年齢階層別・自転車乗用中の交通事故死者数推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/04/07 11:21

エコ志向や健康志向、ガソリン代の高騰に伴う自動車の代替手段として、そして震災以降の交通手段におけるリスク分散・保険的手段の確保の観点など多種多様な事由で、自転車への注目は高まりを見せている。昨今では道交法の改正も行われ(2015年6月施行)、さらに自転車専用・優先レーンの整備も加速化している。それと共に自転車が係わる事故、さらにはその事故で不幸にも命を落としてしまう事例への懸念も増すことになる。今回は2016年3月3日付で警察庁が発表した、2015年中の交通死亡事故の状況をまとめた報告書「平成27年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について」を元に、年齢階層別の自転車乗用中における交通事故死者数の動向を精査していくことにする(【警察庁リリース発表ページ。ただし該当リリースはe-stat上のみでの掲載】)。

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ここ数年は横ばいの自転車事故死亡者数


交通事故全体における死者数などは以前【年齢層別の交通事故死者数をグラフ化してみる】で精査した通りだが、今回は特定条件下(自転車乗車中)におけるものをカウントすることになる。

まずはデータが取得可能、あるいは過去の記事から参照できる2005年以降(2016年発表時より公開フォーマットが大規模に変更され、昨年発表分までの値との互換性は無くなっている)における、自転車乗用中の死者数推移(対自動車によるものが多いが、対歩行者・対二輪車・自転車相互・自転車単独までも含めた合計値)。直近年となる2015年分は、該当者の年齢階層別の状況も合わせてグラフ化している。なお各グラフはすべて、記事執筆時以降に修正された値が確認できる場合は、その更新された値のものに差し替えている。

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数推移(-2015年)
↑ 自転車乗車中の交通事故死者数推移(-2015年)

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(2015年、年齢階層別)
↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(2015年、年齢階層別)

2005年以降は緩やかながらも確実に減少傾向にあった自転車乗車中の死者数。日本の総人口は漸減しているが、その減り方を大きく上回る形での減少傾向で、明らかに交通法規の順守浸透度合いの改善、啓蒙や規制の強化、さらには医療技術の進歩など、各方面の状況改善による結果が出ていると判断できる。

だが、2012年以降はほぼ横ばいの動きに推移している。これは主に(自転車事故によるリスク体現化率の高い)高齢者人口の増加に伴うもの。直近年でも大部分は高齢層によるもので、55歳以降は急激に人数が増えていることが分かる。一番多いのは70代後半で、2015年1年間で100人もの人が自転車乗車中の事故で亡くなっている。

高齢層は減り方がゆるやか


それではこれを年齢階層別、具体的には未成年(19歳以下)・成年(20-64歳)・高齢層(65歳以上)に仕切り分けし、その動向を確認する。人数そのものの推移に加え、各年の合計に占める比率の推移を合わせて精査する。

↑ 自転車乗車中の年齢階層別交通事故死者数推移(主要年齢階層区分別)(積み上げ、人)(-2015年)
↑ 自転車乗車中の年齢階層別交通事故死者数推移(主要年齢階層区分別)(積み上げ、人)(-2015年)

↑ 自転車乗車中の年齢階層別交通事故死者数推移(主要年齢階層区分別)(比率)(-2015年)
↑ 自転車乗車中の年齢階層別交通事故死者数推移(主要年齢階層区分別)(比率)(-2015年)

高齢層はややもみあいを見せながらも比率の上では増加傾向にある。つまり高齢層の人数そのものが増えていることもあり、他の年齢層と比べて死亡者数の減少率が小さく、結果として死者数全体における比率が増加した形である。2011年を最後に6割を切ることは無くなり、この3年は増加する一方。直近2015年に限れば比率だけでなく人数も増加している。

一方成年、若年層は人数、比率共に漸減傾向にある。ただし成年は2010年以降は30%を行き来し、横ばいの気配も見せている。未成年者は確実に減少中。データが取得できる限りでは、2015年で初めて6%を割り込む形となった(人数そのものは前年2014年から変わりない)。

取得可能な最古となる2005年と、直近の2015年との人数を比較すると、未成年者では47%、成年では40%もの減少が見られるが、高齢層では27%の減少に留まっている。各年総数に占める比率が昔と比べ、高齢層において増加してしまうのも仕方がない。

これらは死者数の絶対値の動向だが、次に示すのは各年齢階層における人口10万人当たりの該当数。この数が大きいほど、その年齢階層で自転車乗車中に命を落とす人の割合が高いことになる。例えば20歳前半の2015年における値は0.18とあるので、20歳前半の人が10万人いると、そのうち0.18人が2015年に自動車乗車中に亡くなったことになる。

↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(2005年と2015年、年齢階層別、各層人口10万人当たり)
↑ 自転車乗車中の交通事故死者数(2005年と2015年、年齢階層別、各層人口10万人当たり)

現時点で値が取得可能な最古のものとなる2005年の分を併記したが、元々数が少ない成年層はあまり変化が無いものの、未成年者のうち14歳までは大きく減少し、環境の整備や啓蒙などが進んでいることがうかがえる。また高齢層も割合としては大きく減っているが、元々の値が大きいことから、減った上でも成年や未成年と比べると大きいのには違いない。また85歳以上は減り方が少なめのも気になるところ。

そして高齢層の人数そのものが増加しているのはご承知の通り。従って対10万人比で減少する、環境整備や啓蒙の浸透、医療技術の発展などがなされても、絶対数そのものの減少度合いがゆるやかなまま、そしてさらには横ばいにシフトしてしまう次第ではある。



自転車事故自転車乗車中の交通事故による死者数そのものは減りつつあるが、「自転車事故による死者数の約2/3割が高齢者」との現実は否定できない。「自転車に乗らないように」のような強行指導はさすがに不可能だが、自分の体の具合・能力の限界と十分相談しながら、無理のない運転を心掛けてほしい。あるいは自動車免許のように、年に一度の自転車運転講習を義務付けるなどの制度を設けるのも一案だろう。

事故が起きれば本人だけでなく、巻き込まれた人もまた大きな悲しみを背負うことになる。自分自身はもちろんだが、せめて自分の身の回りの人には、「自転車における無理な運転」は慎むように声をかけてほしいものだ。


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