米類・パン類・麺類の動き…世帯単位での主食3「系統」の購入性向推移(家計調査報告(家計収支編))(最新)

2023/05/25 02:43

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2023-0517先に総務省統計局が2023年2月7日にデータ更新(2022年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】の各種公開値を基に、【お米とパンと麺類と…世帯単位での主食3品目の購入性向推移(家計調査報告(家計収支編))】において、主要内食系食品の米・パン・麺類の購入頻度と支出額の動向を確認した。今回はその際に文末で触れた、「米やパン、麺類に関して、内食だけでなく、中食や外食の類まで含めた場合、各値はどのような動きを示すか」について考察していくことにする。

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ご飯、パン、麺…どこまで「主食」ととらえるか


グラフや文中に登場する「購入世帯数」「世帯購入頻度」などの言葉の意味は、先行記事【週刊誌や雑誌、書籍の支出金額(家計調査報告(家計収支編)・総世帯版)】などですでに解説済み。詳しくはそちらを参考のこと。また「総世帯」とは「単身世帯」と「二人以上世帯」を合わせた世帯、つまり全世帯を意味する。

さて米類・パン類・麺類それぞれについて、中食と外食の分を加えるわけだが、加える項目は先の記事の通り、次のものに限定した。

●米
おにぎり・その他、すし(弁当)、すし(外食)

●パン
調理パン、ハンバーガー

●麺類
日本そば・うどん(外食)、中華そば(外食)、他の麺類外食

この他にも例えば中食で弁当が該当しそうではある。コンビニやスーパーのお弁当コーナー、お弁当屋のメニューを見ると、多くはご飯が主食扱い。しかしサンドイッチやパスタ、グラタンなどのようなものも少なからずある。このような混合した実状下で米項目に加えたのでは、正確さに欠けてしまう。そこで今回は外すことにした。

まずは直近2022年分のみについて。こちらは支出金額と世帯購入頻度双方を、各細部項目別にグラフ化する。

↑ 主食系3項目細分の支出金額(総世帯、月あたり、円)(2022年)
↑ 主食系3項目細分の支出金額(総世帯、月あたり、円)(2022年)

↑ 主食系3項目細分の世帯購入頻度(総世帯、月あたり)(2022年)
↑ 主食系3項目細分の世帯購入頻度(総世帯、月あたり)(2022年)

米の購入頻度が低いのは、数キロの袋単位で調達する購入スタイルであるため(一食分ずつ買うわけではない)。パンの購入頻度がかなり高めだが、これは食パン以外にバターロールやコッペパン、フランスパン、さらにはアップルパンやあんぱん、コロネ、カレーパン、揚げパン、ピザパンなどまで含むため。一方調理パンは焼きそばパン、ホットドック、ハンバーガー(ハンバーガーショップ経由のものはハンバーガー(外食)となる)などが該当する。麺類は麺類そのもの以外はすべて外食系。

世帯購入頻度だけを見ると、パン類が圧倒的に多いように見える。ところが支出金額まで目を通すと、米類の金額の多さが目にとまる。特にすし系は単価が高いので、当然かもしれない。

米類は減りつつはあるが!?


それでは経年変移による、各主食系別にまとめた値の推移は…との話に進むわけだが、世帯購入頻度については計算を行わない。米や(食パンを多分に含む)パンは、他の食品と購入・利用スタイルが異なるため(米は数週間、数か月単位でまとめ買い。パンも食パンの類は数日分をまとめて買うことになる)、そのまま全部を足しても意味の無い値しか出てこないからだ。そこで支出金額のみ、各系統別に合計し、2002年から2022年までの推移をグラフ化したのが次の図。

↑ 主食系3項目の支出金額(総世帯、月あたり、円)
↑ 主食系3項目の支出金額(総世帯、月あたり、円)

厳密には上記で説明したように、今回の試算では盛り込まなかった弁当もご飯物が多いことから、さらに米類は上乗せされることになる。このグラフを見る限り、今なお米類は主食の玉座を明け渡していないことがはっきりと分かる。

同時に米類としてのまとめでも、支出金額が漸次減少中であること、そしてパン類が少しずつ伸びており、あるいは10年単位の流れの中で両者の金額が逆転する可能性は十分にあることが予想できる。他方麺類はほぼ横ばいのまま。他方、2020年において米類だけでなくパン類や麺類も値を落としているのは、新型コロナウイルス流行で生じた食生活の変化によるものだろう。2021年以降ではパン類のみが伸び、それ以外は2020年における落ち込みの動きを継続してしまっている(麺類は2022年にずいぶんと持ち直したが)。

なお昨今の食生活の大きな変化要素の一つとして挙げられる、中食スタイルの普及に際し、該当しそうな項目の購入世帯頻度を抽出してその動きを確認すると、確実に増加しているようすがうかがえる。

↑ 主食系の中食の平均世帯購入頻度(総世帯、一部、月あたり)
↑ 主食系の中食の平均世帯購入頻度(総世帯、一部、月あたり)

特におにぎり・その他、調理パンは早期から世帯購入頻度の増加が確認できる。2020年ではおにぎり・その他と調理パンで明らかな下落が生じているが、これは新型コロナウイルス流行で生じた食品の購入性向、食生活の変化によるものだろう。

震災を機に、食生活を中心とした日常生活全般のスタイルに少しずつ、そして確かな変化の兆しを端々で見受けることができる。特にスーパーやコンビニでの調理系の惣菜の進歩は著しく、中食文化の急速な浸透とともに、食生活に小さからぬ影響を及ぼし始めている。今件「幅広い範囲で見た主食動向」で、今後どのような動きを示すのか。今後もしっかりと見定めていきたい。また新型コロナウイルス流行で生じた食生活の変化が、流行の沈静化後も継続するのかについても、気になるところではある。


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