シニアは食パンが好き…年齢階層別・単身世帯の「食パン」「カップ麺」「ハンバーガー」などの支出比率(家計調査報告(家計収支編))(最新)

2023/05/22 02:45

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2023-0515総務省統計局が2023年2月7日にデータ更新(2022年・年次分反映)を行った【家計調査(家計収支編)調査結果】の公開値を基に、複数の記事において、色々な属性の世帯における消費性向を支出金額や世帯購入頻度などの観点から推し量り、人々の日常生活の様相を確認している。今回は少々視線を変え、「単身世帯(一人暮らし)」に限定し、食パンやカップ麺などの食費全体(家計調査の項目では食料に該当)に対するウェイトを見ていくことにする。シンプルな食材の年齢階層別利用性向、そして各年い階層の一人暮らし世帯における食事性向の一部が透けて見えてはず。とりわけ今後問題視されるに違いない、一人暮らしのシニア層の食生活が気になるところである。

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食パンはシニア層ほどよく買う法則


今件データは該当する家計調査報告のデータの中から、食料(食費)、食パン、他のパン、カップ麺、即席麺、ハンバーガー、他の主食的外食について抽出したもの。これらの項目が具体的にどのような食品を示しているかは、【収支項目分類・収支項目分類およびその内容例示(令和2年1月改定)】(現時点で最新のもの)で次のように解説されている。

・食費(食料)……飲食に供される食品およびこれに伴うサービスに対する支出。

・食パン……パンのうち、基本的な原材料(穀粉、酵母種、食塩、砂糖、脂肪)のみでできているもの。サンドウィッチ用パン、ソフトブレッド、バターブレッド、バターロール、コッペパン、フランスパン、ハンバーガー用パン、ホットドッグ用パンなどが該当。ジャム・バター・チョコレート付き食パンや調理パンは該当しない。

・他のパン……パンのうち、基本的な原材料「以外」の材料を加え、初めから一つに成形されたパン。原材料としてハム、卵、チーズなどが使われていてもよい。アップルパン、あんパン、コロネ、ジャムパン、ぶどうパン、メロンパン、カレーパン、ピロシキ、揚げパン、ジャム・バター・チョコレート付き食パン、ピザパン、野菜入り食パン(ほうれん草・にんじん・たまねぎなど)が該当。調理パン、乾パンや中華まんじゅうは該当せず。

・カップ麺……カップ状のものにめんや具材が入り,お湯を注ぐだけで飲食できるもの。主食的に食べるもの。カップラーメン以外にカップそば、カップうどんなども該当する。

・即席麺……製造過程において調理味付けされ、保存可能の状態に加工されたもの。メンマ、あげ玉、わかめ程度を付加したものも含む。カップ麺は除く。

・ハンバーガー(外食)……セットも含む。ファストフード店(での購入)に限る。

・他の主食的外食……そば、うどん、ラーメン、パスタ、寿司、和食・中華・洋食各種、ハンバーガー「以外」の外食。例えばドーナツセット、お好み焼き、ピザパイ、お子様ランチ、会社での食事代など。ファミリーレストランにおける食事も該当する。学校給食、喫茶代、飲食代は含まず。

また、家計調査では単身世帯の年齢階層について、34歳以下(若年層)・35-59歳(中年層)・60歳以上(高齢層)に区分している(65歳以上の特化区分もあるが、過去データとの比較対象の観点や、肉体的な問題の上では60歳で区切った方が考察をし易いこと、さらに65歳で区分をすると60-64歳層のデータが空いてしまうので、今回は省略)。そこでこの年齢区分に従い、支出金額ベース、そして食費に対する各項目比率を算出していく。

まずは月次換算をした支出(元資料に掲載されているのは年間を通した値であることから、単純に12で割っている)。単身世帯なので当然、世帯主本人のための購入になる。

↑ 食費項目の支出金額(単身世帯、月あたり、年齢階層別、円)(2022年)
↑ 食費項目の支出金額(単身世帯、月あたり、年齢階層別、円)(2022年)

ファミレスでの食事などが含まれる外食は、高齢者になるとグンと支出金額が減る。お好み焼きはともかく、ドーナツやピザ、パイなどの調達も一人身シニア層の食事としてはイメージしにくい。また、廉価な主食としてイメージされるハンバーガーも、全般的に若年層の方が支出金額は大きい。特にハンバーガーは60歳以上の場合月に64円しか出費していない計算になる。仮に200円ほどの通常サイズのハンバーガー1つのみを対象としたとしても、3か月に1度、1個程度のみ。500円程度のセットを年に1、2回食べる程度の感覚となる。

他方、唯一「年齢を経ることに出費が増える」項目として食パンが挙げられる。【3割が「毎日パンを食べますよ」、歳を経るほど「パンが大好き」】でも指摘しているが、「日持ちする」「手間がかからない」などの利便性から高齢者にも(特に朝食用として)パンは好まれる。しかしこのパンは菓子パンや調理パンではなく、食パンなどのシンプルなパンを対象としていると読める。

↑ 調理パンの支出金額(単身世帯、月あたり、年齢階層別、円)(2022年)
↑ 調理パンの支出金額(単身世帯、月あたり、年齢階層別、円)(2022年)

コロッケパンなどの本格的な調理パンは今件の他のパンには含まれないが、やはり高齢者では支出金額は下がる傾向にあるのが実情だ。

食費全体に占める比率を算出


これを各年齢階層毎に、それぞれの食費に占める比率について算出したのが次のグラフ。

↑ 食費項目の支出金額(単身世帯、月あたり、食費全体比、年齢階層別)(2022年)
↑ 食費項目の支出金額(単身世帯、月あたり、食費全体比、年齢階層別)(2022年)

見た目では支出金額の変移グラフとの違いはほとんどない。同じ単身世帯でも若年層と高齢層では食事構成も大きく異なることが、この比率区分からも確認できる。特に単身若年層は食費の(外食費の、ではない)約1/7をファミレスなどの外食に費やしていることになる。

ハンバーガーは若年層でも1.3%。もっとも、それでもカップ麺の0.6%よりはまだ上。案外カップ麺は若年層においてすら、ほとんど食べられていない。



今件記事で単身世帯に的を絞ったのは、今後若年層・高齢層ともに単身世帯の増加が容易に予想できること、そして食パンと他のパンをわざわざ取り上げたのは【ちぎりパン(敷島製パン/セブンイレブン)】でも紹介したように、高齢者に配慮したパン、特にシンプルな食パン系の新商品が目にとまるようになったのが、その理由。また昨今ではコンビニのプライベートブランドに代表される、高級食パンの展開が一種のブームと化しており、しかも購入層には多分に中年層から高齢層がいることも、大きな精査動機として挙げられる。

コンビニでは当たり前となったドリップコーヒーのように、高級食パンブームもさらに広域に展開すれば、高齢層を中心に金額の明らかな上昇を見ることができるだろうか。


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