動車側が第1当事者となり、自転車は第2当事者となる。

↑ 自転車(第1・第2当事者)の相手当事者別交通死亡事故件数の推移(-2015年)
↑ 自転車(第1・第2当事者)の相手当事者別交通死亡事故件数の推移(-2015年)

自転車事故・死亡事故そのものは年々減少を続けている。ただし2012年以降は漸減では無く、もみあいに移行したような感もある。「自転車単独」が増えているのが主要因で、あと数年はトレンドが変わった否かを見極める必要がある。一方で自転車による死亡事故において、相手の大半が自動車であることには違いはない。これを分かりやすいように比率換算したのが次のグラフ……だが、対自動車事案が多すぎて、他の項目が相対的に小さくなり、見えにくい状態のグラフとなってしまった。そこで縦軸をずらし、最小値を底上げした形で再構築したものも併記しておく。

↑ 自転車(第1・第2当事者)の相手当事者別交通死亡事故件数の推移(比率)(-2015年)
↑ 自転車(第1・第2当事者)の相手当事者別交通死亡事故件数の推移(比率)(-2015年)

↑ 自転車(第1・第2当事者)の相手当事者別交通死亡事故件数の推移(比率)(縦軸調整)(-2015年)
↑ 自転車(第1・第2当事者)の相手当事者別交通死亡事故件数の推移(比率)(縦軸調整)(-2015年)

対自動車項目比率がわずかずつだが減っており、自転車死亡事故全体数よりも速いスピードで、自転車の対自動車死亡事故が減少していることが分かる(同じ比率で「数」が減るのなら、シェアもそう大きくは変わらないはず)。他の項目はほぼ横ばいだが、対歩行者が漸増、自転車単独事故が(比率の上で)大きく増加しているのが確認できる。自転車単独事故は最古データの1997年・3.4%と比較すれば、2015年・19.6%は6倍近くに値する。

この「自転車単独事故」とは具体的には工作物との衝突、転倒事故を意味する。この件数は50件/年前後で推移していたが、2013年は一挙に87件にまで増加、2014年にはやや減少して78件となったが、直近の2015年では113人と、はじめて3ケタに突入した。この数年の大幅増加は大いに留意すべき状況である。

↑ 自転車(第1・第2当事者)の相手当事者別交通死亡事故件数の推移(「自転車単独」事例)(-2015年)
↑ 自転車(第1・第2当事者)の相手当事者別交通死亡事故件数の推移(「自転車単独」事例)(-2015年)

さらに詳細を確認の上、2005年当時の値と比較すると、工作物衝突は8件から17件と2倍以上、転倒は13件から22件と1.7倍、その他事例は22件から74件と3倍以上とそれぞれ大幅増加との結果が出ており、特定の事象による増加ではなく、各状況下で押しなべて増えているのが分かる。

自動車や他人との接触ならともかく、「自転車単独事故」は自責によるところが大きい。自転車に乗る際には無理をせず、注意を十分に払って運転してほしい。自転車とて道交法の適用範囲となる車両には違いない。特に判断力に劣る高齢者には「自転車だから」と油断することなく、安全第一を心掛けてほしいものである。

なお自転車乗用中による交通事故死者数そのもの、そして該当属性の人口10万人当たりの交通事故死者数を確認すると、ハンドル操作や安全不確認確認のような安全運転義務違反、交差点安全進行や一時不停止などの点で、高齢者(65歳以上)の死者数が、高齢者以外と比べて大きいことが確認できる。単純な人数だけでなく、人口10万人当たりでも差が出ているため、高齢者による自転車乗用の死亡事故リスクが高いことがあらためて認識できる。

↑ 自転車乗用中(第1・第2当事者)の法令違反別人口10万人当たり交通事故死者数(2015年)
↑ 自転車乗用中(第1・第2当事者)の法令違反別人口10万人当たり交通事故死者数(2015年)

↑ 自転車乗用中(第1・第2当事者)の法令違反別交通事故死者数(2015年)
↑ 自転車乗用中(第1・第2当事者)の法令違反別交通事故死者数(2015年)

↑ 自転車乗用中(第1・第2当事者)の法令違反別交通事故死者数(2015年、前年比)
↑ 自転車乗用中(第1・第2当事者)の法令違反別交通事故死者数(2015年、前年比)

2015年では前年から比べ、法令違反による自転車乗用中の交通死亡者で高齢者が数を大きく積み上げている。今後高齢者の安全な自転車運転に関しても、これまで以上に積極的な手立てを講じることが求められよう。


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