年齢階層別・自動車乗車中の交通事故死者数推移をグラフ化してみる(2017年)(最新)

2017/03/05 05:22

高齢化社会の到来と共に、高齢者の自動車運転で無謀な、あるいは常識では考えられない行為・判断による結果がもたらした死亡事故の話を見聞きする機会が増えている。高齢者比率の増加が続く人口構成比の変化を考慮すれば死亡事故でも高齢者の「数」が増えるのは避けようがないのだが、実態として高齢者の死者数は交通事故全体のうちどれほどの割合を示しているのか。今回は2017年2月23日付で警察庁が公式サイト上で公開した、2016年中の交通事故の状況をまとめた報告書「平成28年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」の掲載データを基に、年齢階層別の自動車乗車中における交通事故死者数の動向を精査していくことにする(【警察庁リリース発表ページ。ただし該当リリースはe-stat上のみでの掲載】)。

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まず最初に確認するのは、自動車乗車中の年齢階層別、死者数推移の積み上げグラフ。公開されている元データから年齢階層区分を仕切り直し、未成年(19歳以下)、成年(20歳から64歳)、高齢層(65歳以上)の3区分に再構築を行ったものも併記する。今件はあくまでも自動車乗車中の事故により死亡した人の数を計上したもので、該当者が運転手であるとは限らない。一方、免許取得は日本の法令上16歳以上でないと不可能なため、15歳以下は原則的に「自ら運転している」状況は有りえないことに注意。

↑ 自動車乗車中の交通事故死者数推移(-2016年)
↑ 自動車乗車中の交通事故死者数推移(-2016年)

↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(2016年、年齢階層別)
↑ 自動車乗車中の交通事故死者数(2016年、年齢階層別)

↑ 自動車乗車中の年齢階層別交通事故死者数推移(主要年齢階層区分別)(積上げ、人)(-2016年)
↑ 自動車乗車中の年齢階層別交通事故死者数推移(主要年齢階層区分別)(積上げ、人)(-2016年)

自動車乗車中の死者数は漸減の動き。2009年から2010年にかけてはわずかに増加したが、2011年には再び大きく減少し、そして2012年以降もその傾向は続いていた。10年の経過でおよそ半分にまで減少している。多種多様な努力に対し、相当な成果があったと見て良い無論人口数の漸減もあるが、減少度合いは比べものにならない。

他方2011年以降は減少の動きが穏やかになり、下げ幅も限定的。さらに直近の2016年では前年比でプラスを計上するまでとなった。統計上のぶれも一因だが、高齢層の該当者数が増加しているのが大きな要因。

年齢階層別の人数では、未成年者や成年が減少傾向にある中で、高齢層は漸減から横ばい、さらには増加に推移している。これは高齢層の人口そのものの増加による上乗せと、安全対策の強化や医療技術の発達による減少作用が均衡していた、そして前者の影響力が強まり数を底上げしたものと考えられる。

続いてこれを主要年齢階層別に区分し、各年毎に「全体数に占める比率」を算出したのが次のグラフ。高齢者の比率が漸増し、他の層が少しずつ減っている様子が見て取れる。

↑ 自動車乗車中の年齢階層別交通事故死者数推移(主要年齢階層区分別)(比率)(-2016年)
↑ 自動車乗車中の年齢階層別交通事故死者数推移(主要年齢階層区分別)(比率)(-2016年)

最初のグラフを見直してみれば分かるように、高齢層も2007年までは減少、2008年以降は横ばいに推移、その後やや増加の動きにすら転じている。他方それより下の層は(人口そのものの漸減も一因だが)確実にその数を減らしており、結果として全体に占める高齢層の比率は少しずつ上乗せされる形となる。10年の経過で2倍近くの比率増加は、看過できない状況に違いない。現在では自動車乗車中の事故死亡者のうち、5割近くが高齢者との結果が出てしまっている。



高齢者数そのものの増加や、自動車保有率の変化(ライフスタイルや可処分所得の多い少ない、居住地域の便宜性の問題から、若年層は自動車の利用が減り、高齢者が増える)を鑑みると、高齢者の自動車乗車中による死者「数」は現時点のようなもみ合い状態が継続、そして増加トレンドに転じる可能性は多分にある。要は該当層人口の増加率が、取り締まりや技術進化による減少率を上回ってしまうリスクがある。【高齢者運転の「もみじマーク」、今日から「四つ葉マーク」が仲間入り】の話でも触れているが、片意地を張らずに現状を認識した上で運転する・しないの判断をしてほしいものである。無論それに合わせて地域社会における居住環境の整備問題、特にインフラ周りについては、さらなる検証と対策が求められる。

なお余談ではあるが、自動車だけでなくバイクなども含めた「原付以上の運転者」における死亡事件数を、「各年齢階層の免許保有者数」を考慮して指標化すると次の通りとなる。直近と取得可能なもっとも古い値となる2005年の分を併記した。これなら「年齢階層によって人口数に対する免許取得者比率が異なる」状況を考慮しなくても済む。

↑ 原付以上運転者(第1当事者)の年齢階層別免許保有者10万人当たり交通死亡事故件数(2005年と2016年、年齢階層別)
↑ 原付以上運転者(第1当事者)の年齢階層別免許保有者10万人当たり交通死亡事故件数(2005年と2016年、年齢階層別)

すべての年齢階層で10年の経過により件数は大幅に減っており、少なくとも交通死亡事故の減少は年齢を問わずに生じているのが分かる。比率では高齢層の方が大きな減り方を見せているが、これは元々の値が高かったため。絶対数では今なお高齢層の方が高い交通死亡事故リスクが存在していることに違いは無い(16歳未満も事故件数そのものはカウントされているが、免許取得者は存在しないので、今件グラフでは値が計上されない)。

免許取得者あたりの交通死亡事故件数では未成年者同様、さらにはそれ以上を示している高齢者の該当事案は、今後絶対数でもさらに増加することが予想される。今後は今まで以上の対応が求められよう。


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