銀行封鎖の混乱でキプロスが大幅にCPDを上昇(国債デフォルト確率動向:2013年4月)

2013/04/15 07:55

以前の記事で説明した通り、世界各国の経済動向を推し量るために、債権リスクを示す指針の一つ「CPD」をチェックの対処とし、主要国・地域の国公債のデフォルト確率上位国を2010年12月以降月一のペースで確認している。今回は2013年4月分として、同月15日時点の数字についてグラフ化、さらには現状の検証を行うことにする。

スポンサードリンク


国公債のデフォルト確率を表す言葉CPD(5年以内のデフォルト可能性)の細かい定義、データの取得場所、さらには各種概念の説明は一連の記事まとめ【定期更新記事:CPD(国公債デフォルト確率)動向】で行われている。そちらで確認してほしい。

今件のグラフは日本時間で2013年4月15日、つまり(日本時間で)本日取得したばかりの一番新しいデータで生成している。前回も掲載されていた国・地域については前回値を併記している。

↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年4月15日時点)
↑ 国債・公債のCPD上位10位(市場が見なしている、今後5年間でのデフォルト確率)(2013年4月15日時点)

先月の記事でも記しているが、ヨーロッパ全体の債務問題に関しては表面上の山場を越えた感はある。事態収拾のために関係者が奔走しているのはかねてからではあるが、経験と慣れが個別問題の解決を容易にしている状況といえる。

一方で先月「事態打開の可能性が高まり大きく下げた」と伝え、実際CPDも大幅減少したキプロスだが、今月は逆に大きな増加を示している。この値は先々月の53.83%をもはるかに超えており、事態がより悪化したことを示している。こちらは【キプロス支援と預金封鎖と「預金税」と】にもある通り、支援と引き換えに銀行口座の一時閉鎖を行い、国政が混乱したのが主要因(さらに大統領の親戚が口座の一時閉鎖・預金税導入以前に資産を海外に退避させたことが明るみに出て、騒ぎは拡大している)。


↑ 3月22日時点でのキプロス動向を伝える映像。
↑ 3月22日時点でのキプロス動向を伝える映像。【直接リンクはこちら】

もっともキプロスへの財政支援そのものは【ユーロ圏財務相が対キプロス支援策を承認、EU構造基金の活用も検討(ロイター)】などにもある通り、ハードルを越えて実施される動き。これが実現されれば、情勢の安定化が期待できる。

その他に目立つ動きとしては、記録の限りでは今回初めての登場となる「チュニジア中央銀行」が目に留まる。チュニジアといえば、いわゆる「ジャスミン革命」の発端の地ではあるものの、政変後も状況は混とんとしている。前大統領の親族の不正蓄財の回収が進む一方で、野党党首が暗殺されたり、イスラム武装勢力の台頭が懸念されるなど、予断を許さない状況が続いている(【チュニジア:野党党首暗殺事件に伴う治安情勢に関する注意喚起(外務省)】)。

日本の国債に対する値は4半期ごとに更新されるCMD Visionのリスクレポートの最新版【2012年第4四半期リスクレポート(CMA Release Global Sovereign Credit Risk Report Q4 2012、PDF)】で確認できる。これは先月と同じで(四半期更新なので現時点はすでに2013年第1四半期が終了しているが、この期のレポートはまだ公開されていない)、それによると、CPDは6.6%で順位は23位。前四半期の2012年第3四半期の6.9%・17位と比較すると、状況そのものは改善、相対順位は悪化していることになる。CPDの算出上では、日本の財務状況回復の歩みは前進しているが、上位他国と比べて緩やかであり、相対順位が下がっている。この動向は数四半期変化がないが、日本の政情変化により、2013年第1四半期以降、どのような動きを見せるかが注目される。

日本の企業動向、株式市場にも大きな影響を与えている、そしてCPDの動きにも(間接的に)影響を及ぼしている(ユーロ安はユーロ圏の財政が不安定化しているのが最大要因。財政不安状態はそのままCPDの上昇につながる)ユーロ動向だが、欧州中央銀行の動きなど情勢の変化を受け、去年の秋口以降、特に冬からは勢いを増しながら、大きくユーロが戻しを見せている。さらに直近では【本日、日本銀行が発表した『「量的・質的金融緩和」の導入について』】でも示した通り、日銀の大規模金融緩和の影響を受け、大きくユーロ高・円安が進んだ。

↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年4月12日)
↑ ユーロ変移(対円、終値、2011年1月3日-2013年4月12日)

大きく経済・政治動向が動く昨今の情勢では、失業率の動向同様に、債券リスクに絡むCPDの値は、各国、特にEU諸国の経済情勢をかいま見る有効な指標の一つとなる。今後もEUの失業率同様、CPD値の変化には注意を向けねばなるまい。


■関連記事:
【若年層の失業率、スペイン55.7%・ギリシャ58.4%…ヨーロッパの失業率をグラフ化してみる(2013年2月分)】
【最近よく聞くキーワード「CDS」とは?】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー