増加するテレビとデジタル、特にモバイルは急上昇…米メディアの広告売上動向(SNM2013版)

2013/04/26 08:45

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モバイルアメリカの調査機関【Pew Research Center】は2013年3月18日、デジタル・非デジタル双方におけるアメリカでのニュースを伝えるメディアの動向と展望を示した報告書【State of the News Media 2013】を発表した。現状と将来展望をPew Research社の調査結果、そして公的情報や他調査機関のデータを合わせてまとめ上げた「米デジタルニュース白書」の類のもので、有益なデータが数多く盛り込まれている。そこで先日の【米主要メディアにおける視聴者数の動きなど(SNM2013版)】を皮切りに、注目すべき要項に関して抽出やグラフの再構築などを逐次行い、現状の大まかな把握、さらには今後の記事展開の資料構築も兼ねるようにしている。今回は「主要メディア広告費(売上)の直近の実値、そして近未来の予想値」を見ていくことにする。


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日本の動向でも同じことが言えるが、個々のメディアによる広告売上は、そのままそのメディアの「メディア力」、さらには社会全般への浸透状況をも表している。多くの人が注目するメディアで公知されれば、それだけ多くの宣伝効果が期待される。また、単に接触されるだけでなく、どこまで熱中して時間を割いてもらえるかも重要な要素となる。

次に挙げるのはアメリカにおける、主要メディア業界別の広告売上動向。2013年以降はそれまでの値や社会情勢の変化を基にした推定値となる。

↑ 広告売上推移(2013年以降は予想)(億ドル)
↑ 広告売上推移(2013年以降は予想)(億ドル)

モバイルはモバイル単独、デジタルはモバイルも含めたデジタル系全体の値。ざっと見ではデジタルやモバイルが右肩上がり、テレビが緩やかな上昇、それ以外はゆっくりとしたペースでの下落(一部横ばいのもある)、新聞はやや下げ幅がきつめというところ。テレビのニュース媒体としてのメディア力は横ばいか、むしろ減少傾向にあることは以前【横ばい継続なテレビ、急上昇のデジタル、そして減少のラジオや新聞…米ニュース取得手段の変化(SNM2013版)】でお伝えした通り。しかし広告費は漸増している。今件について報告書では解説は無いが、広告単価が上がる傾向にある、というよりはニュース以外のコンテンツ、娯楽や教養部門で注目を集めていると考えられる。

↑ 「昨日」該当メディアからニュースを見聞きしたか(米)(再録)
↑ 「昨日」該当メディアからニュースを見聞きしたか(米)(再録)

テレビとデジタルの値が大きく、他の項目の動向が分かりにくいので、この2つを除いて再構築したのが次のグラフ。

↑ 広告売上推移(2013年以降は予想)(億ドル)(テレビとデジタル除く)
↑ 広告売上推移(2013年以降は予想)(億ドル)(テレビとデジタル除く)

新聞と雑誌という2大紙媒体の減少率の大きさ、ラジオが意外にわずかずつだが伸びていること、屋外広告も堅調に推移しているのが分かる。これら各項目の広告売上事情は、日本のそれと大きな違いは無く、納得がいくものである。ちなみに「ディレクトリィ広告」とは住所録や人名簿などに掲載する広告のことで、電話帳上の広告が好例。対象となる名簿と相性が良ければ大きな効果が期待されるので市場そのものは大きかったが、いわゆるクラシファイド広告と同じで「デジタル化すると桁違いに便利になる」分野でもあり、急激に市場を狭めつつある(デジタル化するというより、インターネット広告にお株を奪われていると見た方が適切)。

テレビ、デジタル総合以外で急激な上昇率を示す・予想されるモバイル広告だが、具体的には次のような予想が立てられている。

↑ 広告売上推移(2013年以降は予想)(億ドル)(モバイル)
↑ 広告売上推移(2013年以降は予想)(億ドル)(モバイル)

2011年には14.5億ドル、5年経過した2016年には8倍強の118.7億ドルまでの伸びが予想されている。スマートフォンやタブレット機の急速な浸透を見れば、あながち過剰な予想でもない。一つ上のグラフにある通り、この成長率を維持できれば、2016年には屋外広告・ディレクトリ広告を抜き、雑誌や新聞にも手が届くほどとなる。汎用性の高いモバイルを、新聞や雑誌と同系列のメディアにとらえて良いのか否かとの問題もあるが、いずれにせよモバイルが飛躍的な成長を……広告売上を一例としてだが……遂げることは間違いあるまい。


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